米ニールセンは3月29日、企業価格100億ドル(1株28ドル)に負債を加えた総額160億ドルで、プライベート・エクイティ(PE、非上場企業)で構成される企業連合への売却に合意したと発表した。同20日には、PE企業連合からの企業価格約91億ドル(1株25ドル40セント)に負債を加えた総額150億ドルでの買収申し出を、「企業価値を著しく過小評価している」として一度拒否していた。
この買収をけん引したのは、投資管理会社のブルックフィールド・ビジネスパートナーズ社、エリオット・マネジメント社、エバーグリーン・コーストキャピタル社。買収完了は、株主と規制当局の承認を得たのち、今年後半になる予定だ。その後、ニールセンは上場企業から非上場企業となる。コロナ禍以降、全米テレビ視聴データの過小評価問題で業界から批判を浴びているニールセン。3月半ばには米メディア界の大御所バイロン・アレン氏率いるメディアグループから視聴データの詐欺行為を行ったとして提訴されるなど、配信を含むビッグデータへの移行時期にあって、状況は厳しい。買収後もますます業界からのプレッシャーは高まるというのが、アドエージ誌ほか米メディアのもっぱらの見方だ。
NBCUが3月22日、iSpot.tv、Conviva、Integral Ad Science (IAS)など視聴データ8社を採用すると発表したが、その中にニールセンの名前はなかった。米テレビ業界は今、ニールセンに代わるデータサービスを模索している最中だ。