民放onlineは、シリーズ企画「制作ノートから」を2024年2月から掲載しています。第17回はテレビユー山形の『どすコイやまがた』(水、19:00~20:00、TVerで見逃し配信中)について、プロデューサーの山田佳広さんに、番組の魅力を教えていただきます。作り手の思いに触れ、番組の魅力を違った角度から楽しむ一助にしていただければ何よりです。(編集広報部)
『どすコイやまがた』は、テレビユー山形(以下、TUY)で2021年4月から放送を開始した情報バラエティ番組です。水曜19時から1時間枠で放送しています。
毎回どこか1つの市町村、時にはさらに狭いエリアに絞って、その土地の魅力を再発見しようというコンセプトで番組を制作しています。紹介する内容や手法は取材エリアによって毎回変えていて、グルメ・観光・産業などはもちろん、埋蔵金を探しにいったり、市町村のゆるキャラたちが相撲で最強を決めるトーナメント戦を実施したりしたこともありました。決まったフォーマットにネタを当てはめるより手間はかかりますが、取材エリアの特性に沿ったコンテンツ内容で毎回番組を組み立てるので、マンネリ化することなく、その土地ならではの魅力を視聴者に届けられていると自負しています。
山形県唯一のゴールデンタイム自社制作レギュラー放送番組
ゴールデンタイムでの放送をスタートして感じるのは、視聴者は"おらが町"の情報を知りたい、見たいのだということです。TUYには土曜夕方の定番として23年以上にわたり親しまれた『どよまん』(※)という番組があり、「TUYといえば、どよまん!」とよく声をかけてもらいましたが、ゴールデンタイムの放送である『どすコイやまがた』への反響はそれ以上に大きく、手ごたえを感じています。
2021年の放送開始前は、同時間帯枠で民放最下位の年間視聴率順位だったTUYが、年を追うごとに順位を上げ、2023年度には個人全体と世帯の年間視聴率で首位を獲得しました。『どすコイやまがた』は全国放送で活躍するような有名タレントの出演がほぼない"ド"ローカル番組でありながら、キー局制作の横綱級番組がそろうゴールデンタイムにおいて、今年も視聴率トップ争いを繰り広げています。
個性豊かなMC陣で番組を彩る
現在、番組はMC3人体制。通常回はそのうちの2人が担当MCとしてロケ地を巡っています。
番組開始2年目からMCを担当する"勝手にオネーサン" (山形在住のインフルエンサー/動画クリエイター、=冒頭写真㊥)は、番組起用当初からTikTokで注目を集めていたものの、県民全体の認知度は低い状態でした。しかし、『どすコイやまがた』に出演すると、生まれも育ちも山形の彼女が発するネイティブな山形弁とキャラクターで、お茶の間の人気者に! 知名度も高く、いまでは、県内CMやイベントに引っ張りだこです。
そして、2025年4月から番組に仲間入りしたTUYアナウンサーが2名。番組史上初めての男性MCとなるなる藤井響樹アナ(=冒頭写真㊧)は、学生時代に野球で鍛えた筋肉と「温泉と言えば、藤井でしょ!」のキャッチフレーズで各温泉をリポートしてくれていますが、これがけっこう反響が良いのです。県内35市町村全てに温泉が湧く山形県の底力を感じるのと同時に、藤井アナの体当たりリポートで番組としても新しい風が吹いているのをうれしく思います。

<体当たりで山形の温泉をリポートする藤井響樹アナ>
同じくこの春から番組MCに就任した佐藤真優アナ(=冒頭写真㊨)は、書道が得意で書道パフォーマンス甲子園では入賞を果たした経歴をもちます。番組でも特技を生かし、書道パフォーマンスで現役男子高校生とのコラボや、佐藤アナの想いを大筆でしたためたメッセージの放送回は、真剣な取り組みとその文字から伝わる迫力に、感動したと多くの視聴者から感想をいただきました。一芸に秀でた個性あふれるMC陣が番組に華を添えています。

<生放送で書道パフォーマンスをする佐藤真優アナ>
新MC2人の就任と同じ2025年4月から、道行く人々が日頃思っていることや伝えたいことなどを"えびすこBOX"に話してもらう「えびすこ部屋」というミニ企画をスタートしました。これまではあまりできなかった"人"に焦点を当てる企画です。とりとめもない事柄、ほっこりするような小話やクスっと笑えることなど、撮影に協力してくれた一期一会の人々が伝えてくれるストーリーはどれも興味深く引き込まれます。少ないスタッフ数の中で取材時間の確保や人々との出会いの確率など課題は多いですが、県民と直接交流する企画は、今後も大切に育てていきたいと思っています。
『どすコイやまがた』で大切にしていること
番組全体で私たちが大事にしているのは、取材するエリアの情報をオールジャンルからしっかりと集め、番組内容を煮詰めるということ。ネットやSNSで検索してもすぐにはたどり着けないような、ねばって足で稼ぐことができた情報は興味深い内容になります。子どもからお年寄りまで多くの人々にご覧いただくゴールデンタイムの番組ですので、有益な情報を多く盛り込んで楽しめる内容になるよう、情報収集には特に力を入れています。
山形に住むわれわれだからこそお届けできるコンテンツがあります。「おもしろきこともなき山形をおもしろく」と書くと語弊があるかもしれませんが、都市圏以外の人々がよく口にする「ここはなんにもない退屈な田舎」という言葉を、私たちの周りにはこんなにも楽しめることがあって、こんなにもこの地で頑張っている人々がいるということを番組で知ってもらい、自分の心次第で「日々を暮らすのに最高の場所になりうる」という言葉に書きかえることができたら......ひとりでも、この番組がそんなマインドリセットのきっかけになれたらこの上ないです。

<新たに始まった企画「えびすこ部屋」 県民に焦点を当てる>
世界が注目!いま日本で一番アツい山形のポテンシャル
米旅行メディアのナショナルジオグラフィックが2025年10月に発表した「2026年に行くべき世界の旅行先25選」に山形県は日本で唯一選出されました。蔵王の樹氷、銀山温泉、山寺、出羽三山など、雄大な自然と古くからの伝統・信仰が共存する文化、神秘的なアウトドア体験が(そんなに混むことなく)できる旅行先として評価されたそうです。
四季がはっきりしていて、夏はうだるような暑さなのに、冬もしっかり寒くてドカ雪が降る。生活するにはちょっと大変で面倒なこともあるけれど、その分、自然からの恵みを多く受けることができるのが山形という土地です。
さらに山形は、食文化も豊かです。鶴岡市は、ユネスコ食文化創造都市に認定されていますし、ラーメン消費額は全国1位をとるほどのラーメン好きが多い「ラーメン県」でもあります。県全体としてラーメン店の質が高いのはもちろん、地域に根差した多種多様なラーメン文化を楽しむことができます。
これまでさほど注目されることがなかった、もう一つの日本・山形。2026年は山形がアツい‼
※『どすコイやまがた』が放送開始する前月(2021年3月)に放送終了

