全米視聴データの過小評価問題で苦境に立たされているニールセンに、テレビ広告の業界団体VAB(Video Advertising Bureau)が再び追い打ちをかけている。
昨年末、ニールセンが20年9月から21年12月までの間、自宅外(OOH=Out Of Home)視聴データを全米視聴データに加算していなかったことを認める報告を公表。これをVABが再調査した結果、同期間中の放送局の合計損失額は7億ドル以上になるとの試算を明らかにした。ニールセンによるOOH視聴の見過ごしは、スポーツ中継で最も顕著で、ニュース報道や注目度の高い番組、特番などにも多かったという。特に若者層、黒人層、ヒスパニック層のOOHが大幅に見過ごされた結果、広告のインプレッションに損失が発生した。VABは「当初のニールセンによる報告よりも事態はずっと深刻だ」と主張している。
これを受けてニールセンは、当初の過失は認めるが、放送局に与えた影響は最小限との報告を覆すつもりはないと反論。業界の監視団体(MRC)も声明文の中でVABの調査結果に疑問を呈している。