米大統領選 開票報道の視聴者数減る トップはケーブルのFOXニュース

編集広報部
米大統領選 開票報道の視聴者数減る トップはケーブルのFOXニュース

ドナルド・トランプ前大統領がカマラ・ハリス現副大統領を抑えてホワイトハウスに返り咲きを決めた今回の米大統領選挙。投開票日の11月5日、米国の地上波・ケーブル各局は東部時間の18時から一斉に開票報道を始めた。ニールセンによると18時から23時までのプライムタイムの視聴者数は4,230万人。この時間帯に視聴した人は前回(2020年)の5,690万人から25%以上下回った。地上波・ケーブルを通しての視聴者数トップはケーブル局FOXニュースだった。

米メディア「インサイダー」によると、地上波4大ネットワークを合計した視聴者数は1,661万4,000人。トップはABC(566万5,000人)、以下、NBC(531万8,000人)、CBS(349万人)、FOX(214万1,000人)の順だった。ABCが開票報道で地上波トップになるのは16年ぶりとのこと。3大ケーブルニュース局の合計は地上波4大ネットをしのぐ2,001万人で、トップはFOXニュース(980万人)、次いでMSNBC(550万人)、CNN(471万人)。開票報道でMSNBCがCNNを上回ったのも初めてだという。米国民の注目度が高まった大統領選だったが、視聴者数に反映されない結果となった。

今年の開票報道で高い評価を得たのは、ケーブルのMSNBCとCNN。米国でジャーナリズムを研究している非営利団体「Poynter.」のコラムはMSNBCのスティーブ・コルナッキーとCNNのジョン・キングの両アンカーを絶賛している。2人は20年近くにわたって両局でおなじみの開票分析のエキスパート。全米各州・各郡で秒単位に変わる開票状況を、デジタルマップに共和党の赤、民主党の青で塗りつぶしながら、「電光石火のスピード」で分かりやすく解説。それ自体がエンターテインメントで、楽しみにしている視聴者も多いという。どちらも2020年、16年のそれと比較対照しながら有権者の支持動向の変遷まで詳しく解説するという念の入りようで、その他の局はデジタルマップを映し出しながらホストがさらっと解説する無難なスタイルで「とりあえずは及第点」だと評している。

投票日直前まで接戦が伝えられ、結果判明まで数日かかる――そんな予測に反して、深夜を過ぎたところであっけなく勝敗が決した。6日午前1時22分(米東部時間)、「トランプ勝利」を最も速く公式結果として報じたのは小規模ケーブルニュースのNewsNationだった。大規模局のように独自の開票分析チームを持たない同局は、「Decision Desk HQ(DDHQ)」 からデータを得ていたことが功を奏した。DDHQは2012年創業で選挙開票結果を分析・速報している。2016年、20年ともに真っ先に結果を弾き出している。NewsNationに続いたのがFOXニュースで、午前1時47分のこと。ただし、トランプ支持の保守派ニュース局でもある同局は5日23時に早々と「蘇る不死鳥」とトランプの勝利をほのめかしていた。

今回の選挙結果を受け、メディアには選挙期間中からくすぶっていたトランプ氏による民主主義や報道活動への抑圧の動きに対する懸念が早くも高まっている。

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