【メディア時評】ジャンル多様な音楽家の番組揃う 未来の喋り手にも期待 2021年秋のラジオ新番組

やきそばかおる
【メディア時評】ジャンル多様な音楽家の番組揃う 未来の喋り手にも期待 2021年秋のラジオ新番組

ツイッターやインスタグラムのほか、SNSで動画を公開したり、音声配信アプリで自分の思いを自由に配信できる時代、受け手側も魅力的な人を発掘しやすくなった。今秋は、地域にゆかりのある人が専門分野を活かした番組が続々と登場している。

中でも音楽家の番組が目立つ。今改編に先立って、話題のピアニスト・ハラミちゃんは春に「ハラミちゃんのハラミファソRadio♪」(TOKYO FMほかJFN系列で放送)をスタート。MROラジオは8月から「中本美智子のMy Favorite Song」(日、15・15―15・30)を放送している。中本氏は金沢出身のジャズボーカリスト。ロサンゼルスで演劇を学び、台湾でモデルや舞台女優としても活動。現在は金沢を拠点にしている。番組では3カ国語が話せる能力を活かしてジャズの歌詞を解説しており、語学学習にもピッタリだ。

FMヨコハマでは横浜出身のサックスプレイヤー・手錢葵子の「あなたと夜と吹奏楽」(土、21・30―22・00)が10月にスタート。手錢氏は東京音楽大学を首席で卒業。演奏と司会をこなす多才な彼女の、リスナーから届いたメッセージに対する返しが面白く、音楽に詳しくない人でも興味が湧く話を展開する。演奏していて気持ち良い部分を募集する「快感旋律」のコーナーや、番組のサイトで同局のジングルの楽譜を公開しているほか、リスナーが演奏した音源を紹介する企画もある。

ZIP―FMでは、地元のワンマンライブで1,000人を動員する三重出身の人気ギタリスト・竹田京右の「VIEWS OF REVIEWS」(金、23・30―24・00)が始まった。夜景が大好きな竹田氏の、金曜の深い時間に聴きたくなる話と音楽が楽しめる。エフエム京都では、ストリートピアノに着目した実験的な番組「SKWAT HERTZ」(火、23・00―23・30)がスタート。プロの音楽家を招いて話を聞くほか、複合商業施設COCON KARASUMAのアトリウム空間に期間限定で設置されたストリートピアノを一般の人が演奏する様子も放送するところがユニークだ。RKCラジオ「ハイスクール・バップス♪」(火、17・25―17・30)は高校生にクローズアップし、県内の高校生ミュージシャンの楽曲を紹介。ナビゲーターも県の高校の放送部員が担当する。

さらに、RABラジオでは若手の津軽民謡歌手・かすみの番組「かすみの聴いでけ!!唄っこ♪話ッコ!」(金、21・00―21・30)が始まった。かすみは栃木出身。津軽民謡に魅せられて15歳で青森に移り、第17代民謡王座・須藤圭介の元に弟子入りし、19歳の時に史上最年少で第54代民謡王座に輝いた。番組では民謡の話のほかに、ほっこりとする近況を聞くことができる。放送する曲も話の内容とリンクさせている点が秀逸。YBCラジオは「白崎映美のちょっと寄ていげRADIO*GAGA」(火、16・20―16・50)を開始。白崎氏は上々颱風(シャンシャンタイフーン)のボーカルを務める、酒田市出身のアーティスト。「GAGA」は庄内弁で"お母さん"の意味。同局には朝倉さや、山口岩男など山形の方言が良い味を出している番組が並び、白崎氏も庄内弁の優しい口調で話す。

音楽以外に目を向けると、FMとやまで始まった「林輝幸のオッケイQ」(金、11・30―11・55)は地元出身で東大卒のクイズ王・林氏が富山のモノ・コト・ヒトを徹底的に追究していく。クイズ王の視点で語られる話が新鮮だ。和歌山放送「はやのりの介護一本道」(第1・3土、19・30―20・00)は地元の介護相談センター「ピース&ピース」のはやとさん、のりちゃんの2人が介護にまつわるリアルな話を明るく笑い飛ばす。RKBラジオでは、栄養士の資格を持つ料理が得意な芸人・おのうえちえの「今夜、サバき。」(日、24・00―24・15)が開始。料理を作っている自分の動画に自分でツッコミを入れながら進行。クスリとさせるトークと、聞けばお腹がすく調理音も楽しさのポイントだ。

このように各地域の魅力的な人がラジオを支えているわけだが、他にもまだたくさんの逸材が眠っている。ラジオ沖縄では10月から3カ月限定の番組「今週のリスナーDJ!」(土、7・50―8・00)を放送。リスナーに3~4分のトークと曲紹介を録音して送ってもらい、流してほしい曲とともに放送する番組。親子でのチャレンジや、特技を披露するのも面白そうだ。ここから未来の喋り手が生まれるかもしれない。

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