米WBDの新プラットフォーム「Max」、5月23日に始動

編集広報部

米大手メディアのワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー社(WBD)は4月12日、自社の有料配信サービス「HBO Max」と「Discovery+」を統合し、「Max」として5月23日にスタートすると発表した。料金設定はHBO Maxの現行サービスと変わらず、広告ありのMax Ad-Liteが月額10ドル/年間100ドル、広告なしのMax Ad Freeは月額16ドル/年間150ドルとなる。

また、新たにMax Ultimate Ad Freeも設定された。広告なしの4K UHD画質を配信するプランで、月額20ドル/年間200ドル。最高4つのプログラムを、同時に複数の視聴者がそれぞれのデバイスから視聴することができるほか、ダウンロードによるオフライン視聴が100タイトルまで可能になるという。なお、既存のHBO Max契約者は、料金据え置きで自動的に新しいプラットフォームに移行する。

一方、Discovery+はそのまま単独の配信サービスとして存続する。現在のDiscovery+契約者(広告ありが月5ドル、広告なしが7ドル)がMaxへの移行に伴う値上げで解約してしまうことを防ぐためだ。

Maxには旧ワーナーメディアが保有するコンテンツに加え、ディスカバリー傘下のケーブルチャンネル(HGTV、Food Network、ディスカバリーチャンネル、TLCなど)からのコンテンツが加わる。目玉は過去の大ヒットシリーズのリメークやスピンオフで、ディズニーの配信サービスが『スターウォーズ』やマーベル作品のスピンオフで話題を呼んだように、WBDも『ハリー・ポッター』のテレビ版を制作・配信すると発表。映画シリーズよりも小説に忠実なストーリー展開で、10年は続くシリーズを目指すという。ほかにもHBOの大ヒット作『ゲーム・オブ・スローンズ』の前時代を描いたスピンオフ『A Knight of the Seven Kingdoms』や、『スーパーマン』『バットマン』『指輪物語』など話題のコンテンツで注目を集め、新規契約者の獲得にとりかかる。これら新シリーズの公開日はまだ発表されていない。

Maxは今年後半に南米で、来年にはヨーロッパを含め世界各地でそれぞれスタートを予定している。一方、この発表後、WBDの株価は6%下落した。ワーナーメディアとの合併後の経営難、特に配信ビジネスの行き詰まりは周知のとおりで、人員削減や番組制作の中止など悪いニュースばかりが報じられてきた。今回も打倒ネットフリックス、ディズニー+といった勢いを前面に出しているものの、ウォールストリートの評価は厳しいものといえそうだ。

最新記事