石川県輪島市と志賀町で最大震度7を観測し、家屋倒壊、津波、火災、山崩れと甚大な被害をもたらした「令和6年能登半島地震」から2年が経過した。今年も1月1日を中心に、民放各局は被災地の歩みを見つめる特別番組を編成し、復興への課題や地域の思いを伝えた。以下、石川県の民放各局が放送した主な番組を、ラジオ・テレビごと、放送日時順に紹介する。
MROラジオ×エフエム石川 「能登をシェアする」共同コンセプト
北陸放送(MROラジオ)とエフエム石川は、「能登をシェアする」という共同コンセプトで、それぞれ番組を生放送し、SNSのX上で「#能登シェア」を付けて能登に関する思い出、復興に対する思いなどを募集した。
MROラジオは、『能登半島地震から2年~ノトのコトノハ~』(2026年1月1日15:00~16:24)を放送。輪島市町野地区の臨時災害放送局である「まちのラジオ」などの輪島市内から中継を行った。また、被災し家族を亡くした高校生2人へのインタビューや、金沢大学・能登里山里海未来創造センター長の谷内江昭宏氏をスタジオに招いて取り組みを聞いたほか、「令和6年能登半島地震・令和6年奥能登豪雨犠牲者追悼式」(以下、追悼式)のもようを伝えた。番組では被災地の町づくり、人づくりの今に迫った。
エフエム石川は、『Pray For NOTO 2 ~私たちは忘れない~』(2026年1月1日15:00~16:45)を放送。番組は、エフエム石川がアーティストの松任谷由実氏(ユーミン)の協力を得て企画した「能登エールアートプロジェクト」(※外部サイトに遷移します。以下同じ。)を柱に展開。同プロジェクトは、能登半島地震の記憶の風化を防ぎ、被災地である能登へのエールを届けることを目指し、ユーミンの楽曲をテーマに全国から「エールアートはがき」を募集し、能登各地で展示している。番組冒頭は、ユーミンからのメッセージが放送され、はがきが展示されている「のと鉄道」普通列車内でのインタビューや追悼式のもようを伝えたほか、七尾市で被災したピアニストの西村広文さんをゲストに招き「今」を語り合うなど、地震から2年目となる日に切なさを和らげ、復興の推進力になる番組を目指した。
北陸朝日放送『震災と人間2025~「地図にない村」の未来~』

北陸朝日放送は、『震災と人間2025~「地図にない村」の未来~』(=写真㊤2025年12月31日10:20~11:45)を放送。番組は、「地図にない村」である旧西海村(現在の珠洲市外浦地区)で暮らす人々のなりわい再建とコミュニティ再生へ向け歩んだ震災2年目の姿を追ったドキュメンタリー。外浦地区は、震災の被害で数年は帰還が難しい「長期避難地域」が点在し、急速な過疎化が懸念される地区でもある。制作を担当した北陸朝日放送の黒崎正己・報道制作局長は記者歴34年で、珠洲原発計画、揚げ浜塩田など震災前から外浦地区を長年取材してきた。黒崎氏は「海岸線には土砂崩れの跡が残り、住民は隆起した海岸に敷設された仮設道路を往来している。家族9人が犠牲になった土砂崩れ現場も、復旧に2~3年かかるとして当時のまま残されている」と現状を語り、「外浦の風景を目にすると私たちの‟復興報道"がいかに現実と乖離しているかを思い知らされる。震災2年目。外浦の人々は何を思い生きているのか。その声に耳を傾けたい」と番組に込めた思いを述べた。
テレビ金沢『藤井貴彦の「未来への語り場」』

テレビ金沢は、『藤井貴彦の「未来への語り場」』(=写真㊤2025年12月31日17:05~18:00)を放送。震災以降、石川県内で取材を重ねてきた藤井貴彦キャスターが、被災地で奮闘する若手の経営者や、復興支援に携わる人など取材の中で出会った能登の人々を特設ブースに招き、「訴えたいことは?」「困っていることは?」「この先、どうしていきたい?」などを語り合い、能登の「現在地」と「未来への展望」を伝えた。番組プロデューサーを務めたテレビ金沢の住田鉄平・報道部長は、震災から2年がたってなお元の生活を取り戻せない住民が多い現状に踏まえ、「番組では、出演した人から不安を抱えながらも、‟なんとしても、なりわいを再建する"という言葉が並び、復興にかける思いが伝わったと感じる。発災当初に比べ、全国ニュースでは能登の話題が減少してるが、被災地では、いまだに地震の爪痕が残ったままの地域もある。地元局として現状を伝え続けていきたい」と話す。
石川テレビ放送『報道特別番組 能登とともに〜能登半島地震から2年〜』
石川テレビ放送は、『報道特別番組 能登とともに〜能登半島地震から2年〜』(=写真㊤2026年1月1日12:00~13:00)を放送。公費解体が進む被災地は、震災前にはなかった更地が広がる。この広大な土地は今後、どのような姿になっていくのか――。番組は、和倉温泉の特設スタジオから稲垣真一アナウンサーと青木賢人・金沢大学准教授が、これからの能登のまちづくりを中心に議論したほか、輪島の復興のシンボルとして再開発が予定されている朝市通り周辺の復活に向けた現在地、復興に向けて能登に活力をもたらしている移住者たちなどを取材し伝えた。番組ディレクターを務めた石川テレビ放送報道制作部の細川大地氏は、「地震から2年。能登が今後どのような姿になっていくのか、元日の団らんの中で少しでも話題になってくれることを願って制作した。番組内で取り上げた朝市通り周辺の再開発や災害の記憶を伝える震災遺構など、長期的な視点で考えなくてはいけない課題が被災地には山積している。番組タイトルの『能登とともに』という気持ちを忘れずに日々のニュースでも被災地取材を続けていきたい」と語った。
北陸放送『Atta 元日SP』

北陸放送は、『Atta 元日SP』(=写真㊤2026年1月1日15:30~16:30、YouTubeのMRO北陸放送公式チャンネルで配信中)を放送。県が復興元年と位置付けたこの一年で、被災地の復旧復興はどのように進んだのか? 今後の課題は? 地震の記憶を風化させず、能登の現在地、そして未来と向き合う番組を目指した。輪島市の中心部にある重蔵神社を拠点に、年末年始の能登の様子、集団移転の現状と課題などの取材VTRと復興が進む和倉温泉からの中継を交えて、被災地の「今」を伝えた。北陸放送の大西宏和・報道制作局報道部長は、「一年の計は元旦にあり。放送時間は発災時刻を含む時間帯だが、前泊したチームも含めてスタッフ一丸となって当日の朝から番組に臨んだ。被災地・能登の声を伝え続けるというローカル局としての使命を一人一人が感じながら、今年も日々の放送を届けていきたい」と今後の取材活動に向けた意欲を語る。
