在京ラジオ 2023年春の改編 「つなげる」を意識 引き続きデジタルにも注力

編集広報部
在京ラジオ 2023年春の改編 「つなげる」を意識 引き続きデジタルにも注力

在京ラジオ社の春の新番組がスタートした。ワイド番組の刷新・リニューアルや、さまざまなデジタル展開などの動きがみられた。

ワイド番組を刷新

文化放送は『好きがつながる 文化放送』をコンセプトに、夜帯を大きく改編した。今年20周年を迎える『レコメン!』(月―木、22・00―25・00)のパーソナリティを刷新し、元HKT48・矢吹奈子さんやダンスボーカルユニットM!LK・吉田仁人さんなど新たな5人を迎えた(=写真㊤)。村田武之・コミュニケーションデザイン部長は5人の選定理由について「パーソナリティそれぞれが『好きなもの』を持っており、リスナーの『好き』を拾い上げ、つなげていくことを前提にした」と話す。また、『レコメン!』のパーソナリティを11年務めた芸人のオテンキのりさんは吉田照美さんと新番組『てるのりのワルノリ』(土、17・00―17・30、18・00―18・30)でトークを繰り広げる。村田氏は「『伊東四朗 吉田照美 親父・熱愛』のリスナーに続けて聴いてほしい」としている。その後枠の『純次と直樹』に続き、新番組『SAYONARAシティボーイズ』を組み、昭和・平成の時代をリードしてきたシティボーイズが現代との向き合い方を伝える。

TBSラジオは11年続いた『赤江珠緒たまむすび』を終了し、新たに『こねくと』(月―木、13・00―15・30、=写真㊦)をスタート。俳優や文筆家、"電線愛好家"として活動する石山蓮華さんをメインパーソナリティに起用し、⼤⼈世代の知識や経験、若者のひらめきや感性を集積し、新たな気づきや共感が得られるコミュニティを形成する。長谷川裕・事業創造センター長は「『たまむすび』のリスナーにも前向きな気持ちで聴いてもらえる番組にしたい」と意気込む。ポッドキャストとのつながりも意識し、芸人の東京03・飯塚悟志さんやタレントのでか美ちゃんら曜日パートナーが主体の番組内コーナーを、TBS PODCASTで独立した音声コンテンツとして配信する。金曜には『金曜ワイドラジオTOKYO「えんがわ」』(金、13・00―15・30)を編成。『金曜たまむすび』でもパーソナリティを務めたTBSアナウンサー・外山惠理さんと芸人の玉袋筋太郎さんが、同局のレガシーを引き継ぐコーナーを目玉に、"懐かしい"を"新しい"にしていく。平日深夜では『朗読・斎藤工 深夜特急 オン・ザ・ロード』(月―金、23・30―23・55)をスタート。沢木耕太郎さんによる旅文学『深夜特急』を俳優の斎藤工さんが朗読。沢木さんのメッセージから生み出した「旅に出よう。気をつけて、だけど恐れずに。」をコピーに、自身の生きる道を選択する人を応援する。

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昨年4月に発表したステートメント「Find Your Colors」をもとに今年も新番組をスタートしたinter fm。新番組『SUNDAY FINISHING LINE』(日、16・00―17・55)では、スポーツイベントの結果が多く出る日曜夕方に、スポーツの結果とドライブミュージックを届ける。平日朝には『THE GUY PERRYMAN MIX-Non Stop Flight-』(月―金、5・30―7・00)を組み、さまざまなジャンルの選曲や、在日外国人に向けて多角言語で生活情報を届ける。夕方には『Find Your Music!』(月―木、16・30―18・30)をスタートし、音楽に込められたミュージシャンの思いやエピソードを伝える。ダイバーシティな時代のライフスタイルを意識した番組も編成。『アントニーのALL-IN』(金、14・00―14・44、=写真㊦)では、芸人のアントニーさんが経験者・初心者どちらも楽しめるようにポーカーの魅力を伝える。高野祐造・執行役員は「地上波ラジオでは初めてのポーカー番組だと思う。ポーカーを間口に新しいリスナーが入ってきていると感じる」と話す。千葉県君津市でスタートした里山再生プロジェクトと連動した番組『里山 ZERO BASE コラボレーションラジオ「Sato Note」』(日、8・00―8・30)を開始。人口減少により荒廃する里山の具体的な活用方法などを挙げつつ、リスナーに現状を知ってもらう。

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引き続きデジタルシフトに注力

J-WAVEは昨年10月にスタートした夕方ワイド『GRAND MARQUEE』(月―木、16・00―18・50)をリニューアルした。新ナビゲーターにシンガーソングライターのセレイナ・アンさんを加え、新たなコーナー企画が始動。日本のカルチャーを世界に発信するウェブメディア「NiEW」と連動したコーナー「NiEW EDITION」では、同メディアが発信しているトピックスをライターや当事者を交えて情報を届ける。森田太・取締役コンテンツプロデュース局長は「東京で日々生まれくるカルチャーを国内外に届けていきたい」と語る。『MUSIC BLOOM』(金、22・00―22・30、=写真㊦)では、音楽配信代行サービスなどを手がける「The Orchard Japan」と連動し、世界を視野に発信するアーティストを紹介。日本や台湾など、アジアを中心にライブホールを展開するZeppとも連携し、アジアの注目アーティストをピックアップする。『FOOTNOTE』(土、24・00―25・00)ではヒップホップにフォーカス。ABEMA『ラップスタア誕生』をきっかけに注目を集めたアーティストのSkaaiさんのグローバルな視点でヒップホップシーンを語る。

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コロナ禍を経てデジタルシフトが進んだというTOKYO FMは今春の改編率を11%にとどめた。宮野潤一・編成制作局次長兼編成部長は「新規リスナーの開拓に向け、ラジオや音声コンテンツへのタッチポイントを増やすことを重要視している」とコメントした。芸人のサバンナ・高橋茂雄さんが毎月テーマに沿った楽曲とエピソードをリスナーから募集し、プレイリストをオンエアする音楽番組『東京海上日動「マイプレイリスト」~そばにある音楽~』(土、15・30―15・55、=写真㊦)をスタート。音楽配信サービスSpotifyで番組オリジナルのプレイリストも展開する。また、『SCHOOL OF LOCK!』の教頭には新しくTikTokなどで話題の芸人CRAZY COCOさんを起用。平日深夜ワイド『TOKYO SPEAKEASY』にはメディアアーティストの落合陽一さんや実業家の堀江貴文さんなどをレギュラーとして新たに迎える。

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ニッポン放送は今年もプロ野球中継番組『ニッポン放送ショウアップナイター』(火―金、17・30―21・30/土、17・50―21・30/日、17・30―21・40)を編成。桜井達也・コンテンツプランニング部長は「WBCの影響で、プロ野球に注目が集まっている。あらためてショウアップナイターに力を入れていきたい」と期待を語る。昨年に続きシーズンアンバサダーには東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手(=写真㊦)が就任。公式応援マネージャーには『乃木坂46のオールナイトニッポン』のパーソナリティを務める乃木坂46の久保史緒里さんが就任し、両番組のコラボ企画などで野球の魅力を伝える。試合のない日にも、『ラジオペナントレース』や『伊集院光の集まれ!野球おじさん』などで野球を盛り上げる。『オールナイトニッポン』では、月曜パーソナリティを歌手・Adoさんが務める。また、4月から新シリーズが始まったテレビアニメ『鬼滅の刃』にあわせ『テレビアニメ「鬼滅の刃」公式ラジオ「鬼滅ラヂヲ」』(日、19・00―19・30)を編成し、同作で声優を務める花江夏樹さんと下野紘さんが作品の魅力を伝える。

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大きな改編がなかったラジオNIKKEI。正司達哉・編成部広報お客様センター長は「昨年春の改編がうまくいった感触があるので大きな変更はなかった」と話した。2015年開始の番組『LOGOS presents CAMP RADIO』(木、21・30―22・30)のパーソナリティを変更し、俳優の鈴木康介さん(=写真㊦)を起用。さまざまなジャンルのゲストを迎え、アウトドアに役立つ情報を届ける。『5時から"誠"論』(月―水、17・00―17・50)の火曜のパーソナリティにRobot Home社の取締役・松園勝喜さんを迎え、ITや投資の情報を伝える。また、同局はポッドキャストをはじめとしたデジタル展開にも注力。2月から新たなポッドキャスト番組『耳で聴く後藤達也note』をスタートしている。経済ジャーナリストの後藤達也さんが自身のnoteでの発信だけでは伝え切れない情報を届ける。

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