在京地上民放テレビキー5社の10月改編が発表された。ゴールデンタイムのタテの流れを意識した改編が目立つとともに、既存番組の引越しや、人気番組の復活など盤石なラインアップを意識した動きがみられた。以下、チャンネル順に紹介する。
日本テレビ放送網は、2024年春に「コアターゲットに振り切り、圧倒的にトップ」としていた視聴率目標を、従来の「個人全体視聴率・コアターゲット視聴率両方3冠」に戻した。各番組がそれぞれの強みを発揮して「2023年の個人全体・コア視聴率を超えること」を目指す。金曜19時を改編し、二宮和也さんがMCを務めるアットホームバラエティ『ニノさん』（19:00～19:56）が枠移動。番組開始から12年目を迎え、4回目の"お引越し"でゴールデン帯に進出を果たす。同番組の日曜朝の後継として、11月までの全8回の期間限定で『おためしイッテQ！』（10:25～11:25）を編成。『世界の果てまでイッテQ！』のスピンオフ番組で、オーディションで合格した新メンバーが長期海外ロケを敢行する。平日朝は、日本テレビ系列の各局が「地域に根差した情報」を伝えやすくするために『ZIP！』を3部制に。関東ローカルの1部（5:50～6:54）に、全国ネットの2部（6:54～7:55）、3部（7:55～9:00）が続く。1部、2部は各局が差し替えられるゾーンを設け、各エリアでの視聴率アップと『ZIP！』ブランドの価値の向上を狙う。
引き続きオールターゲット戦略を取るのはテレビ朝日。日曜の報道・情報番組の改革を行う。日曜夜は新たに有働由美子さんを起用した『有働タイムズ』（20:56～22:15）をスタートさせ、エンターテインメントを包含した"創造的なニュース・情報ワイド"を目指す。朝は平日・土曜で好調の『グッド！モーニング』が進出し、これで同番組は週7日のベルト編成（月～金、4:55～8:00、土、6:00～8:00、日、5:50～8:30）となった。日曜は、朝日放送テレビ、名古屋テレビ放送との3局共同制作でニュースを届ける。土曜23時30分～24時には新アニメ枠「IMAnimation」を創設。IP（知的財産）開発でビジネス展開を模索することを狙う。その第1弾として、『週刊少年マガジン』で連載中のサッカー漫画が原作の『ブルーロックVS. U-20 JAPAN』を放送する。深夜のバラエティでは、CSテレ朝チャンネルで番組開始19年目を迎えたくりぃむしちゅーの上田晋也さんのトークバラエティ『上田ちゃんネル』（木、25:26～25:56）が地上波に"お引越し"。また、2020～21年に放送した人気アーティストのあのさんの『あのちゃんねる』（月、24:45～25:20）がパワーアップして帰ってくる。
TBSテレビは「Timeless Value」（時代を超えた価値）の追求と提供の第一歩として、新たに設けた社内指標「LTV4-59」（4歳から59歳の個人視聴率）を重視した改編となった。まず、月曜と水曜のゴールデンタイムのタテの流れを強化。月曜21時の新番組『THE MC3』（21:00～22:00）のMCに中居正広さん、東野幸治さん、ヒロミさんの3人を迎え、多彩なゲストの新たな一面引き出す。同番組の前後である『CDTVライブ！ライブ！』から、『クレイジージャーニー』までの強固なラインアップを意識した。水曜は20時に生瀬勝久さんをMCに『巷のウワサ大検証！それって実際どうなの会』（20:00～21:00）が始まる。6月から4回にわたって組んだ特番が好評だったことからレギュラー化した。実績のある連続ドラマは「日曜劇場」「火曜ドラマ」「金曜ドラマ」の3枠でクオリティを堅持。脚本・野木亜紀子さん、演出・塚原あゆ子さん、プロデュース・新井順子さんという『アンナチュラル』『MIU404』、映画『ラストマイル』のチームが初めて日曜劇場を担当する『海に眠るダイヤモンド』（21:00～21:54）などが始まる。
開局60周年も終盤のテレビ東京は引き続き「他の局がやらない、トガッたこと」を目指す。金曜ゴールデンを見直し、これまで20時台だったドラマと21時台の『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ！』を入れ替え、21時台は「ドラマ9」として、これまでより深い時間にふさわしいじっくりと楽しめるドラマを投入する。第1弾は藤木直人さんと寺島進さんの"バディもの"『D＆D～医者と刑事の捜査線～』（21:00～21:54）が始まる。同じく金曜深夜の「ドラマ24」には、人気の『孤独のグルメ』シリーズが装いも新たに、開局60周年の特別編『それぞれの孤独のグルメ』（24:12～24:52）として登場。不動の人気を誇る井之頭五郎＝松重豊さんは変わらず、毎回ゲスト主役を迎えてオムニバスの新たな試みにチャレンジする。お得意の経済情報ではこれまで特番として好評だった『LIFE IS MONEY～世の中お金で見てみよう～』（火、23:06～23:55）がレギュラー化。林修さんと同社報道局のコラボも見ものだ。
フジテレビジョンは、春から引き続き「一緒に笑えるだけで、しあわせ」をテーマに、一緒に番組を見る"共視聴"No.1のテレビ局を目指す。現在、ゴールデンタイムの視聴者のうち7割が共視聴で、そのうち4割がティーン・キッズの視聴者とのこと。そこで、10月改編は"平日改革"を行う。まずは、火曜21時がフジテレビジョン制作のドラマ枠として9年ぶりに復活し、『オクラ～迷宮入り事件捜査～』が始まる。前の時間帯である20時からは、特番枠を新たに設置。視聴者の関心に合った番組を届けていく。またゴールデンタイムに新しいバラエティ番組が2つ誕生する。『この世界は1ダフル』（木、21:00～21:54）と『ザ・共通テン！』（金、21:00～21:58）だ。特に、金曜日のプライムタイム（19:00～23:00）はすべてがバラエティ番組だけの構成となり、これまで以上に自由な編成で番組を放送することができるようになる。さらに、金曜日深夜に、全国ネットで『ドラゴンボールDAIMA』（23:40～24:10）がスタート。原作者である鳥山明さんが新しいエピソードを執筆した完全新作アニメシリーズだ。