年末に入り、米大手メディア各社でレイオフが相次いでいる。10月末締め四半期は、大手メディアが相次いで広告売上の不振を報告しており、すでに大手ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー(WBD)、コムキャストをはじめ、配信大手ネットフリックスも大幅レイオフを実施している。11月に入りパラマウント・グローバル、ディズニー、WBD傘下のCNN、配信のROKUもレイオフの社内通達を行った。
そうした中で、CEO解任劇を繰り広げたのがディズニーだ。11月20日、突然ボブ・チャペックCEOが解任され、同日付でボブ・アイガー前CEOが返り咲いた。
チャペックCEOは11月初旬、新規採用の見送りとレイオフの可能性、出張制限などの予算カットを社員に伝えていた。10月締め四半期の売上減と、株価が過去1年で最低を記録するという業績不振が背景にある。ところが、今回の電撃発表。業績不振の原因がチャペックCEOの経営手腕にあるとして、レイオフを実施するはずだった本人が逆に真っ先にレイオフされる結果となった。アイガー新CEOは2024年末までCEOを務めることに合意。新体制下での人事や予算がどのようになるのか、業界の的となっている。
一方で、人件費5%カットのために米国内で約200人(全社員の7%に相当)のレイオフを発表したのはROKUだ。それによって戦略的優先事項に投資を集中するとしている。パラマウント・グローバルも11月初旬、年内に広告営業部門で85人をレイオフすると伝えられている。10月締め四半期報告で、売上は5%伸びたものの、海外市場拡大やコンテンツ経費がかさみ、純利益が減少したことが理由だ。四半期報告の際、ボブ・バキッシュCEOがコスト削減策としてのレイオフをほのめかしていた。この親会社のリストラの流れもあり、傘下のCBSでも組織改革と配信事業改革の一環として、同局エンタメ部門から重役2人のレイオフが発表されている。
新CEOの指揮下、社内全体が揺れているCNNでも、12月初めからレイオフを開始すると社内通達された。人数は発表されていないが、主な対象はニュース業務部門であることと、CNNデジタル部門は対象外であることが発表されている。