放送日誌 2024年11月

編集広報部

放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2024年11月分を掲載。


【民放連】
11.1 民放連会員のテレビ140社が2024年秋改編に選定した「青少年に見てもらいたい番組」延べ993番組を公表。在京テレビ5社は29番組、それ以外の135社は在京テレビ5社の番組に自社制作番組などを加えた964番組。

11.5 2024年度第6回理事会を開催。▶副会長の選定▶NHK経営計画(2024-2026年度)修正案に対する民放連意見の提出▶「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(第3次)」案等の意見募集への対応▶臨時総会の開催と議案――などを承認。このほか、▶ラジオ委員長に檜原麻希副会長(ニッポン放送社長)を、第73回民間放送全国大会〔民放大会〕の大会委員長に松波啓三理事(CBCテレビ社長)をそれぞれ委嘱▶「周波数再編アクションプラン(令和6年度版)」案に対する民放連意見の提出――の報告を了承。

11.5 2024年度第2回会員協議会を開催。▶第2期「民間放送の価値を最大限に高め、社会に伝える施策」▶「CM素材無断差し替え問題」の対応、放送計画・知財の各専門委員長および堀木卓也専務理事から報告があった。

11.5 「NHK経営計画(20242026年度)修正案」に対する意見をNHK経営委員会に提出。①情報空間全体の多元性確保、②放送法改正後のインターネットサービス、③事業収支――の3点について考えを示した。

11.6 72回民間放送全国大会をグランドプリンスホテル新高輪・国際館パミールで開催。民放首脳、来賓、関係者ら713人が出席した。遠藤龍之介会長はあいさつで、民放が自らを複数の視点から再評価する営みを進め、厳しい時代を生き抜くための指針を見いだしていきたいとして会員各社に協力を呼びかけた。大会宣言の採択に続いて今年の日本民間放送連盟賞の表彰と同賞グランプリ・準グランプリの発表と表彰を行った。

11.6 2024年日本民間放送連盟賞のグランプリと準グランプリが決まる。ラジオのグランプリはラジオ沖縄『白線と青い海~早川さんと饒平名さんの730(ナナサンマル)~』、テレビのグランプリは信越放送『SBCスペシャル 78年目の和解~サンダカン死の行進・遺族の軌跡~』が受賞。準グランプリはラジオが山梨放送『リスタート~ギャンブル依存症回復への道~』、テレビは日本テレビ放送網『最高の教師 1年後、私は生徒に◼された』が選ばれた。

11.13 技術委員会、千葉市の幕張メッセ・国際会議場で開かれたInter BEE 2024にあわせ「第61回民放技術報告会」を実施(-15日)。14日の特別企画は「AIで進化する放送業界の最前線〜生成AIを含む機械学習の活用と未来~」をテーマに在京テレビキー5局と毎日放送の担当者6人が話し合った。

11.15 民放連の堀木卓也専務理事、総務省「日本放送協会の番組関連情報配信業務の競争評価に関する検証会議」の初会合にオブザーバーとして出席。「NHK番組関連情報の配信が、『メディアの多元性』と『公正な競争』の確保に支障を生じさせないことを直接的に担保する明確な措置が存在しない」としたうえで、(ⅰ)外部プラットフォームは原則として利用しないこと、(ⅱ)ネットオリジナルコンテンツは配信しないこと、(ⅲ)「メディアの多元性」と「公正な競争」の確保に支障を及ぼす過大な費用は計上しないこと、(ⅳ)その他(▶サービス開始後の検証、▶誤受信防止措置についてフリーライド防止の実効性ある措置を講じること、▶大型スポーツ大会番組関連情報はオリンピック・パラリンピックに限定すること)――の4項目の質問を提示。NHKは次回会合までに文面で回答することとした。

11.15 「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(第3次)」(案)に対する意見を総務省に提出。①放送の将来像、②小規模中継局等のブロードバンド等による代替、③ラジオ放送の経営の選択肢――の3テーマを提言した。

11.15 「AM局の運用休止に係る特例措置に関する基本方針」改定案に対する意見を総務省に提出。特例措置の再度の適用期間を設け、適用要件を緩和することに基本的に賛成としたうえで、ラジオ各社の個別事情や要望に可能な限り配慮する、FM転換の制度整備についてもできる限り早期に方針を示し具体化する――ことを要望した。

11.22 遠藤龍之介会長が定例記者会見。2024年民放連賞のグランプリが決定したことを受け、「グランプリ、準グランプリの4番組のうち、3番組はローカル局の番組で東京からは見つけにくい各地の出来事や文化、歴史などを丁寧にすくい上げた作品だった」と評価し、視聴者・リスナーに優れた番組の存在を知ってもらいたいとした。2024年を振り返り、能登半島地震や各地の豪雨災害、またパリオリンピックなどのスポーツコンテンツを通じあらためて放送の意義・役割を確認できたとしたうえで、SNS上の偽広告や投資詐欺といった問題を指摘し「来年もこうした動きをしっかりと把握し、研究して、放送の未来に向けた対策を練っていきたい」と述べた。

11.28 民放連研究所、「ローカル民放経営セミナー」をオンラインで開催。基調講演には「危機感なき茹でガエル状態からの血路~TSSこの10年の取り組み~」をテーマに箕輪幸人・テレビ新広島社長が登壇し、社長就任以降、"失敗を恐れる文化"から"失敗から学ぶ文化"へと社内の意識改革を進めた経緯と、その根底にある経営哲学を披歴された。パネルディスカッションでは「地域課題の解決による経営基盤強化~課題と展望~」をテーマにパネリストとして北海道放送・名古屋テレビ放送・岡山放送・福岡放送の新規ビジネスの担当者と有識者が登壇。他地域や他業種との競合・連携といった従来の放送事業とは異なる課題と、それを乗り越える工夫などについて意見が交わされた。


【放送・マスメディア】
11.7 在京民放テレビキー5社(日本テレビ・テレビ朝日・TBS・テレビ東京・フジテレビ)が「テレビカンファレンス2024」を都内で開催。2回目となる今年のテーマは「もっと伝えたい、テレビのこと~ビジネスを加速させるテレビマーケティング最前線~」。テレビを活用したマーケティングやソリューションに興味がある企業を対象にスペシャルステージとサイドステージの2つで講演を行ったほか、在京テレビ5社とTVer社の企業ブースでリアルなコミュニケーションの場を提供した。

11.7 日本新聞協会メディア開発委員会、改正放送法を受けたNHK経営委員会の2024-2026年度中期経営計画の修正案に対する意見書をNHKに提出。インターネット業務の全体像や具体像を明確にするよう求めた。

11.8 テレビ朝日、7月23日に起きたCMが一時放送できないトラブルの報告書を公表。マスター設備内のネットワークの装置に誤作動が起り、大量のデータがサーバーに流れ込み番組とCMを送り出す制御ができなくなったとした。再発防止策として通信の遮断や予備系統を強化するなど放送の安定性向上を図る。同社は技術局長をけん責処分に、技術局担当取締役は月額報酬1割(1カ月分)を自主返納。

11.9 第44回「地方の時代」映像祭(主催=民放連・NHK・関西大学などで組織する実行委員会)が大阪の関西大学で開かれる(-15日)。名古屋テレビ放送『メ~テレドキュメント掌で空は隠せない~1926木本事件~』がグランプリに選ばれた。同日開かれたシンポジウムは「阪神・淡路大震災30年 いのちを守る災害報道~地域に根ざしたメディアの挑戦~」をテーマにテレビユー福島、NHK静岡放送局、エー・ビー・シー リブラ、射水ケーブルネットワークの4人と有識者を加えた5人が話し合った。10日以降はワークショップや受賞作品の上映を行う。

11.15 日本新聞協会が総務省「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(第3次)」(案)に対する意見に意見を提出。国家権力によるメディア規制・コンテンツ介入を危惧する内容やメディアの多元性が損なわれないよう慎重な検討を求める。

11.18 民放公式テレビ配信サービス「TVer」、スマートフォン・タブレット、コネクテッドTVを合わせたアプリダウンロード(DL)数の累計が8,000万を突破したと発表。また、全デバイスの再生数に占めるコネクテッドTV再生数割合が2024年10月に過去最高の36.9%(ビデオリサーチ調べ)となったことも併せて公表した。

11.27 ビデオリサーチ、「VR FORUM 2024」を東京ミッドタウンホールでリアルとオンラインを併用して開催。特別会談では「コンテンツから拡がる"その先"へ」と題し、龍宝正峰(TBSテレビ社長)、佐野傑(電通社長執行役員)、石川豊(ビデオリサーチ社長執行役員)の3氏が登壇。テレビ局と広告会社の枠を超えて日本のコンテンツ産業としてスポーツとエンターテインメントをどう盛り立てていくべきかなど多岐にわたり議論した。

11.29 日本テレビ系列4社(札幌テレビ放送・中京テレビ放送・読売テレビ放送・福岡放送)が2025年4月1日に認定放送持株会社「読売中京FSホールディングス」を設立し、経営統合すると発表。持株会社の代表取締役会長に丸山公夫(中京テレビ放送代表取締役会長)、代表取締役社長に石澤顕(日本テレビホールディングス代表取締役社長執行役員)の各氏がそれぞれ就任予定。


【行政・海外】
<行政等>
11.1 「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が施行。同法は個人として業務委託を受けるフリーランス(事業者)と企業などの発注事業者の間の取引の適正化、フリーランスの就業環境の整備を図ることが目的。

11.11 第2次石破政権が発足。同13日付で総務副大臣に衆議院議員の冨樫博之・阿達雅志の両氏が就任。総務大臣政務官に衆議院議員の古川直季・川崎ひでと、参議院議員の長谷川英晴の3氏がそれぞれ任命された。総務大臣に村上誠一郎衆議院議員が留任。

11.15 総務省「日本放送協会の番組関連情報配信業務の競争評価に関する検証会議」が初会合。改正放送法を受け2025年10月からNHKが実施するインターネット配信業務について、メディアの多元性の確保を含む公正な競争の確保に支障が生じないか等を検証し、番組関連情報の「業務規程」の内容が改正放送法の規定に適合しているか、学識経験者および利害関係者の意見を取りまとめることが目的。

<海外>
11.5 米大統領選挙の投開票が行われる。同6日明け方に共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が当選を確実にしたと主要現地メディアが相次ぎ報じた。2025年1月20日に米大統領就任式典が行われる。

11.29 豪議会で16歳未満のSNS利用を禁止する法案が可決・成立。禁止対象はX、Facebook、Instagram、TikTokなどが含まれ、アカウントなしでアクセスできるサイトや教育目的で使用されるYouTubeなどは対象外となる見込み。事業者には16歳未満のアカウント作成を防ぐ実効的な措置をとることが義務付けられ違反した場合、最大4,950万豪ドル(約50億円)の罰金を科す。国家としてSNSの利用に規制をかけるのは世界初で施行時期は1年後の予定。

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