作り手の思いに触れ、番組の魅力を違った角度から楽しむシリーズ企画「制作ノートから」。第8回はエフエム鹿児島パーソナリティ・佐々木貞幸さんに、9月16日から9月17日にかけて放送した『24時間Radio今夜がやまだ 乾き亭げそ太郎と佐々木貞幸が足元をすくう』について執筆いただきました。(編集広報部)
エフエム鹿児島の『ササッとササる ササキングのサササササンデ~月壱~』や『ホンダミュージックロード』でパーソナリティを務め、50歳を迎える私は、年明けの2024年1月6日、「24時間ラジオ!⿅児島でもオンエアいかがでしょうか?」――とエフエム⿅児島の取締役営業部長へ電話をし、ここから全てが始まりました。
番組を提案しようとしたきっかけは北九州市のCROSS FMさんが2023年12月に放送した番組。鹿児島だったら、24時間どんなことをしていこうと考え始めました。
ひたすら妄想ですよね。だってやったことないんですもん。
まず、進行の要となる女性パーソナリティを思い描く。それなら、ここにこんなスポンサーさんが入ってくだされば時間的にも合うよな......すべて妄想です。
さらに時間帯に合う⼥性パーソナリティを掘っていくと、まさに「朝のヒト」「スポーツのヒト」「テレビのヒト」「夕方に合うヒト」「何を言ってくるかわからないヒト」とそれぞれの顔が思い浮かび、勝手な妄想が具体的な想像になり、番組に近いイメージにつながる。これを積み上げて番組の大枠ができてきました。
いまはSNSの時代、友⼈でも他⼈でも知⼈でも覗ける時代。それは、匿名でなんでも言える。よし! 逆に昔のように電話リクエストみたいにしてリスナーさんと直接話すのも良いのかも⁉ 急いで、エフエム鹿児島ディレクターへ相談すると「私、経験がありません」。
......確かに私もない。自分から電話をかけるだけでもハードルが高い、さらに通話料がかかるのに電話してくださるかな......。でも信じよう、リスナーさんを!信じよう!――ここもチャレンジだ!
なんとなく、形が見えてきたかも! タイトルどうする?
私だけでなく、地元でタレントとして活動し、今回24時間一緒にパーソナリティを務めてもらう乾(かわ)き亭げそ太郎さんもどちらかというと笑いをいただきたい方向を向いている。ここからは、タイトルに向けてひたすら連想ゲームです。
24時間といえば愛が地球を救うよな。笑いが地球を救う......
ハードル上がるよな......救う、掬う、すくう......足元をすくう。
そんな言葉はない(笑)
いや、足元をすくわれるはある。
油断したら足元をすくわれるぞ!なんてこと聞くよな。
確かに深夜とか油断しそう。いやそんなこと絶対しない!
番組パーソナリティ2人は50代。夜中、寝ずに過ごせるのか?
つまり、今夜が山だな。
話を元に戻そう。
足元をすくわれた方が面白いんじゃないかな。
リスナーさんにでも女性パーソナリティや架空のゲストさんにでも。
足元をすくっていただけたら。
実際は、それは私とげそ太郎さんが"救われる"ことになる。
"すくう"と"救う"は音で聞くと同じか!
――このような感じで、「ラジオは音のメディア」と決心、『24時間Radio今夜がやまだ 乾き亭げそ太郎と佐々木貞幸が足元をすくう』とタイトルが完成しました。
ご協力をしていただきたい企業様をリストアップ!
24時間=コンビニ。夜もあるしお酒=鹿児島といえば焼酎!――などを想像しながら自らセールスシートを作成。しかし、広告のプロではないのでここは広告代理店さんに入っていただいた方が良いんじゃないか? お世話になっている企業様は直接でもイケるけど筋道的に⼀旦代理店さんに相談してみよう!
その結果、25年以上お付き合いいただいている企業様にご相談させていただけることになりました。そのやりとりのようすを少し、紹介します。
「24時間ラジオにチャレンジするんです!」
「そう!ウチも協賛するよ。でどんな内容なの?」
「⼀緒に作っていきましょう!」
「ワイがすったればヨカが(君がするんだったら協力するよ)」
「ありがとうございます!涙!どの金額にします?」
「いっばん下で(⼀番下で)」
「ご協力いただきありがとうございます‼‼」
⼀度もオンエア実績がない番組にご協賛していただく。本当に⼒強く押していただきました! この場をお借りしまして、心より深く感謝申しあげます!
スポンサー様もご協力いただける。よし、内容の詰めに着手!
「テレビのヒト」としてイメージした女性パーソナリティを見返すと鹿児島読売テレビでリポーターを務めている。げそ太郎さんが鹿児島テレビに出演中。私も2017~2021年まで鹿児島放送さんに出させていただいたのでギリギリ鹿児島放送。とすると南日本放送さんが加わって下されば「夢のテレビのヒトたち大集合」が組める‼ こんな事OKして下さるのか? なんと⾔っても南日本放送さんはラジオ放送もされている! 怖い! お伺いはどうする? オンラインで企画書送る? いや、受け取り方に違いが出るとまずい! じゃぁどうやってアポとる? もう! 想いを思い切って伝えよう! 長文を送信‼
「面白そうですね。お話をお聞かせ下さい」
よし‼ いつでも伺います‼ と送信。無事アポが取れました! そこから「鹿児島の夢のテレビのヒトたち大集合コーナー」ができました。
深夜に聞いていただくだけでも有り難い。
つぎに、タイトルの「今夜がやまだ」どおり、深夜はどうするか。
何で釣ろう。やっぱりギフト券的なプレゼントは効果的なハズ! で、メッセージを"読まれたら必ずもらえる"とさらに引きがいいのではないか? 釣りではないけど。これに決めた。
テーマはどうする? 深夜だし、心の奥底にある黒いものを吐き出してもらおう! あんな⼈が良さそうなげそ太郎さんも必ずあるはず!イカだし。鹿児島のリスナーさんが多いだろうし、鹿児島な感じも出したくて"わっぜビンテくる話(すごく頭にくる話)"とした。
ちょっと待てよ。この深夜からそしてこの深夜にお仕事されてる方もいらっしゃる!この時間はわれわれもリスナーさんに参加して応援していただきたいし、われわれも今お仕事されている方々を応援しよう! 未明からの深夜の方向性も決まってきた。
あとはエンディング。
必ず入れたいのはご協賛社様の生読み。24時間しゃべってきたわけだし絶対に疲れている。そんな中で生読み。実際、震えました。そしてこれまで出演いただいた女性パーソナリティの皆さんも仕事をしているので、また朝来てね! と軽々しく言えない。最後まで直接言いませんでしたが、エンディングには全員来てくれました! 涙! 花束は誰1人抱えてませんでしたが。笑
あっという間の24時間でした。楽しかったし、関わってくださったみんなが支えてくださったから、完結できました。感無量とはこのことですね。
最後に、ラストソングはQueenの『Radio Ga Ga』。この曲をBGMにラストコメント言えるなんて中学生くらいの自分自身に言いたいですね。夢はかなえられるんだと。 そしてラジオ放送に関わる皆さんと、この気持ちを持ってこれからも楽しんでいきたいですね。