第62回ギャラクシー賞 民放関係は九州朝日放送、関西民放NHK連携プロジェクトが大賞を獲得

編集広報部
第62回ギャラクシー賞 民放関係は九州朝日放送、関西民放NHK連携プロジェクトが大賞を獲得

放送批評懇談会が主催する第62回ギャラクシー賞の贈賞式が6月2日、都内で開催された。民放関係で大賞を受賞したのは、昨年に続き民放が独占したラジオ部門の九州朝日放送と、報道活動部門の関西民放NHK連携プロジェクトの2者。テレビ部門の大賞はNHKの『連続テレビ小説「虎に翼」』が獲得した。

司会は昨年と同じく、フリーアナウンサーの鬼頭里枝さんと山陰放送の森谷佳奈アナウンサーの歴代のDJパーソナリティ賞受賞コンビが担当。各賞の関係者は壇上で喜びや思いを語った。

ラジオ部門大賞の九州朝日放送『MANDAN』は、高級炊飯器で炊いた米は味が違うのかというトークから、生放送中にプロデューサーが家電量販店で10万円の炊飯器を購入し、実食した回。リスナーを巻き込むライブ感と一体感で、ラジオが持つダイナミズムを最大限に発揮し、熱いトークと行動力で予定調和を打破したと評価された。KBC MoooV制作部ラジオチームの米嵜竜司(よねざき・りゅうじ)プロデューサー(=冒頭写真)は、「ラジオのレギュラー生放送を大事にしていきたい」と述べ、「毎日、毎週の放送で『面白かった』とわかりやすい評価を得ることは少ない。まさかこのような賞をいただけるとは思っていなかった」と驚きを交えて喜びを語った。

大賞受賞を受けて同番組の出演者であるきょんちゃん、ハニーさんも登壇。きょんちゃんは「ラジオパーソナリティになって19年間で一番うれしい。やったー」と喜びを表現した。ハニーさんは「ラジオパーソナリティになり20年、こんなにうれしいことはありません」と涙を流しながらコメント。米、炊飯器を扱った回ということで「リスナーと一緒に"ふっくら炊き上がっていく"のがわかった」と語った。米嵜プロデューサーは、「オープニングトークを聞いて、(炊飯器を)買いに行ったら面白くなると思って走った」と振り返った。

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<『MANDAN』のハニーさん㊧ときょんちゃん㊨>

報道活動部門の大賞は、関西民放NHK連携プロジェクト(毎日放送、朝日放送テレビ、読売テレビ放送、関西テレビ放送、テレビ大阪、サンテレビジョン、NHK大阪放送局)が実施した「阪神・淡路大震災30年 関西民放NHK連携プロジェクト『守りたい、だから 伝える』」。世代と組織の垣根を越えて勉強会を実施したほか、「守りたい、だから伝える」をキャッチフレーズにした告知CMを制作するなどの活動が、今後の災害報道の形を模索した前例のない取り組みと評価を受けた。代表してトロフィーを受け取ったサンテレビジョンの永谷和雄さん(地域情報局長兼報道制作センター長)は、「震災30年でこの枠組みができた。来年は31年となるが、今後も防災のために続けていきたい」と語った。

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<関西民放NHK連携プロジェクトの受賞者>

テレビ部門の大賞、NHK『連続テレビ小説「虎に翼」』は、主人公・寅子の半生を通じて人権や平等の問題に真っ向から挑み、ドラマの新しい地平を切り拓いた創造性が賞賛された。

放送文化や放送事業に貢献した個人を称える「志賀信夫賞」は、南日本放送の中村耕治相談役に贈られた。地域に根差したローカル局のあり方について積極的に発言・実践してきた功績が称えられた。「地域に根を張っていこうと、さまざまなメディアと連携して"横のネットワーク"を広げてきた。地域に軸足を置き、東京を中心としたネットワークだけでなく、自らの立ち位置において、それぞれが多様なネットワークを作っていくことが、道を拓いていくのではないか」と中村相談役。「地域メディアはまだまだ発展途上であり、今回の賞はローカル局、地域メディアに対する激励だと思っている」と述べた。

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<南日本放送の中村耕治相談役>

ラジオ部門の「DJパーソナリティ賞」は、広島エフエム放送『大窪シゲキの9ジラジ』のパーソナリティを務める大窪シゲキさんが受賞した。「9ジラー(同番組のリスナー)全員で取った賞」とコメント。番組は9ジラーの居場所だとして、「全国で放送されている『SCHOOL OF LOCK!』が学校だとしたら、地方の10代向け番組は教室だと思っている」と語り、「その居場所が栄誉ある賞に選ばれてうれしい」と話した。

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<大窪シゲキさん>

コンテンツやシステムの新境地を開拓した意欲的な取り組みを評価・応援する「フロンティア賞」は、radikoが選ばれた。登壇した岡田真平さん(㈱radiko取締役マネジメント推進室長兼テクノロジー推進室長補佐)は、「すべてのラジオ局の皆さまが、新たなフロンティアを拓いていこうと強い思いを持ち一緒に進んでいただいて実現できた。広告主、広告会社、出演者、権利者によっていまのradikoができている」として「ラジオ業界全体でいただいた賞だと思っている」と語った。椎名剛史さん(同プラットフォーム推進室プロデュースチームリーダー)は、radikoとラジオのリスナーの違いについて「タイムフリー機能によって、リスナーのライフスタイルにあわせて番組を楽しんでもらえている」とコメント。掛原雅行さん(同テクノロジー推進室長)は今後のサービス展開として「radikoが自動車でも聴くことができるように考え、準備を進めている」と話した。

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<左から順にradiko社の岡田真平さん、椎名剛史さん、掛原雅行さん>

テレビ部門の個人賞は、関西テレビ放送『アンメット ある脳外科医の日記』とTBSテレビ『日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」』の演技で杉咲花さん、同部門の特別賞は、NHK『バリバラ』、テレビ番組を対象に視聴者が投票を行うマイベストTV賞のグランプリには、テレビ東京『ドラマNEXT「ひだまりが聴こえる」』にそれぞれ贈られた。

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<杉咲花さん>

各部門の優秀賞は以下のとおり(選奨・奨励賞とCM 部門はギャラクシー賞のウェブサイトを参照)。

第62回ギャラクシー賞 優秀賞
【テレビ部門】
テレ東の人気企画を世界のテレビ局がやってみた!テレ東スマッシュヒッツ(テレビ東京)
情報は誰のもの?~ごみ処理施設と情報公開~(RKB毎日放送)
題名のない音楽会(テレビ朝日)
【ラジオ部門】
▷CBCラジオ特集「20年目」(CBCラジオ)
▷KNB報道スペシャル「ふるさとの亀裂~地震と過疎と原発と~」(北日本放送)
▷ABCラジオぼうさい部スペシャル あの日に学ぶ未来への備え(朝日放送ラジオ)
【報道活動部門】
刑事司法の壁に挑んだ一連の検証報道(関西テレビ放送)
旧優生保護法 強制不妊手術をめぐる一連の報道(東日本放送)

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