在京ラジオ社 2024年春の改編 ラジオの強みやデジタル展開を意識

編集広報部
在京ラジオ社 2024年春の改編 ラジオの強みやデジタル展開を意識

在京ラジオ社の春改編は、デジタル展開を意識した番組や、リスナーとのコミュニケーション、パーソナリティの本音が聞けるラジオの強みが打ち出された編成となった。

リスナーとのコミュニケーションを重視するTOKYO FMは、2023年7月末でテレビ朝日を定年退職した玉川徹さんによる初のレギュラー番組『ラジオのタマカワ』(=冒頭写真、木、11:30~13:00)をスタート。生放送でアシスタントを務めるフリーアナウンサーの原千晶さんと毎回のメッセージテーマに加えて、リスナーからの悩みへの回答や玉川さん選曲の音楽を届ける。宮野潤一・編成制作局次長兼編成部長は、「テレビではできない問題提起や人生相談などから、玉川さんの人間味がラジオで表現できれば」とリスナーとの"化学反応"に期待を寄せる。また、声優や俳優として活躍する津田健次郎さんのパーソナルな一面がうかがえる『津田健次郎 SPEA/KING』(日、12:00〜12:30)も始めた。地上波だけではなく、一部有料のAuDeeプレミアムでスピンオフ番組も配信。よりリラックスした津田さんとリスナーからの攻めたメッセージを届けることで、新しいファンの獲得やマネタイズスタイルの確立を目指す。TOBE所属の7人組グループIMP.(アイエムピー)の初の冠レギュラー番組『IMP.のIMPickup』(月~金、14:55~15:00)は、メンバーが日替わりで登場し、今日は何の日か、誰かに教えたくなる"カレンダー雑学"をトークする。毎週土曜にはAuDeeでアフタートークを配信している。

23年秋改編で平日のタイムテーブルを大きく改編したTBSラジオは、リスナーの定着を意識する。作詞家の松本隆さんが初めてラジオのパーソナリティをレギュラーで務める『松本隆 風街ラヂオ』(日、23:00~23:30)は、歌詞に込めた思いを自身が語る。加藤哲康・執行役員UXデザイン局長(取材時)は「日曜22時から、井上芳雄さん、吉永小百合さんと非常に聴きごたえのある大人向けの編成ができた」と話す。俳優・佐藤隆太さんの『やる気スイッチラヂオ アストルム Supported by やる気スイッチグループ』(月、21:00~21:30)は、ゲストの幼少期のターニングポイントや、やる気スイッチが入った瞬間を深堀りする子育て世代に寄り添う番組。『サステバ』(土、19:30~20:00)は、前身番組『スナックSDGs』をアップデートし、小泉今日子さんをパーソナリティに迎えてサステナブルなニュースや話題を考える。パートナーをJRN各局のアナウンサーが2週ごとに出演する形式にリニューアルした『ONE-J』(日、8:00~10:00)は、各地方で行われている行事などのご当地情報を入れてバラエティ色を出していく。同局のポッドキャスト展開は、ほとんどの番組の全編を各プラットフォームで配信し、タッチポイントを増やしている。特にYouTubeでの再生数が現在伸びているという。

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<TBSラジオ『松本隆 風街ラヂオ』>

7月が開局70周年となるニッポン放送。同じく節目となる放送25周年を今年10月に迎えるアニメ『ONE PIECE』との特別企画の一環として、『アニメ「ONE PIECE」25周年記念 ニッポン放送70周年記念ラジオ番組「麦わらスペース」』(日、25:00~25:30)を編成した。麦わらの一味を演じる声優陣が登場し、さまざまな企画を届ける。木之本尚輝・コンテンツプランニング部長は「ラジオリスナーだけではなく、アニメのファンがニッポン放送と出会うきっかけにしたい」と語る。例年どおりの『ニッポン放送ショウアップナイター』(火~土、17:50~試合終了まで/日、17:30~試合終了まで)は、解説者に昨年現役を引退した松田宣浩さんが加わった。松田さんは「熱ラジ!アンバサダー」としても選手インタビューや番組出演などで、プロ野球を熱く盛り上げる。ナイター前の『伊集院光のタネ』(火~金、17:30~17:50)は、今春から『伊集院光のちょいタネ』(月~金、11:20~11:30)がスタートして1日2回のツーベルト体制となった。『オールナイトニッポン』では月曜パーソナリティを俳優の山田裕貴さんが務める。また、『オールナイトニッポンX(クロス)』は4月からオールナイトニッポンJAMでの音声生配信が始まった。

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<ニッポン放送『アニメ「ONE PIECE」25周年記念 ニッポン放送70周年記念ラジオ番組「麦わらスペース」』>

ラジオNIKKEIも開局70周年を8月に迎える。「リスナーとともに。情報の一歩先へ」をミッションに、放送とポッドキャストをシームレスに編成。ポッドキャストで配信していたコンテンツを地上波で新番組として組んだ。『吉野直也のNIKKEI切り抜きニュース』(水、22:45~23:30)は、日経新聞の政治記者の吉野直也が政治を中心としたニュースを届けるほか、大物政治家らとの対談も行い素顔に迫る。『記事にできない金融ウラ話~橋本卓典が語ります』(第1・3木、7:15~7:45)は、橋本卓典・共同通信社編集委員が地域経済や銀行の話を中心に深い金融トークを展開。『高井宏章と横川楓の「お金のハナシ」』(第2・4木、7:15~7:45)は、元日経新聞記者の高井宏章さんと金融・経済アナリストの横川楓さんによる投資初心者に向けた金融教育番組で、他の番組にリスナーをつなげる役割も期待しているという。幡野裕樹・編成部長は、「コンテンツのリスナーをさらに広げ、放送を聴いている人にもポッドキャストのコンテンツを届けたい」と狙いを語る。同局は3月にスマートフォンアプリ「Biz Podcast byラジオNIKKEI」をリリースし、日経新聞の『ながら日経』『ヤング日経』などのコンテンツも提供している。

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<ラジオNIKKEI『吉野直也のNIKKEI切り抜きニュース』>

J-WAVEは、「LIVE&ARCHIVE」の両軸を掲げた。放送によるライブのリアルタイムと、radikoのタイムフリー、ポッドキャスト、YouTubeなどさまざまなフォーマットでコンテンツを楽しんでもらう。平日午後のワイドを新番組に。『TALK TO NEIGHBORS』(月~木、13:00~13:30)は、長年『GOOD NEIGHBORS』のナビゲーターを務めたクリス智子さんが、週替わりで多彩なゲストを迎えて話を聞く。毎週金曜には、放送された内容に加えてポッドキャストでしか聞けない話も配信。塩田真人・コンテンツプロデュース部長は、「このようなスタイルの番組はこれまでJ-WAVEになく、ポッドキャストの名物番組を目指したい」と語る。続く時間帯には、これまで早朝番組のナビゲーターだった長井優希乃を起用した『PEOPLE'S ROASTERY』(月~木、13:30~16:00)を編成。金曜日の夜は、日向坂46のキャプテン・佐々木久美さんが世の中の仕組みや動きを経済の角度で見つめる『LOGISTEED RADIONOMICS』(金、22:30~23:00)や、スリーピースロックバンド・SHISHAMOが「週末に行きたい場所」をプレゼンテーションし、メンバーが実際に街に行き、グルメなどをリポートする『HAPPYEND FRIDAY』(金、23:00~23:30)のほか、モデルの小谷実由さんのポッドキャスト番組『おみゆの好き蒐集倶楽部』が地上波に進出した『FAV COLLECT CLUB -OMIYUNO SUKI SHU SHU CLUB-』(金、26:30~27:00)がスタートした。

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<J-WAVE『TALK TO NEIGHBORS』ナビゲーターのクリス智子さん>

「オトナのホンネ 文化放送」をキャッチコピーとして改編率48.8%の改編を行った文化放送。吉住由木夫・執行役員コンテンツ局長兼編成部長は、「本音が言いづらかったり、有料のサロンで聴いたりするような時代に、ラジオの良さ、強みであるパーソナリティやゲストの本音が聴けることを目指した」と語る。"オトナ世代"と名付けた50・60代以上をターゲットにして、平日の朝から夕方のゾーンをリニューアルした。『おはよう寺ちゃん』(月~金、5:00~9:00)は放送時間を1時間、『くにまる食堂』(月~金、9:00~13:00)は2時間拡大。『くにまる食堂』の9:00~11:00までは曜日別パートナーを迎える。火曜日の関西学院大学教授の村尾信尚さんと、木曜日の俳優の内藤剛志さんはラジオ初レギュラー。夕方には、エンタメから報道まで幅広い経験とキャリアを重ね、同局の『ミスDJリクエストパレード』の出身者でもある長野智子さんがパーソナリティを務める『長野智子アップデート』(月~金、15:30~17:00)がスタートした。その日のニュースの振り返りや最新情報を長野さんが自身の言葉で語る。平日朝のワイド番組としてコアなファンを獲得していた『おとなりさん』は、『おとなりさんday』(日、14:00~16:00)に。また『我々だ!の侵夜ラジオ』(火、25:30~26:00)や『赤見かるびの「お笑いかるび塾」』(土、27:00~27:30)など、4月にサービスを開始したオリジナルプラットフォーム「QloveR」との連動番組も。有料会員は過去の番組アーカイブや会員限定動画が視聴できる。

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<文化放送『長野智子アップデート』>

「心を豊かにする音楽との出会い」のさらなる強化を目指すinterfmは、23年春改編でスタートした『Find Your Music !』(月~木、16:30~18:27)を今春から朝の時間帯(月~木、9:00~10:28)にも新番組として組み、1990年代の洋楽を中心に、時代を超えて愛される新旧の名曲をVance KさんがDJとして届ける。同氏は、かつてinterfmでパーソナリティを務めたことがあり、ステーションカラーをより前面に出すためにキャスティングしたという。砂井博文・コンテンツビジネスユニット統括は、「モアミュージックレストークで、"音楽を聞かせる"を象徴する番組にしたい」と説明。また、『RADIO. RADIO. With George Williams』(金、19:00~20:55)は、ジョージ・ウィリアムズさんが久しぶりに同局の番組を担当する。音楽とフェスをテーマに番組を展開し、フジロックフェスティバルなどフェスに参加する音楽ファンに向けて、アウトドアや映画エンタメを含めて情報を届ける。女優の深川麻衣さんがナレーターを担当する『紅茶花伝 presents ほどけるラジオ』(月~水、15:42~15:47)は、さまざまなジャンルで活躍するアーティストや著名人に、あると落ち着くアイテムやマイブーム、リラックスできる音楽など聞く。番組の一部はポッドキャストやAuDeeでも配信、出演者の選曲を集めたプレイリストもSpotifyで公開している。

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<interfm『Find Your Music !』>

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