フランス・カンヌで世界最大級のコンテンツ見本市「MIPCOM 2022」 が10月17日に開幕した。主催者(RX France)トップのルーシー・スミス氏が初日の朝一番に壇上に立って来訪者を歓迎したのは、同イベント会場付近のホテルで開かれた「国際ドラマフェスティバルin Tokyo」による朝食会の席上だった。
ここで、"MIPCOM BUYERS'AWARD for Japanese Drama"の受賞作品の発表が行われた。国際ドラマフェスティバルがノミネートした9作品の中から、海外に最もアピールする作品として『連続ドラマW 正体』(WOWOW)がグランプリに選ばれ、フジテレビジョンの『ミステリと言う勿れ』が奨励賞を受賞した。
<ルーシー・スミス氏㊨があいさつ>
"MIPCOM BUYERS'AWARD for Japanese Drama"は、海外からコンテンツの買い付けをする「バイヤー」が「自分で買いたい」「自分のマーケットで紹介したい」作品を選出するもので、今年で13回目の開催となる。在京、在阪の放送局が制作した以下の9作品がノミネートされていた。
審査員には、MIPCOMやMIPTVでグローバルな視点から注目作品を長年紹介しているバージニア・ムスラー氏(スイス)をはじめ、欧州を中心に、アメリカ、中東、豪州から12名の目利きが参加し、各作品の第1話を全編視聴して審査した。
グランプリの発表を行ったドラガン・ペトロビッチ氏は、「今年度のノミネート作品はどれも粒揃いで、過去13年の中で最も作品のレベルが高かった」と話し、13回目となるイベントを通じて、「日本のドラマがグローバル市場に向けて成長している感触を得た」と、高い評価を示した。
昨年はコロナ禍のため日本の放送局からの渡航がなく、海外バイヤーのみを招待した"授賞発表イベント"として開催されたが、今年は各局の海外番組販売担当者が大勢現地入りし、リアル形式で授賞式が行われたほか、バイヤーと同じテーブルで各局のセールス担当者がネットワーキングをする機会も得られた。
<多くの海外番販担当者が参加>
今年は、コロナ禍の影響が薄れたこともあり、アメリカに拠点を置く中南米のバイヤーらの参加が目立ち、日本のコンテンツに対する関心が中南米にも広がりつつあることを印象づけた。中南米のバイヤーは、「韓国のコンテンツはあるが、日本のコンテンツはまだ少ない」「作品紹介を見て、とても近代的で物語性がある作品が多く驚いた」などの反応があり、リメークを含めた交渉に興味を持っているという声も上がっていた。
受賞作品以外の作品も好評で、ポーランドのバイヤーは、ジェンダーフリーの作品が日本発であるのは新鮮だと語るなど、作品紹介から刺激を受けたと語った。
MIPCOMは17日から20日まで開催される。この間、国際ドラマフェスティバルは会場内にブースを設け、常設モニターでノミネート作品のダイジェスト映像を紹介したり、作品一覧パンフレットを配布したりするほか、同会場にリアル参加している各局ブースの案内をするなどして日本のドラマのプロモートをする。
<会場内にある国際ドラマフェスティバルのブース>
"MIPCOM BUYERS'AWARD for Japanese Drama"の発表資料はこちらから。