米NFLスーパーボウルCM 自動車と暗号資産激減 アルコールブランドの宴に

編集広報部

米最大のテレビ中継イベント、第57NFLスーパーボウルが2月12日(現地時間)に開催され、FOXが生中継する。毎年、試合と同様の注目を集めるのがCM出稿ブランドの顔ぶれと、そのクリエイティブ。FOX2022年9月時点で、広告枠の95%は埋まったと発表していた。2007年以来のハーフタイムショーのスポンサーを務めていたペプシが降り、今年からアップルミュージックが取って代わるほか、バドワイザーなどを販売するアンハイザー・ブッシュ・インベブが1989年以来維持してきたアルコール部門CMの独占出稿権を放棄するなど、CMサイドの話題も豊富な今年のスーパーボウルだ。

大きなトレンドとしては、昨年大盛況だった自動車業界と暗号資産業界が揃って影を潜めていること。米メディアによると、1月半ば現在で出稿を確定している自動車メーカーはKiaのみ。トヨタ、日産、BMWFord、ホンダはすでに出稿しないと発表している。スーパーボウルの常連とされてきたトヨタが全米とローカルの両方のCM枠を見送るのは2011年以降初めて。その理由は、新製品発売とのタイミングが合わないことを挙げている。昨年出稿した電気自動車(EV)スタートアップ企業のPolestarや、中古車販売アプリVroomも今年は出稿しない。ヒュンダイも、NFLのAFCNFCのカンファレンスファイナルで新しいCMを流すが、スーパーボウルには出稿しないという。

自動車CMがほぼ"総崩れ"の理由を、アドエージ誌は業界の不況にあると指摘する。話題沸騰のEVは依然として高額であり、不況下で消費者が出費を控えると需要は伸びない。メーカーとしては広告予算に慎重にならざるを得ない状態だという。

暗号資産業界は一社も出稿しない。昨年のスーパーボウルに威勢よく登場したが、その勢いは1年と持たなかった。結果、ファイナンス部門では税金申告ツールのTurboTaxが孤軍奮闘する。

一方で、賑やかな宴になりそうなのがビバレッジ業界。ノンアルコールドリンク部門では、ペプシがハーフタイムショーの代わりに、3年ぶりに試合中のCM枠を確保。1月発売の新商品のCMを、英語とスペイン語で出稿する。宿命のライバルであるコカ・コーラは出稿しない。

アルコール部門もニューフェイスが続々登場。インベブのアルコール部門CM独占出稿権の放棄を受けて、ライバルのモルソン・クアーズやハイネケン、ミラーが出稿。コニャックのレミーコアントローも、人気ブランドのCMを出稿する。

独占権を放棄したインベブは、これを機にスーパーボウルへの広告戦略を再確認する方針だとし、今大会はCM枠を大幅にスケールダウン。全米CM枠は3ブランドのみに合計3分の全国枠を購入しており、202122年には4分のローカルCM枠を購入したバドワイザーは、今年は30秒枠1つのみ。インベブは、「ビール産業の繁忙期は5月から。寒い2月に高額なCM枠を確保するからには、卸売・小売、Eコマースなどを含め、年間を通じての戦略が必要になる。今年は一度、スケールダウンして様子を見る」としている。

■視聴者参加型のクリエイティブも

ブランドの顔ぶれもさることながら、今年はモルソン・クアーズとアボカド・フロム・メキシコ(AFM)が視聴者参加型のクリエイティブを発表した。AFMはスーパーボウル開催直前に中止を発表したが、新しい取り組みとして注目されている。

モルソン・クアーズは、「スポーツ賭博」のドラフトキングと提携してのCM出稿となる。必要なアプリなどに登録した21歳以上の視聴者が、画面を通じて、スーパーボウルのCMクイズなどにを見て答え、正解者には賞金が贈られる。

中止となったAFMのクリエイティブは、30秒枠のCM画面で二次元コードを表示し、専用ウェブページに誘導。視聴者の合意のもとで、AIツール「ChatGPT」が視聴者に代わってツイートを生成し、発信を促すという趣向だった。視聴者がAIとのインタラクションに興じながら、視聴者にAFMを宣伝してもらおうというアイデアで、中止の理由は、技術的な部分で詰めの作業が間に合わなかったとしている。

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