在京テレビキー5局 2023年春改編 特番経てレギュラー化相次ぐ 若手クリエーター育成に注力も 

編集広報部
在京テレビキー5局 2023年春改編 特番経てレギュラー化相次ぐ 若手クリエーター育成に注力も 

在京地上民放テレビ5社の4月改編がこのほど発表された。特番などのトライアルを経てレギュラー化する番組や、若手クリエーターの育成、既存番組のさらなる強化・活用などが目立った。各社で視聴者の多様なニーズに応えるための試行錯誤がみられた。

フジテレビは、全日で26本の新番組を立ち上げた。中村百合子・編成制作局編成センター局長職兼室長兼編成部長は、編成戦略として「コア視聴を中心に、個人全体視聴につながるタイムテーブル」と「地上波・配信でボーダーレスに強いコンテンツ」を作り出すことを挙げた。ゴールデン・プライム(GP)帯には、『私のバカせまい史』(=写真㊤、木、21・00―21・54)や『まつもtoなかい』(日、21・00―21・54)など、特番を経てレギュラー化するバラエティ番組が並ぶ。深夜帯では、同局の若手クリエーターが活躍できる場を創設。金曜深夜に秋元康が総合プロデューサーを務める『オールナイトフジコ』(24・55―26・55)をスタートする。約40年前の伝説の番組『オールナイトフジ』にあった"テレビの熱量"を継いだ番組で、若手ディレクターが自由に発想できる場にするという。司会には、演出家・プロデューサーの佐久間宣行などが名を連ねる。『日曜RISE!「深夜のハチミツ」』(日、25・25―25・55)などでも、若手ディレクターが芸人と組んでさまざまな企画に取り組む。また、新たなドラマ枠「火ドラ★イレブン」(火、23・00―23・30)を設け、関西テレビ制作のドラマを放送する。

平日朝帯を大きく改革した日本テレビは、最近の生活者動態や視聴者の多様なニーズに対応。朝の情報ワイド番組『ZIP!』の枠を1時間拡大し、終了時間を8時から9時に。番組コンセプトはそのままにさまざまな企画に取り組む。9時からは、17年続いた『スッキリ』を終了し、『DayDay.』(月―木、9・00―11・10/金、9・00―10・25)をスタート。南海キャンディーズの山里亮太、元NHKアナウンサーの武田真一らが朝から"おしゃべり"を繰り広げる。GP帯は、既存の番組が好調のため「積極的無改編」としている。木戸弘士・編成部長は「これまでの改編や現場の努力が結果に結びついている」と理由を明かした。このほか、ドラマ枠「金曜ドラマDEEP」を新たに設ける。18歳以上の女性をメインターゲットに、ディープな人間模様や大人の恋愛などをテーマとする。第1弾として、英BBCのドラマ『女医フォスター 夫の情事、私の決断』をリメイクした『夫婦が壊れるとき』(金、24・30―24・59)を放送。各国でリメイク版が制作され、特に韓国では国内ケーブルドラマ史上最高となる視聴率28.4%を記録した人気作だ。

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<左から『ZIP!』水卜麻美アナ、『DayDay.』山里亮太、武田真一、黒田みゆアナ

テレビ東京は、「新装"ドラマチック"FRIDAY! "新しい"を考えつづけますテレビ東京。」をテーマに、金曜のタイムテーブルを一新した。3回の特番を経て4月からレギュラー化する『ヤギと大悟』(金、19・25―19・55)。千鳥・大悟とともに、ヤギが雑草を食べながら田舎町を散歩する旅番組で、21年末に放送した特番が第59回ギャラクシー賞選奨を受賞するなど話題となった。金曜20時のドラマ枠は「ドラマ8」(20・00―20・54)と名づけ、視聴者ターゲット層の拡大を目指す。『ポケットモンスター』(金、18・55―19・25)は、1997年の放送開始から25年続いた主人公・サトシの冒険を終え、新たなシリーズがスタートする。また、特番が好評だった『正解の無いクイズ』(月―水、17・30―17・45)をレギュラー化。平山大吾・編成部長は「"地頭力"が求められる時流になっている。その先例となる番組を作りたい」と期待を語った。日曜の視聴率を向上させるべく、金曜放送の『デカ盛りハンター』を日曜18時30分に改編し、今年で10年目に突入する『家、ついて行ってイイですか?』は21時に移行する。

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<『ヤギと大悟』©テレビ東京

TBSテレビは「エンタメでさらに明るく!」をテーマに、見終わった後に少しでもポジティブな気持ちになる番組を編成する。火曜と金曜のGP帯を改編。火曜に『THE神業チャレンジ』(19・00―20・00)をスタートする。特番で複数回放送しており、世界で流行している"神業動画"に芸能人が挑戦し、成功すれば賞金100万円を獲得できる趣向だ。日曜昼に放送している『それSnow Manにやらせて下さい』(20・00―20・54)は金曜へ枠移動。福田健太郎・企画総括は、「昨年にプライム帯で特番を放送したときに好評だった。ワクワク、感動できる番組内容ということもありゴールデン帯への移動を決めた」と理由を説明した。金曜20時に放送していた『熱狂マニアさん!』は土曜19時に移り、同枠で11年半続いた『炎の体育館TV』を終了した。"日本でいちばん明るい"朝番組『ラヴィット!』(月―金、8・00―9・55)の増刊号を土曜朝に組み、放送外のトークも盛り込んだ総集編『夜明けのラヴィット!』(5・45―7・30)を新たに始める。

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<『THE神業チャレンジ』

あらゆる世代のニーズに応える編成テーブルを追求するテレビ朝日。平日深夜のバラエティゾーン『バラバラ大作成』(月―木、25・56―27・04/金、26・26―27・00)は番組数を14から18に増枠し、この春から新たに10番組をスタートする。奥川晃弘・コンテンツ編成局次長兼総合編成部長は「スタートから2年半が経ち、全国ネットに昇格する番組やイベントで成功を収める番組も生まれている。多種多様な番組を届け、視聴者のニーズに応えていきたい」とコメント。お笑い芸人に加え、バンドのMrs.GREEN APPLEや元プロ野球選手の杉谷拳士らを起用するという。このほか、人に焦点を当てる番組を編成。水曜19時の『ノブナカなんなん?』をリニューアルした『隣のブラボー様』(水、19・00―20・00)は、自分らしく生きる人に密着。『一億総リミッター解除バラエティー 衝動に駆られてみる』(日、24・25―24・55)では、衝動に駆られて何かに取り組む人にスポットを当てる。また、日曜22時台に朝日放送テレビ制作のドラマ枠を新設する。

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<『バラバラ大作戦』ラインアップ

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