音声コンテンツの可能性を示す「AuDee」 ローカル局の発信も効果的に 間口広げエリア外へ 

編集広報部
音声コンテンツの可能性を示す「AuDee」 ローカル局の発信も効果的に 間口広げエリア外へ 

音声コンテンツ配信プラットフォーム「AuDee」は2020年7月にスタートし、TOKYO FMおよびJFN(ジャパンエフエムネットワーク)が制作する音声コンテンツや、JFN系列局のコンテンツ、番組関連の記事などを配信している。

AuDeeの担当者と、オリジナルコンテンツを配信しているエフエムラジオ新潟とエフエム山陰に、音声コンテンツ配信の現状と手ごたえを聞いた。

TOKYO FM「AuDee」
リスナーとの関係深める

TOKYO FMは2020年4月に開局50周年を迎え、デジタル領域でのサービスを拡大していくこととし、その一環でAuDeeを立ち上げた。既存リスナーの聴取スタイルの変化に対応し、より多くのリスナーに良質なエンターテインメントを提供することを目指している。放送番組のスピンオフや配信オリジナルコンテンツなどをラインアップしている。

AuDeeをはじめとするTOKYO FMのデジタル事業収益は2022年度で前年度比1.5倍に増加。また、2022年6月から月額課金サービス「AuDeeプレミアム」をスタートし、ユーザー数の推移も好調。利用継続意向に関する調査では、92.3%のユーザーから「今後も利用したい」との回答があったという。

コンテンツをAuDeeにアーカイブすることで、新規リスナーは番組をさかのぼって聴いて途中から参加することが容易になり、リアルタイム聴取に誘導できる。既存のファンとは関係をより深めるサービスが提供できるようになった。

音声コンテンツだけでなく、そこから派生した企画も展開。配信コンテンツのパーソナリティによるオンラインイベント「AuDee Connect」や、『Hello!飯田ワーク』のオンラインくじなど、2次展開を多数実施している。

担当者は今後について「B to Bではコンテンツを中心に動画やSNSなどと連携させた立案でスポンサーの期待に応え、B to Cでは番組ごとの個別課金サービスの導入や、多彩かつ魅力的なコンテンツをこれまで以上に提供することでリスナーとの関係を深めていきたい」とコメントしている。

エフエムラジオ新潟「LOTS ON」
放送でもデジタルでも良いものを

エフエムラジオ新潟は2021年10月、デジタル音声コンテンツサービス「LOTS ON」を開始した。同社のオリジナルコンテンツのほか、AuDeeやラジコのおすすめ番組をウェブサイト上にラインアップしている。国内のデジタル音声広告の市場規模拡大が期待される中、ローカル局も率先してデジタル音声コンテンツに着手すべきと考え、さまざまなトライアルを実施。番組派生のコンテンツやオリジナルコンテンツ、リスナーが作成したものなど、これまでに50以上のコンテンツを作成してきた。

当初、同社はデジタル音声コンテンツの制作経験がなく、常に試行錯誤だったが、現在では事業として軌道に乗ってきているという。継続的に聴取されており、冠提供がついたコンテンツもある。

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LOTS ONは同社ウェブサイト上での聴取がメインだったが、2022年6月からAuDeeとの連携を開始。SpotifyやApple、Googleなどでもオリジナルコンテンツを聴けるようにした。常に20以上のコンテンツを配信しており、特に『関田将人のレッツ!Nスポ!!』はAuDeeコンテンツランキングで6位になるほど反響がある。パーソナリティの得意分野を扱ったコンテンツで、発信者の思いや楽しむ姿勢をリスナーが支持しているようだ。

放送と配信の差別化については、当初は「LOTS ONでしか聴けない」ことを重視していたが、現在はこだわっていないという阿部香里デジタルコンテンツ室長。「今後、放送もデジタルも線引きが曖昧になる可能性があるので、差別化をしなくてよいと感じ始めている。放送でもデジタルでもよいものを届けたい」とコメントしている。

エフエム山陰「ふるさとステーション」
U・Iターンにつなげる

エフエム山陰は2020年4月からJFN各局として最初に「AuDee」でオリジナルコンテンツを配信し始め、「ふるさとステーション」を立ち上げた。少子高齢化と10、20代の人口流出が加速している山陰地区。そこで同社は、地元メディア・地元企業として問題解決と山陰地区の持続的発展に貢献すべく、地元でも県外でも音声コンテンツを聴くことができる「AuDee」の特性を活かし、山陰出身で県外に暮らす若者やその親世代に向けて「山陰に帰り、山陰で暮らす、山陰で働くことの魅力」を届けることを目的にスタートした。

「AuDee」で同社のコンテンツを届けることで、常に故郷を意識させ、将来的なUターンにつなげる。また、山陰地区への移住に関心がある層に向けて魅力を発信し、Iターンの機運を高める。

「エフエム山陰ふるさとステーション」は、毎週1回レギュラーコーナーとして番組連動しながら展開。独自の地域情報、エンタメ情報を発信している。クライアントの成約にもつながっているという。その他では、オリジナルコンテンツ『"奏"と"とーや"のChit Chat』や、『おがっちのレトロ本舗』(金、18・00―19・00)のアフタートーク、地元バンドのライブ音源を随時更新している。こちらの人気も上々である。今後は「引き続き魅力的なコンテンツの探求と普及促進に取り組みたい」としている。

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