放送局への2022年度行政手数料 米FCCの値上げ案にNABが反対意見を表明 ラジオの規制緩和などの要望書も

編集広報部

米連邦通信委員会(FCC)が、テレビ・ラジオ放送局への2022年度の行政手数料(regulatory fee)を、13%値上げする提案を行ったことに対し、全米放送事業者協会(NAB)がこのほど、FCCに反対意見を表明した。「値上げは不公平かつ非合法なもの。放送局に何の利益ももたらさないFCCの運営コストを補填するためであり、放送局に過度の負担を課すものである」と厳しく批判している。

この費用は、FCCの規制により生じた利益を放送局が政府に還元するためのもの。毎年8月末から9月初旬に金額が決定され、放送局は政府の次年度開始日である10月1日までにこれを支払う。FCCには委員会の各局、事務所内のフルタイムで働く従業員数を反映した料金を放送局から徴収することが義務づけられており、2022年度分として米議会が認可した額は3億8,190万ドル。

NABはこれまでも、金額の設定基準を見直す必要性を指摘してきた。あわせて、FCCのブロードバンド規制で影響を受けるテック企業にも、相応の負担を課すべきだと長年訴え続けている。

NABは7月1日、FCCに対し、ラジオ業界への規制見直しを迫る意見書と、ローカルラジオ市場の現状をめぐるリポートを提出している。FCCは2年ごとに、ラジオ、配信を含むメディア市場を再評価し、健全な市場競争が行われていることを確認する義務があるが、FCCがラジオ業界に正当な評価をしていないというのがNABの訴えだ。

NABが提出したレポートは63ページにわたり、102項目の追加資料も添付されている。市場の現状を把握し、それに見合った規制をするようFCCに訴えるもので、「現在の規制ではラジオ局が生き残ることは困難。ラジオ局はもっと経済的自由を与えられるべきだ」というのがNABのレポートの根幹にある考え方だ。世界的な経済不況がラジオ業界にもたらす影響や、消費者のデジタルデバイスへの移行、デジタルオーディオサービスの急激な台頭による影響などが詳細に報告されている。

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