米エミー賞中継を約690万人が視聴 アウォード番組復調 『SHOGUN 将軍』効果も

編集広報部
米エミー賞中継を約690万人が視聴 アウォード番組復調 『SHOGUN 将軍』効果も

第76回米エミー賞の授賞式が9月15日(現地時間)、ロサンゼルスのピーコック劇場で行われ、ABCが全米に生中継した。真田広之がプロデュース・主演した『SHOGUN 将軍』の記録的な受賞数で日本でも話題になったが、米国内でも同様に注目を集めた。授賞式の視聴者数も平均687万人(ニールセン調べ)、前年比54%の増と、過去3年で最も高かった。エミー賞は全米テレビ芸術科学アカデミーなどが主催し、米国の放送分野で最も権威があるといわれる(冒頭の画像はエミー賞の公式サイトから)。しかし近年、アウォード番組の視聴者数は低下の一方だった。今年は一転、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、グラミー賞いずれも中継番組の視聴者数の増加をみせ、エミー賞もそれに続いた。

日本でも大きく報じられたように、今年最も話題を集めたのは、FX/Huluで放送・配信された『SHOGUN 将軍』と『The Bear』(邦題『一流シェフのファミリーレストラン』)。なかでもドラマ部門の作品賞、主演男優賞、主演女優賞など主要部門を総なめし、エミー賞史上最多の18部門で最優秀賞を果たしたのが『SHOGUN 将軍』。外国語シリーズ(『SHOGUN 将軍』の台詞は70%が日本語)がドラマ部門で作品賞となるのも初めてなら、日本人受賞者数も史上最多の9人という快挙。SNSには米国人ファンからの祝福のコメントが殺到した。もう一つの『The Bear』は、コメディ部門を席巻。作品賞はHBO/MAXの『Hacks』に譲ったものの、主要4部門を含む全11部門で最優秀賞を受賞した。

米国でのエミー賞中継はABC、NBC、CBS、FOXの4大ネットワークが交代で行っている。今年のABCが最後に担当したのは2020年。パンデミック真っ最中で無観客のリモート開催となり、受賞者も会場に集うことがなく臨場感に欠け、視聴者数も610万人と、その時点では過去最低の数字にまで落ち込んだ。2021年(CBS)は740万人に盛り返したが、2022年(NBC)にまた減少。2023年(FOX)はハリウッドのダブルストライキでエミー賞そのものが延期。今年1月にようやく開催されたが視聴者数は430万人と、エミー賞中継史上最低を記録している。今年はそこからわずか8カ月後の開催という異例の展開となったが、『SHOGUN 将軍』の話題性も奏功して視聴者数も激増。大成功に終わったと言える。

そんな今年のエミー賞授賞式中継を、米メディアは異口同音に「FX/HuluとABCの勝利」と報じた。いずれもディズニー傘下のメディア企業だけに、"一人勝ち"と言えなくもない。とはいえ、ケーブルと衛星経由の有料テレビ局FXがこの20年、苦汁をなめてきたことも事実。『American Horror Story』『The Americans』『Atlanta』など高い評価を受けながら、NetflixやHBOのような大型予算が組めないことが災いして実力に見合った受賞歴がなかった。「それが今回、小気味よく覆された」とニューヨーク・タイムズ紙は好意的に伝えている。

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