テレビ東京の社員として、数々のバラエティ番組を手がける現役のテレビプロデューサーである佐久間宣行さん(2021年3月31日退社)が「オールナイトニッポン0」のパーソナリティに就任したのは19年4月のことでした。他の放送局の現役社員がオールナイトニッポンのレギュラーパーソナリティに就任するのは、55年の歴史でも初めてのこと。前年に『AKB48のオールナイトニッポン』にゲスト出演した佐久間さんの反響が大きく、秋元康さんから「佐久間プロデューサーなら新たなラジオパーソナリティ像を作れるのでは」と強い推薦を頂きました。テレビプロデューサーとして日々最前線の現場で活躍する佐久間さんのトークは、番組が始まって間もなく、同じく日々働いている社会人を中心に大きな反響となり熱狂を生み出しました。
そうした中で、佐久間さんのフリートークで仕事の話題以上に大きな反響となっているのが"家族"の話です。思春期を迎えた娘さんとの向き合い方、共働きで家事をシェアする奥さんとの話、そして誰もが考えさせられたコロナ禍での日常生活。等身大の佐久間さんの姿が多くのリスナーたちの共感を集めました。
22年4月6日に放送された回では、高校1年生の娘さんと行った箱根神社への半日旅行について語ってくれました。素直に「一緒に行こう!」とは言えなかった佐久間さんが、実は着ていく服やおいしい食事処や写真スポット、道中に娘さんと盛り上がりそうなトークを考えるなど、万全の準備をして行ったと笑いながらエピソードを披露。するとリスナーから生放送で家族に関するメッセージが次々と届く展開となりました。つい親に冷たい態度をとってしまうといった話や、家族との距離感についてのリアルな悩み相談が寄せられました。佐久間さんが一人の父親として本気で回答したことから、番組はエンディングまで熱量高く進み、大きな反響となりました。
佐久間さんも今回の受賞に「本当にリスナーの皆さんが作ってくれた神回です。僕が投げた球を、リスナーがどんどん膨らませて熱を高めてくれた。戻ってきたときにはピカピカのホカホカになっていました。僕は最後に受け取るだけで良かった。そんな回です。テレビでもとったことのない大変な賞を、ラジオで頂くことがあるなんて。人生はとても不思議だし、何かを変えたり始めたりするのに年齢は関係ないんだと、またラジオが教えてくれました」と話しています。
今回の番組は、パーソナリティの佐久間宣行さん、番組スタッフ、そして深夜3時からの番組をリアルタイムで楽しんでくれているリスナーの参加があって完成した特別な放送になりました。「オールナイトニッポン0」は毎日深夜3時から全国に向け生放送でお送りしていますが、ラジオは聴いてくれるリスナーの皆さんがいるからこそ成立するメディアであると強く感じました。聴いてくださったリスナーの皆さんにあらためて感謝したいと思います。