米FCCがスポーツ中継の慣行と市場動向をめぐって意見募集 配信への分散とローカル局への影響を検証

編集広報部
米FCCがスポーツ中継の慣行と市場動向をめぐって意見募集 配信への分散とローカル局への影響を検証

米連邦通信委員会(FCC)は2月25日、メディアにおけるスポーツの生中継の慣行をめぐって一般から意見募集を開始した(冒頭画像は意見募集の公示)。配信全盛時代にスポーツ中継の視聴環境が大きく変化していることから、ユーザー側の視聴体験やローカル放送局への影響を検証するという。提出期限は3月27日、それに対する返信コメントは4月13日まで受け付ける。ただし、その結果を踏まえてFCCがどのような施策を講じるのかは示されていない。

FCCは公示で「米国の視聴者は、長年にわたってテレビの電源を入れればお気に入りの試合を地上波放送で無料で視聴することができた」と記述。しかし近年、スポーツ中継が有料配信サービスへと移行するケースが急増し、「試合を観ることが以前ほど容易ではなくなっている」との認識を示した。複数の配信サービスに分散した結果、見たい試合を探しにくくなり、視聴するために複数の有料動画配信サービスに加入する必要が生じるなどコストと利用の複雑さが増している。

現実に米国のスポーツ中継は急速に変化している。アメフトリーグのNFLは現在、Disney(ESPN/ABC)、Paramount(CBS/Paramount+)、Fox(Fox/Fox One)、NBCUniversal(NBC/ピーコック)のほか、Amazon Prime Video、YouTube、Netflixなどとも契約を結ぶなど2025年にNFLの試合は10種類のサービスで放送・配信されている。すべての試合を視聴するには年間で1,500㌦(約23万8,000円)以上の費用が必要になるとの試算もある。NFLのメディア権料収入は契約期間全体で1,000億㌦(約15兆8,000億円)を超える見込みともいわれ、MLB、NBA、NHLなど他の主要プロリーグや、さらには大学スポーツも数十億㌦規模のメディア権契約を結んでいる。スポーツリーグにとってこれらの権料はスタジアムの入場料に代わる最大の収益源となりつつあると、米メディアは指摘する。

スポーツ視聴の形態そのものも多様化している。調査会社「Altman Solon」が公表した「第7回グローバル・スポーツ調査」によると、若年層ではライブ中継に加えハイライトや短尺動画など複数のフォーマットでスポーツコンテンツを消費する傾向が強まっているという。これまでのテレビ中継中心の構造から、SNSや配信サービスを含むマルチプラットフォーム型へとスポーツの視聴方法も移行している。

FCCは今回の意見募集で、こうした市場構造の変化が消費者にどのような影響を及ぼしているかを検証するとともに、ローカル放送局への影響にも注目している。スポーツ番組はローカル局にとって重要な視聴者獲得手段で、ローカルニュースや地域報道を継続していくためにも不可欠なものだ。それだけに、複数の配信サービスにスポーツ中継が分散化していくことが放送局の公共的役割にどのような影響を与えるかについても意見を求めている。

これに対し、全米放送事業者連盟(NAB)のカーティス・ルジェット会長は声明で「スポーツ中継を無料の地上波テレビで視聴できる環境は米国のスポーツ文化の重要な柱。有料配信への分散が進みファンが試合を見るための費用と複雑さが増している」との認識を示し、ローカル局がスポーツ中継権の獲得競争に参加できる環境を確保する必要性を強調。あわせて、放送局の規模拡大を制限している「メディア所有規制」の見直しの必要性にあらためて言及している。

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