NHKの2023年度決算が6月25日開催の経営委員会で議決された。2023年10月からの受信料1割値下げ等により、事業収入は22年度比433億円(6.2%)減の6,531億円で、事業支出は同34億円(0.5%)減の6,668億円。事業収支差金は同399億円減の136億円の不足となり、財政安定のための繰越金のうち受信料値下げに伴う2023年度の事業収支差金の補てんに使用するとしていた280億円から取り崩して補った。NHKの決算が赤字となったのは1989年度以来34年ぶり。
22年度末に2,618億円あった財政安定のための繰越金は、改正放送法に基づいて23年度当初に、▽財政安定のための繰越金が418億円、▽受信料値下げに伴う2023年度の事業収支差金の補てんへの使用が280億円、▽還元目的積立金1,920億円に組み替えを行っていた。本決算を踏まえて23年度末の残高は、財政安定のための繰越金が527億円、還元目的積立金が1,954億円となった。
受信料収入は6,328億円で、前述の値下げの影響等により22年度から396億円(5.9%)減。減少は5年連続となった。23年度末時点での支払数は3,941万件(総契約数4,107万件)、支払率は79%で22年度から1ポイント上昇した。
事業支出のうち、国内放送費は3,285億円で能登半島地震関連経費などにより22年度比91億円の増加。営業経費は569億円で、同22億円の増加となった。営業経費率は受信料の値下げにより8.9%で同0.8ポイント増加した。
200億円が上限のインターネット活用業務経費は184億円。一般勘定と別区分となるNHKオンデマンド等のための「有料インターネット活用業務勘定」は、事業収入が58億円で22年度比3億円(6.3%)増加、事業支出は36億円で21億円の黒字(22年度比1億円減)となった。事業収支差金21億円のうち7億円を充当し、2008年の有料アーカイブ配信の開始以降初めて累積の繰越欠損金(赤字)を解消した。
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NHKは同日、23年度の連結決算も発表した。連結の範囲はNHKメディアホールディングスやNHKエンタープライズなど連結子会社12社と持分法適用会社の放送衛星システム(B-SAT)。経常事業収入は7,101億円で、22年度比384億円(5.1%)減少した。このうちNHKを除く子会社の合計は570億円(同14億円増)となった。
営業利益に相当する「経常事業収支差金」は115億円(同387億円減)の赤字、純利益にあたる「当期事業収支差金」も78億円(同398億円減)の赤字で、減収減益となった。