米NAB(全米放送事業者連盟)が8月2日、ニールセンのデータを基に新たな分析結果を発表した。地上波テレビのローカルニュースが過去10年間で、本数・時間ともに大幅に増加したという。
分析によると、2021年11月に全米でローカルニュースが放送された本数は15万4,445本で、16年同月比で約16%増、11年同月比で約35%増だった。時間にして21年11月は10万7,000時間以上で、16年同月比で約16%増、11年同月比で約40%増に。増加が顕著だったのは、10年間で2倍以上の伸びを見せたスペイン語のローカルニュース放送だ。2021年11月は放送本数にして8,300本、時間にして4,600時間だった。これに比べて、2011年11月は4,000本強、2,200時間であった。
NABのカーティス・ルジェット会長は次のようにコメントしている。「この10年間、各局はそれぞれの地域社会のニーズに応えるために事実に基づく報道、緊急時の情報提供等に、(技術面・人材面などで)多大な投資をしてきた。どこでも情報が得られる今の時代においても、信頼できるニュース報道の入手先として人々は地元の放送局を頼っていることが、この分析で明らかになった。オンラインで偽情報が氾濫する今こそ、報道という公共サービスがこれまで以上に重要になってくる」
NABはこの分析結果を基に、放送局が直面する厳しい現状についても言及。ニュースコンテンツがグーグルやFacebook経由でアクセスされた場合、ローカル局は年間20億ドルの損失を被っているとの見積りだという。これらデジタルプラットフォームのローカル広告市場への侵蝕は年々進み、放送局の経済基盤を著しく脅かしている。しかも、これらデジタルプラットフォームは放送局のオンラインコンテンツへのゲートキーパー(門番的役割)機能を有し、放送局がどのようにコンテンツをマネタイズするかもコントロールしているという。
ルジェット会長は、「全米の放送局がこれだけローカルニュース報道に尽力しているのに、時代遅れの放送規制のために不利な条件での経営を強いられている。放送局がこれからも地域社会の信頼できる情報源として機能できるよう、規制改革が必須である」旨、述べている。