在京ラジオ 春の改編 ワイドで価値発信/既存番組の定着図る

編集広報部
在京ラジオ 春の改編 ワイドで価値発信/既存番組の定着図る

在京ラジオ社の春の新番組が始まった。新たなワイド番組を立ち上げるなど大幅な改編を敢行した社が多い中、既存の番組をより定着させる工夫もみられ、各社それぞれの"ラジオの価値の探求"が続いている。

元々改編の少ないJ-WAVEは、土日を中心に新たに10番組を開始。感染症や世界情勢の混乱に向き合うため、日々の活力や想像力、気づきをもたらす"文化"に焦点を当てる。目玉は、ラジオ初挑戦となるオダギリジョーがリスナーらから寄せられた物語を読み上げる「au FG LIFETIME BLUES」(土、16・00―16・54)。JFL5局でネットし、全国から多くのメッセージが寄せられている。同じく土曜の「NTT Group BIBLIOTHECA~THE WEEKEND LIBRARY」(15・00―15・54)は、著作家の山口周と図書館司書を目指す長濱ねるが本を切り口に未来を探求する知的好奇心溢れる番組だ。「いずれも良い形で立ち上げられた」と手塚渉コンテンツプロデュース部長。平日の番組も「聴取率やラジコの数字から、引き続き手応えを感じている」と評価する。

11.8%と高めの改編率となったTBSラジオは、「パンサー向井の#ふらっと」(月―木、8・30―11・00、=写真㊤)を3月末に開始。「これまで40―60代のリスナーに強い局だったが、18―49歳をコアターゲットとし、36―38歳のパーソナリティやスタッフを増員した」と萩原慶太郎UXプランニング部長は戦略を明かす。「敷居を低くし、聴きなじみの良い番組で新しいリスナーを取り込まなければならない」とし、「荻上チキ・Session」などとともにユーチューブやツイッターでの同時配信も始めた。「番組によっては同時よりアーカイブの方が適している場合もある。ラジオを聴く人が限られる中、新たな入口を増やし、ビジネスチャンスを模索することでラジオの良さを維持したい」と萩原部長。

平日の朝から夕方に3つのワイド番組を立ち上げた文化放送。このうち、アルコ&ピースの平子祐希や放送作家の鈴木おさむらが曜日ごとに出演する「おとなりさん」(月―金、8・00―11・00)は、コロナ禍で人との接触が減る中で声を通じた身近さに着目した。初回では、裏番組のTBSラジオ「パンサー向井の#ふらっと」と電話をつなぎ、「お隣さんとしてよろしく」「またふらっと寄ります」などとあいさつを交わした。夕方には「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」(月―金、15・30―17・45)がスタート。入社8年目の西川アナが、小説家の山内マリコ、ジャーナリストの青木理ら多彩なコメンテーター陣とポジティブなアイデアを探っていく。村田武之コミュニケーションデザイン部長は、改編のポイントを「ポジティブ、優しさ、遊び心」と説明。「一層リスナーに近づき、安心感やラジオの価値を打ち出していきたい」と語る。

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<文化放送「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」>

ラジオNIKKEIも幅広の改編を行った。朝の新番組「おはようマーケット」(月―金、8・00―9・00)で、東京株式市場が開く直前に投資に役立つ情報を発信。これまでは8時から「こちカブ」を20分間放送していたが、9時までの間にラジコの利用者が減っていたことから1時間番組を置いた。平日午後の「ザ・マネー」(月―金、14・30―16・00)は、開始時刻を40分繰り上げて放送枠を50分から90分に拡大。こちらは市場が閉じる15時をまたぐことで、解説や振り返り、翌日の予測などを臨場感をもって伝えられるよう工夫した。川畑直央デジタル戦略局次長は「内容が充実し、聴きやすくなったという声も寄せられている。ワイド番組の活性化ができている」とみている。

1967年10月スタートの「オールナイトニッポン(ANN)」が今年55周年を迎えるニッポン放送。周年イヤーを飾るカラフルなロゴをクリエーターの大宮エリーがデザインした。昨年春に生まれた24時台の「ANNX(クロス)」にはボーイズグループ・JO1など勢いのある新パーソナリティ4組が加わり、「ANN」「ANN0」の枠でもパーソナリティを入れ替えるなど強力な布陣を敷いた。有観客、延長戦ありの開幕となったプロ野球を伝えるのは、放送開始56年目の「ショウアップナイター」。ラジコの反応は例年以上に好調だという。このほか、既存の番組で正時をまたぐコーナーの枠を調整・拡大するなど、聴きやすさを工夫。桜井達也コンテンツプランニング部長は「聴き応えのある編成になった」と明かす。

"オーディオコンテンツのさらなるデジタルシフト強化"を改編方針に掲げるTOKYO FMは、昨年立ち上げたファンコミュニティ「LisCom」と連動する「Roomie Roomie!」(月―木、20・00―20・55)を編成した。パーソナリティは、番組ターゲットである20―30代の女性と同じ目線で話すことができるタレントの野呂佳代とミュージシャンの眉村ちあき。リスナー同士やパーソナリティも交えた活発なコミュニケーションをデジタルインフラを駆使して実現させる。宮野潤一編成局次長兼編成部長によれば、番組開始後、LisComの会員は増えているという。また、「AuDee CONNECT」(月―木、26・00―28・00)はオーディオプラットフォーム「AuDee」と連動。新しいカルチャーに敏感なリスナーの取り込みを図る。

InterFM897は、この4月にステーション名をinterfmに変更。多様性を意識したステートメント「Find Your Colors」を打ち出すとともに、音の波形や東京のビル群、そこを行き交う人々を連想させる新たなロゴ(=写真㊦)も発表した。高野祐造執行役員は「リスナーに多種多様な価値観や文化、ライフスタイルを届けたい」と意気込む。新番組やリニューアルもステートメントに沿ったものに。「MUSIClock with THE FIRST TIMES」(月―木、7・00―8・55)は放送枠を30分拡大し、SMA(ソニー・ミュージックアーティスツ)の芸人らが通勤・通学の時間帯にエンタメを提供する。山と溪谷社と組んだ新番組「山小屋ストーリーズ」(日、7・30―8・00)は登山の魅力などを発信。キャンプブームもあり、リスナーからは好反応を得ている。

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