報道の自由を守るための国際NPO国境なき記者団(Reporters Without Borders、本部パリ)がこのほど発表した年次報告書「Annual Press Freedom Review」によると、2022年12月1日現在、世界中で報道活動中に逮捕され投獄されているジャーナリスト数は533人(前年比13.4%増)と記録的な数に上った。このうち有罪判決を受けているのが3分の1、残りは裁判にも至っていない。
逮捕・投獄件数が最も多い国は、ジャーナリストへの極端な検閲・監視を行う中国(110人)。次いで、21年2月の軍事クーデター以降、報道が事実上の違法行為となったミャンマー(62人)。以下、22年9月に大規模なプロテストが起こったイラン(47人)、ベトナム(39人)、ベラルーシ(31人)と続く。地域で見ると、全投獄者の45%はアジア圏で、30%が中東圏となっている。2月24日に始まったウクライナ侵攻以来、ロシアでの投獄件数も増え、最低でも18人といわれている。
特記すべきは女性ジャーナリストの投獄数が急増していること。2022年は78人と過去最高(前年比30%増)だった。投獄数全体に占める女性の比率も、5年前の7%から2022年は15%と倍以上の増加率となっている。中国(19人)、イラン(18人)、ミャンマー(10人)、ベラルーシ(9人)の4国で女性ジャーナリスト投獄数全体の70%を占める。これ以外に、人質になっているジャーナリストは65人、行方不明は49人。
2022年、業務遂行中に殺害されたジャーナリストは57人で、前年比19%増だった。ロシアによるウクライナ侵攻が、殺害数増加の大きな理由。侵攻開始から半年で8人のジャーナリストが死亡した。国別での殺害件数トップはメキシコの11人。ハイチの6人とブラジルの3人を合わせると、中南米が報道陣にとって最も危険なエリアということになると、RSFはこの年次報告書で示している。
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12月14日、米民間団体のジャーナリスト保護委員会(Committee to Protect Journalists、本部ニューヨーク)も、同様の年次報告書を発表している。国境なき記者団の報告書と数字は多少異なるが、女性ジャーナリストの投獄が増えたことなど、大まかな部分は似通った結果となった。