在京ラジオ社の秋の新番組がスタートした。ワイド番組の大幅改編や、パーソナリティ・DJの"カムバック"などがみられた。各社、リスナーの多様な生活や趣味趣向に応えつつ、"らしさ"をより強く打ち出す編成となった。
ニッポン放送はナイターオフに新番組を組んだ。『伊集院光のOh!デカナイト』(1991―95年)以来、同社では28年ぶりに伊集院光が担当する帯番組『伊集院光のタネ』(=冒頭写真、火―金、17・30―18・00)を開始。番組サイトでタネ(メールのテーマ)を日々募集し、寄せられたリスナーからのメッセージをもとにトークを繰り広げる。番組開始前から相当数のメッセージが集まり、放送中には番組ハッシュタグがX(旧Twitter)のトレンド上位にあがるなど反響は大きかったという。木之本尚輝・コンテンツプランニング部長は「短い時間でも"聴きごたえ"がありつつ、もっと聴きたいという"もの足りなさ"もある。帯番組に適した番組だ」と語った。
ナイターオフに定着してきた『鶴光の噂のゴールデンリクエスト』(水―金、18・00―20・30〔木、―20・40〕)や『ゲッターズ飯田 ラジオで占いまSHOW』(水、20・30―21・30)などを今年も編成。土曜には、同社が主催する「JAPAN PODCAST AWARDS」でベストパーソナリティ賞を受賞した2人による『しょうちゃんとヴァジャのBAR GOTEN』(20・00―21・00)を開始し、地上波放送にアフタートークをあわせたポッドキャストオリジナルコンテンツも配信する。また、「オールナイトニッポン0」の毎月最終土曜のパーソナリティを日向坂46・松田好花が担当する。
リスナーの生活動向に寄り添い、平日のタイムテーブルを大きく改編したのはTBSラジオ。月―木曜の『ジェーン・スー 生活は踊る』を1時間拡大し、11・00―14・00に編成。続く『こねくと』も1時間拡大し、月―木の14・00―17・30に放送する。長谷川裕・事業創造センター長は、今年4月にスタートした同番組について「『たまむすび』の後をうまく引き継いでくれた」と振り返り、「時間を拡大したので、これまで以上にパーソナリティの石山蓮華さんや、曜日パートナーの魅力を届けられるはずだ」と期待を語る。
『荻上チキ・Session』は月―金の18・00―21・00に移し、リスナーにより集中して聴いてもらえるようにした。同時間帯で放送していた『アフター6ジャンクション』は番組名と放送時間を変更し、『アフター6ジャンクション2』(月―木、22・00―23・30)としてリニューアル。長谷川氏は「22時台は"TBSラジオらしさ"を体現する時間帯だ。ラジオパーソナリティとして成熟した宇多丸さんに、より密度の濃い内容を届けてもらいたい」と話す。新番組では、今年8月に放送した特番が話題となった『木村昴の聴いてくれないと打ち切り』(金、17・50―18・00)をレギュラー化。このほか、テリー伊藤や高嶋ちさ子の番組を組み、TBSラジオでしか聴けない新たな一面を届けていく。
<TBSラジオ 平日タイムテーブルの見比べ>
J-WAVEは2021年4月に始まった『JAM THE PLANET』(月―木、19・00―22・00)をリニューアル。19時からの1時間、月・火曜に吉田まゆ、水・木曜に堀潤を新たなナビゲーターに迎えた。キャスター記者の経験も長い吉田と、この枠では2年半ぶりの登場となる堀を得て、「J-WAVEらしいニュース枠としてバリューが上がっている時間帯だ。豊かな経験を持ったナビゲーターの視点から、これまで以上に多様な価値観を届けていきたい」と塩田真人・コンテンツプロデュース部長。これまでナビゲーターを務めてきたグローバーは引き続き20時以降を担当する。
金曜夜から深夜にかけて新番組が登場する。俳優やミュージシャンとして活躍する松下洸平が等身大のトークを届ける『DK SELECT WEEKEND LIVING』(22・30―23・00)や、映像作家の山田健人が"音だけの世界"に挑戦する『THE PLAYBACK』(23・00―23・30)をスタート。このほか、日向坂46 小坂菜緒の『SONYSONPO QUEST FOR THE FUTURE』(24・00―24・30)、ラッパー・Novel Coreの『TURNING BACK』(25・30―26・00)を組んだ。また、土曜には『MID NITE ZINE〜WANDERLUST〜』(24・00―25・00)を期間限定で編成。MC SLOGIRY(堀内貴之)とDJ SLOT from Skip(Shotaro Maeda)によるラジオ・ユニット「Sir SLow」が音楽と言葉で紡ぐストーリーを届ける。
<J-WAVE『DK SELECT WEEKEND LIVING』>
TOKYO FMはあまり改編を行わず、改編率を3.7%に留めた。新番組では、土曜に『広瀬すずの「よはくじかん」』(15・30―15・55)を開始。2013―17年に『SCHOOL OF LOCK!』に出演していた広瀬すずの6年半ぶりのレギュラー番組となる。宮野潤一・編成制作局次長兼編成部長は「大人になった広瀬さんのラジオトークを届けたい」と期待を語る。『川島明 そもそもの話』(17・00―17・55)では、麒麟・川島明が毎週ゲストを迎え、意外と知られていない一面を深掘りする。
音楽にフォーカスする番組も。『The Classic』(日、23・30―23・55)ではラッパーのRed Eyeと音楽ライターの渡辺志保がヒップホップをはじめとした幅広いジャンルの音楽について、最新情報や"クラシック"と呼ばれる過去の名曲などを届ける。ユーチューバー・みのが音楽を独自の切り口で紹介する『みのらじ』(土、9・30―9・55)もスタートする。また、『SCHOOL OF LOCK!』の金曜レギュラーに、過去最多のゲスト出演を果たしているバンド「SUPER BEAVER」が満を持して仲間入り。パーソナリティとしての実力がある彼らが熱い授業をリスナーに届ける。
<TOKYO FM『広瀬すずの「よはくじかん」』>
今年の編成テーマ「好きがつながる 文化放送」のもと、10月からも新番組をスタートする文化放送。平日25時以降を中心に新番組をスタート。月曜深夜には女性アイドルの新番組を組んだ。乃木坂46の公式ライバルとされるアイドルグループ「僕が見たかった青空」がパーソナリティを務める『僕が見たかった青空の「青天のヘキレキ!」』(26・00―26・30)をスタート。週替わりでメンバー2人が出演するほか、ディレクターとしてスタジオ外からSEなどを担当するメンバーも登場する。このほか、櫻坂46やINSPIRE、Appare!の番組を組んだ。
ゲームの魅力を伝えるべく、人気ゲーム実況者グループの「三人称」の鉄塔による『三人称・鉄塔 ひとりのよる』(木、25・30―26・00)を編成。このほか、コスプレイヤーやVtuber、声優などを起用した番組も始まった。村田武之・編成部長は「A&Gをより強化するため、この分野で深い人気を持つ人を起用した」とコメント。このほか、ナイターオフに『好きがつながる!』(火・水、19・00―21・00)を新設。日替わりのパーソナリティが自身の好きなものに特化した内容を届ける。『てるノリのワルノリ』と『ますだおかだ岡田圭右とアンタッチャブル柴田英嗣のおかしば』の2枠を移動し、前者を土曜11時から、後者を日曜10時からの2時間とした。
<文化放送『三人称・鉄塔 ひとりのよる』>
ラジオNIKKEIは、2つの個人投資家向けの番組をスタートした。『みんなのFXラジオ』(火、16・15―17・00)は「個人投資家の悩みを解決すること」をコンセプトに、現役為替ディーラーの井口喜雄をパーソナリティに迎え、プロの視点で為替トレードのヒントを届ける。SNSを活用して、リスナーとの双方向で進めていくことで、実践的なアドバイスを提供する。
『US Stock Market Press』(水、22・30―23・30)は、米国株の投資に特化した生放送のマーケット情報番組。個人投資家から高い関心を集めている米国株について、現地アメリカからのリポートも交え、最新のニューストピックやテクノロジーの解説など、今後の米国市場の見方がわかるポイントや個別銘柄情報を届ける。日経平均株価がバブル崩壊以降の最高値を更新したことや来年からの新しいNISAなど、一般のニュースでも株や投資について取り上げられている昨今。幡野裕樹・編成部担当部長は「株式投資に限らず、債券や為替など投資も多様化している。投資家の裾野を増やしていきたい」と新番組の狙いを語る。
<ラジオNIKKEI『US Stock Market Press』>
昨年4月から「Find Your Colors」をステートメントにしているinterfm。砂井博文・コンテンツビジネスユニット マネージャーは10月改編について「『音楽レコメンド』と『ダイバーシティな編成』を強化すべく、新番組をスタートした」と説明。『鈴木エイト MIDNIGHT TRACKING』(最終土、27・00―27・20)はジャーナリストの鈴木エイトがさまざまな分野のゲストを迎え、お互いの世界を追究していくトーク番組。初回には爆笑問題の太田光が出演する予定だ。
今年で20回目を迎える「東京国際ミュージック・マーケット」とのコラボ番組『DIG THE J-MUSIC supported by TOKYO INTERNATIONAL MUSIC MARKET』(土、21・00―21・30)では、世界へ届けたい日本の音楽文化を、関根麻里が英語で発信する。女性アイドルが出演する番組も。5人組アニソンボーカルグループ「ARCANA PROJECT」と、今年3月で終了した『かよらじ』から半年ぶりのカムバックとなるシンガーソングライターの草野華余子による『草野華余子とARCANA PROJECTの"相思相愛レディオ"』(火、25・30―26・00)がスタート。このほか、アイドルグループ「アンスリューム」「uijin」「SAD originals.」の冠番組も並んだ。
<interfm『DIG THE J-MUSIC supported by TOKYO INTERNATIONAL MUSIC MARKET』>