放送日誌 2025年4月

編集広報部

放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2025年4月分を掲載。

【民放連】
4.2 緊急対策委員会を開催。フジテレビジョンの女性アナウンサーが同社番組の出演タレントから性暴力による重大な人権侵害の被害を受けた事案に関し、同社の対応状況等を清水賢治社長から報告を受け、民放連の対応として①フジテレビジョンに対する厳重注意、②会員社に対する人権尊重およびコンプライアンス徹底の要請を決定。同社の対応に人権意識およびコンプライアンスに著しく欠けるところがあったことを踏まえ、遠藤龍之介会長名の文書で厳重注意。あわせて「再生・改革に向けた取り組みの進捗状況や実施成果について適切な時期に報告」や「民放連が実施する人権意識向上の取り組みに積極的に協力」すること――などを要請。また、会員各社に対し同日付文書で、各社社内において人権尊重およびコンプライアンスの徹底に関する体制などの再点検を進めることを求めた。

4.2 遠藤龍之介会長が辞任。次の会長が就任するまでの間、堀木卓也専務理事が会長の職務を代行する。

4.25 会長推薦委員会、次期会長の候補者に早河洋氏(テレビ朝日・代表取締役会長)を選定。

4.25 「民放メディアリテラシーポータルサイト」を民放連ウェブサイトに開設。各放送局のメディアリテラシーのさまざまな取り組みに関するリンク情報を随時更新する。

4.− 2025年度「地球環境問題啓発スポット」の放送が会員社のテレビ・ラジオで始まる。新たに制作した「エコミュージカル」篇と前年制作した「続・最果ての友人」篇を継続してそれぞれ放送する。今回で18年目の取り組み。

4.― 「放送番組の違法配信撲滅キャンペーン」の取り組みの一環として、新たに小・中学生向けの解説動画を公開。「違法だよ!あげるくん」のキャラクターを活用し、クイズを交えて著作権侵害についてわかりやすく伝える。

【放送・マスメディア】
4.1 読売中京FSホールディングス株式会社〔FYCSHD〕が設立(3月7日に電波審理審議会の答申を受け、同11日に総務省から認定放送持株会社の認定証交付)。日本テレビ系列4社(札幌テレビ放送・中京テレビ放送・読売テレビ放送・福岡放送)が経営統合した完全親会社。代表取締役会長に丸山公夫・中京テレビ放送代表取締役会長、代表取締役社長に石澤顕・日本テレビホールディングス取締役副会長、取締役に堀竜一・前読売新聞東京本社取締役メディア局長が就任した。認定放送持株会社は13社目。

4.1 讀賣テレビ放送株式会社が商号表記を「読売テレビ放送株式会社」に変更。

4.1 BPO・放送倫理検証委員会の新委員に小柳ちひろ氏(ドキュメンタリーディレクター)、水谷瑛嗣郎氏(慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所准教授)がそれぞれ就任。前委員の長嶋甲兵氏と西土彰一郎氏は3月31日付で退任した。▶同放送人権委員会の新委員長に廣田智子氏(弁護士)、新委員に成原慧氏(九州大学大学院法学研究院准教授)がそれぞれ就任。前委員長の曽我部真裕氏は3月31日付で退任した。▶同青少年委員会の新委員長に吉永みち子副委員長が就任。榊原洋一氏は3月29日に亡くなり同日付で退任した。

4.8 日本新聞協会、『放送で気になる言葉 2025』を刊行。改訂は14年ぶり。

4.11 BPO・放送倫理検証委員会、2025年1月17日に通知・公表した同委員会決定第46号「テレビ東京『激録・警察密着24時!!』『鬼滅の刃』の模倣品捜査密着事案」に関する意見を一部修正。読み手に誤解を生じさせる可能性があるとしている。

4.13 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が開幕。期間は10月13日まで。前日(12日)、在阪テレビ局で『民放5局同時生放送!EXPO2025大阪・関西万博開幕前日SP』(11:00~11:30)を生中継で放送した。同29日には関西ラジオ局で『関西12局ラジオ合同特番「KANSAI EXPO RADIO」~繋がろう!ラジオからこんにちは!~』(14:00~16:00)を一斉生放送した。

4.24 BPO・放送倫理検証委員会、毎日放送の情報バラエティ番組『ゼニガメ』に、「放送倫理違反があった」とする意見書を通知・公表。審議の対象となった同番組3件中の2件(2023年11月29日、2024年5月8日放送)については放送倫理違反があったとまでは言えないとしたが、2024年7月17日放送分は、家の清掃作業で発見した金庫とその中に入っていた金の延べ棒を業者が"仕込んでいた"と後日判明した。この放送について、基本的な事実確認などの取材が不十分だったと言わざるを得ないとして、放送倫理違反があったと判断した。

4.30 フジ・メディア・ホールディングス〔FMHD〕とフジテレビ、「フジテレビの再生・改革に向けた8つの具体的強化策」を総務省に提出。人権への影響評価体制の構築、コンプライアンスの確保・体制の強化、編成・バラエティ部門の解体再編、役員定年制の導入、在任期間の制限――などを盛り込む。

4.30 日本新聞協会、総務省「デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けた広告主等向けガイダンス(案)」に対する意見を公表。同案によるデジタル広告市場の課題への指摘を踏まえ、▶中・長期的なブランド価値向上などが重視される市場の拡大▶市場のプレーヤー全体での技術的対策の進展に期待・要望を示した。

【行政・海外】
<行政等>
4.3 総務省、村上誠一郎総務大臣名によりフジテレビジョンおよびフジ・メディア・ホールディングスに対し厳重注意の行政指導を行った。両社が「人権・コンプライアンスに関する対応の強化策について」で示した対応の具体化と実施を通じた人権尊重、コンプライアンスやガバナンスに関する施策の実効性の確保等を求めたほか、経営陣の意識改革を強く要請。4月中に上記強化策の具体化について、さらにその実施状況を3カ月以内にそれぞれ明らかにするとともに同省への報告を求めた。民放連に対しても①人権尊重、コンプライアンスやガバナンスに関する施策の実効性を確保するよう取り組むとともに、②この取り組みを会員各社に徹底するよう要請した。また、NHKに対しても①と同様の要請を行った。

4.25 「電波法及び放送法の一部を改正する法律」が公布。①電波利用料制度の3年ぶりの見直し、②中継局を廃止する際の受信者保護規律などを新たに規定。①では料額改定のほか、利用料の使途を拡充し、テレビ中継局など既存の無線設備について、代替有線設備等への変更工事に要する費用への給付金の支給等を可能とした。②では民放事業者がやむを得ず中継局を廃止する際、放送番組を引き続き視聴できるようにする努力義務を課しており、今後、放送法施行規則などにより具体化される。

<海外>
4.22 米ワシントンD.C.連邦地方裁判所が米政府に対し、政府系メディア(ボイス・オブ・アメリカ〔VOA)、ラジオ・フリー・アジア〔RFA〕、中東放送ネットワーク〔MBN〕)への資金提供停止の差し止めと報道活動の再開を命じた。

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