放送日誌 2023年11月

編集広報部

放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2023年11月分を掲載。


【民放連】
11.2 内閣府の知的財産戦略推進本部に「AI時代における知的財産権」に関する意見を提出。知的財産権のリスク回避の観点から技術による対応を行うことに賛同するとともに、「ディープフェイク」については、偽情報の拡散につながることから報道機関として「報道・情報の信用を損ないかねない重大な問題」と指摘した。

11.6 2023年度第6回理事会を開催。2024年に東京で開催する第72回民放大会の委員長に港浩一副会長を委嘱したことや2025年の民放大会開催地を名古屋にするとの報告を了承。NHKや各省庁が実施した意見募集への対応などを承認・了承した。

11.6 2023年度第2回会員協議会を開催。放送計画、ラジオ、知財、経営の各委員長から活動報告を行うとともに、インボイス制度への対応に関する現状を報告。

11.6 NHKの2024-2026年度中期経営計画案に意見を提出。▷民放も含めた放送ネットワーク全体を維持する役割を果たす▷節度をもった事業運営と三位一体改革の着実な実行▷ネット配信の業務範囲や財源のすみやかな公表――を求める。

11.7 第71回民間放送全国大会をグランドプリンスホテル新高輪・国際館パミールで開催。民放首脳、来賓、関係者ら約800人が出席した。遠藤龍之介会長はあいさつで、健全な民主主義に基づく平和で安定した日本社会を維持し、つくりあげるという使命をあらためて確認し、再出発する日にしたいと呼びかける。大会宣言の採択に続いて日本民間放送連盟賞の表彰式と同賞のラジオ・テレビのグランプリ・準グランプリ発表と表彰も行う。4年ぶりに懇親会を実施した。

11.7 2023年日本民間放送連盟賞のグランプリと準グランプリが決まる。ラジオのグランプリは四国放送『中四国ライブネット全国で1000台突破!移動スーパーとくし丸~見えてきた、さらなるくらしの困りごと~』、テレビのグランプリはテレビ静岡『テレビ静岡55周年記念「イーちゃんの白い杖」特別編』が受賞。準グランプリはラジオが北日本放送『KNB報道スペシャル 統一教会と富山政界』、テレビは朝日放送テレビ『こどもホスピス ~いのち輝く"第2のおうち"~』。

11.10 民放連会員のテレビ140社が2023年秋改編に選定した「青少年に見てもらいたい番組」延べ1,044番組を公表。在京テレビ5社は31番組、それ以外の135社は在京テレビ5社の番組に自社制作番組などを加えた1,013番組。

11.15 技術委員会、千葉市の幕張メッセ・国際会議場で開かれたInter BEE 2023にあわせ「第60回民放技術報告会」を実施(~17日)。16日の特別企画は「テレビにおける『バーチャルプロダクション』の進化と未来~最新CG技術はテレビに何をもたらすか~」をテーマに在京テレビキー5社とNHKの担当者が活用事例の報告とこれからの展望を議論した。

11.22 遠藤龍之介会長が定例記者会見。総務省の「日本放送協会のインターネット活用業務の競争評価に関する準備会合」初会合への対応を問われ、「競争評価の仕組みが有効に機能するには、NHKがネット配信で何をやり、何をやらないのかを明確にすべき」とし、実効性のある評価体制や基準の整備が必要と述べる。旧ジャニーズ事務所の問題をめぐる各社の検証番組については、「各社ともできる限りの調査を行い、その結果を真摯に伝えている」との認識を示した。各社の取り組みの精神的な指針とするため民放連は「人権に関する基本姿勢」を年内にも策定する。

11.30 民放連研究所、「ローカル民放経営セミナー」をオンラインで開く。基調講演には大西康司・南海放送社長が登壇。民放各局やTVer、radikoの担当者によるパネルディスカッションは「民放ローカル局のネット配信の今後の展開」をテーマに話し合った。


【放送・マスメディア】
11.6 NHK、放送受信契約の締結と受信料・割増金の支払いを求め、都内の3世帯を提訴。4月の請求制度導入後、割増金の支払いを求めるのは初めて。

11.9 日本新聞協会メディア開発委員会、NHKの2024-2026年度中期経営計画案に意見を提出。「繰越金を蓄積する構造的な問題がある」との指摘。より早期に収支均等を実現できる可能性があるとした。インターネット活用業務の見直しについては早期に具体的なサービス像を示すよう望んだ。

11.15 テレビ山口の労働組合、48時間のストライキ。夕方のニュース番組を一部休止するなど放送内容に影響が出る。冬のボーナスなどをめぐって経営側との交渉が決裂、31年ぶりのストライキとなった(~16日)。

11.18 第43回「地方の時代」映像祭(主催=民放連、NHK、関西大学などで組織する実行委員会)が大阪の関西大学で開かれる(~24日)。NHK『立つ女たち~女性議員15%の国で~』がグランプリに選ばれる。同日開かれたシンポジウムは「危機の時代に、メディアはどう立ち向かうのか?」をテーマにテレビ新潟、名古屋テレビ、NHK大阪放送局の制作者3人と「無言館」館主で作家の窪島誠一郎氏を加え4人が話し合った。19日以降はワークショップや受賞作品の上映を行う。

11.22 在京民放テレビキー5社(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)、テレビメディアの魅力を広告主や広告会社の担当者にアピールするイベント「テレビカンファレンス2023」を都内で開催。テレビへの広告出稿に関心のある企業などに各局の番組クリエイターらがビジネスの視点からテレビ媒体の有用性を訴える。在京5社の営業部門が"共創"でこうしたイベントを開くのは初めて。

11.28 日本海テレビ、記者会見で経営戦略局の男性局長(53)を同27日付で懲戒解雇したと発表。鳥取警察署に被害を提出。日本テレビ系列のチャリティ番組「24時間テレビ」の寄付金など1,100万円あまりを着服していた。田口晃也会長は年内に辞任し(12月18日付辞任)、西嶌一泰社長は3カ月分の給与を返上。

11.28 読売テレビ、制作局所属の男性管理職社員(40歳代)を懲戒解雇したと発表。音楽番組『カミオト夜』の経費を当該社員の担当期間に多額の不正な請求があった。大橋善光社長と当時の制作局長(現取締役)は役員報酬の一部を自主返納。同番組は2023年内に休止する。


【行政・海外】
<行政等>
11.7 総務省の「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」が初会合。座長に宍戸常寿・東京大学大学院教授が就き、デジタル空間上の偽情報などをめぐる情報流通のあり方や対応等を話し合う。

11.15 総務省、NHKから申請のあった衛星基幹放送の業務(BSプレミアム)の廃止を電波監理審議会に諮問し、「適当」とする答申を受ける。同日付でBSプレミアムを24年3月31日に廃止することを認可。

11.15 電波監理審議会、BS右旋の空き帯域の4K放送への割り当てに3者(SCサテライト放送(株)『ショップチャンネル4K』、OCO(株) 『OCO TV』、(株)QVCサテライト『4K QVC』)を適当と答申。総務省は今後、3社の認定手続きを進める。

11.20 総務省の「日本放送協会のインターネット活用業務の競争評価に関する準備会合」が初会合。「公共放送ワーキンググループ(WG)」の構成員を兼ねる有識者3人とNHK、民放連、日本新聞協会メディア開発委員会が参加。NHKのネット業務をめぐって、①競争評価の枠組み(体制・プロセス等)、②具体的な範囲や提供条件の基本的な考え方やNHKの原案に関する事項――などを検討する。WGの取りまとめで競争評価を行うことが提言されていた。2024年夏ごろまでに取りまとめを行う。NHKは最短で2025年度からネット業務を必須業務として実施することを想定している。

<海外>
11.8 米映画俳優組合〔SAG-AFTRA〕、米映画・テレビ製作者協会〔AMPTP〕との交渉で暫定合意したと発表。7月半ばから続いたストライキが終結。9月から16万人の俳優が職場に復帰する。組合との最終承認は12月上旬の予定。

11.8 スイス連邦政府、公共放送「スイス放送協会」の受信料をおよそ1割削減する方針を発表。現行の放送免許は2024年から2028年末まで4年延長し、期間中は2段階に分けて受信料を年間335スイスフラン(CHF/約5万6,000円)から300CHFにまで引き下げる。受信料の4割削減を求める国民運動の高まりを背景にしたもの。

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