2024年1月1日16時10分ごろに発生した石川県の能登地方を震源とする地震(「令和6年能登半島地震」)は、石川県輪島市と志賀町で最大震度7を観測、この地震により津波が発生したほか、家屋の倒壊、山崩れなどが能登地方の各地で起こり、甚大な被害が出た。また、同年9月20日から23日にかけて、能登半島地震の被災地である能登地方が記録的な大雨(「令和6年奥能登豪雨」)に見舞われた。21日から22日には輪島市、珠洲市、能登町に大雨特別警報が石川県内で初めて発令され、この豪雨による災害について政府は10月25日の閣議で「激甚災害」に指定している。
能登半島地震から1年を迎える地元石川県の放送局は、特別番組や特集企画を編成。このうち12月31日~1月1日の放送を中心に、テレビ・ラジオの関連番組を紹介する。
テレビ金沢 報道特別番組『復興へのカギ~どうする?いしかわの経済~』
テレビ金沢は、2024年12月31日午前8時30分から9時10分まで、報道特別番組『復興へのカギ~どうする?いしかわの経済~』を放送した。スタジオに、石川県の馳浩知事、輪島市の坂口茂市長、北國フィナンシャルホールディングスの杖村修司社長、石川県信用保証協会の竹中博康会長を招き、取材VTRを見ながら、能登の現状と課題、なりわい再建、今後の被災地支援をテーマに、経済に重点を置き意見を交わした。地震および豪雨と2度の災害に襲われた輪島市でスーパーを経営する社長と中継をつなぎ、馳知事に対して、被災地で事業を営む立場からの要望を届けた。また、1月1日には、『NNN news every.特別版 能登半島地震から1年』を午後3時から4時30分まで放送した。
北陸朝日放送『能登半島地震から1年 地震・豪雨 複合災害に備える』
北陸朝日放送は、1月1日午後4時~5時にANN報道特番として『能登半島地震から1年 地震・豪雨 複合災害に備える』(制作著作・テレビ朝日)を放送。メインの司会は、テレビ朝日の小木逸平アナウンサー、同・林美沙希アナウンサーが務め、大雨が降る石川県輪島市からの生中継で番組を進行した。番組のテーマは、地震と豪雨の複合災害について、2度の自然災害に襲われた能登半島で起こったことを、ANN各局の取材を基に検証した。また、能登半島地震の発災時に、輪島市にいた北陸朝日放送の小田原寛カメラマンのその後にも密着し、知人の苦しむ様子を撮影する苦悩と忘れられないために発信する意義のはざまで葛藤しながらも復興のために邁進する姿を伝えた。2024年12月31日の午前10時15分から11時45分には『能登2024~震災と人間~』として、震災と人間の営みを見つめる番組を制作、放送した。
北陸放送『Atta元日SP 能登に生きる、未来へつなぐ』
北陸放送は、1月1日に『Nスタスペシャル〜能登地震1年 能登に生きる、未来へつなぐ〜』(午後4時~5時)に続き、『Atta元日SP 能登に生きる、未来へつなぐ』を午後5時から6時まで放送した。穴水町下唐川地区にある継続居住が可能な石川モデルの仮設住宅を紹介したほか、スタジオにTBSテレビ報道局で長年災害について取材を続ける福島隆史解説委員を招き、今後の災害への備えについて伝えた。また、液状化により被害を受け復旧に向け揺れる内灘町を取り上げ、新潟県中越地震で同じ液状化の被害に遭いながら、住民の主体的な行動で対策を進めた新潟県柏崎市民の取り組みを伝えた。
石川テレビ放送 報道特別番組 『能登とともに〜能登半島地震から1年〜』
石川テレビ放送は、1月1日の午後0時30分から1時40分まで、報道特別番組 『能登とともに〜能登半島地震から1年〜』を放送した。能登半島の人々の年末年始の様子を伝えたほか、能登半島の復興の現状を空撮映像で報じた。また取材リポートでは、能登半島で暮らす人々から聞く「復興への不安」への答えを探るべく、向山侑希アナウンサーが東日本大震災の被災地である宮城県南三陸町と岩手県釜石市を訪れ、復興に向けて奮闘した被災者の今を「東北からのメッセージ」として伝えた。また、1月1日開催の「能登半島地震・奥能登豪雨犠牲者追悼式」をサブチャンネルで生中継し、YouTube公式チャンネルでも同時配信を行った。
MROラジオ『能登半島地震から1年 ノトノコトノハ』
エフエム石川『Play with 能登 ONE~能登半島地震から1年~』
北陸放送(MROラジオ)は、1月1日の午後3時から4時45分まで生放送で『能登半島地震から1年 ノトノコトノハ』を編成した。MROラジオは帯ワイド番組『おいね★どいね』(火曜~金曜、午後1時~4時)で、毎週水曜日に「ノトノコトノハ」として、復興に向け前を向く能登半島の人々の言葉を伝えるなど1年間取材を続けている。番組は、能登半島に出向いたラジオカーからの生中継、被災地に暮らす人との電話での中継を通じ、1年を振り返った。石川県能登町出身の平歩生記者による取材音声を交えたレポートでは、方言混じりの率直な被災地の声で、復興への道のりの険しさを伝えた。
エフエム石川は『Play with 能登 ONE~能登半島地震から1年~』を、1月1日の午後3時から4時45分まで生放送した。番組は、金沢在住の4人組ロックバンドMaverick Momが、能登半島地震の2カ月後にエールを込めて作った曲『夜明けの足跡』で始まり、石川県七尾市在住のシンガーソングライター拓朗さんをゲストに迎え、全国から届いた応援メッセージとともに、追悼の祈りと復興の願いを共有した。
MROラジオ『能登半島地震から1年 ノトノコトノハ』とエフエム石川『Play with 能登 ONE~能登半島地震から1年~』は、番組の後半から、お互いのスタジオをつなぎ、共同番組に移行、「能登半島地震・奥能登豪雨犠牲者追悼式」の模様を伝えるとともに、被災地の復興について語り合った。
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