放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2023年2月分を掲載。
【民放連】
2.2 民放連と日本弁護士連合会(日弁連)の第31回「報道と人権に関する懇談会」で旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に関する報道をめぐり意見を交わす。民放連は報道委員会(大橋善光委員長)と放送基準審議会(佐々木卓議長)それぞれの下部組織「報道専門部会」「放送の自主・自律に関する特別部会」の委員ら29人、日弁連は「人権と報道に関する特別部会」の委員ら27人が出席した。
2.8 営業委員会、第49回テレビ営業ゼミナールをオンラインで開き、127社368人が参加した。AI(人工知能)などの進展を見据えるなか新しい時代のテレビの価値を考えた。
2.15 放送分野における外資規制等に係る法令改正案に対する意見を総務省に提出。
2.15 地上基幹放送局の再免許等に関する諸規定案に対する意見を総務省に提出。
2.16 景品表示法における「ステルスマーケティング規制」の告示案等に対する意見を消費者庁に提出。
2.― 『放送基準解説書2023』を刊行。2022年5月に大幅改定した民放連放送基準の4月施行を前に円滑な運用を図ることが目的。4万8,000部を作成し会員社に配布。(ウェブサイトの会員ページには、ウェブ版も掲載。)
【放送・マスメディア】
2.6 チューリップテレビ、補助金申請した8件の事業に関して経済産業省から交付決定の取り消しと、すでに交付された補助金の全額返還と加算金支払いの処分を受ける。2020年11月から22年9月にかけて、新型コロナウイルスの影響で公演を延期・中止した事業者に助成される「J-LODlive」で不適切な申請が行われていたことが2022年7月に社内調査で明らかになっていた。山野昌道社長は記者会見で全額を返還することを発表するとともに、社内処分と再発防止策を公表。
2.13 テレビ東京、宮城県の水道事業を取り上げた番組に誤りがあり、視聴者に誤解を与えたとして番組の公式サイトに謝罪文を掲載。村井嘉浩宮城県知事が事実誤認があるとしてBPO〔放送倫理・番組向上機構〕に意見書を提出していた。
2.14 BPO・放送人権委員会、ペットサロンで預かっていた犬がシャンプーを受けた後に死亡したことを取り上げた日本テレビの情報番組『スッキリ』の放送内容(2021年1月28日)に人権侵害はなく、放送倫理上の問題もあるとまでは言えないとする見解を公表。申立人の社会的評価を低下させたとする主張については、真実相当性が認められる一方、申立人への直接取材を実現すべくもう一歩の努力が望まれると要望。
2.14 NHKの新副会長に井上樹彦氏が就任。前任の正籬聡氏は2月11日付で退任した。
2.17 有料動画配信サービスの「U-NEXT」と、TBSホールディングスやテレビ東京ホールディングスが出資する「Paravi」を運営するプレミアム・プラットフォーム・ジャパンが3月31日付で経営統合することに合意。U-NEXTが存続会社となり、Paraviは7月をめどにU-NEXT内に移管してサービスを続ける。
2.24 サイバーエージェントが運営する動画配信サービス「ABEMA」と米ネットフリックスがコンテンツパートナーとして業務提携すると発表。ABEMAが独自に若者向けの恋愛バラエティ番組を制作し、海外向けにネットフリックスが独占配信する。
2.24 電通、「2022年日本の広告費」を発表。22年の総広告費は7兆1,021億円(前年比4.4%増、以下同)と、1947年の推定開始以降、過去最高に。ウクライナ情勢や新型コロナの再拡大などで経済環境に変化がみられたものの、インターネット広告費の成長が市場全体を支えた。テレビメディアは1兆8,019億円(うち地上波の1兆6,768億円)、ラジオは1,129億円だった。インターネット広告媒体費は2兆4,801億円(15.0%増)で、動画広告の需要が増えた。同媒体費の一部であるマスコミ4媒体由来のデジタル広告費は1,211億円(14.1%増)と前年に続く2桁成長。このうちテレビメディア関連動画広告は40.6%増の350億円に。話題性のあるドラマでTVerが順調に伸長したほか、FIFAワールドカップ・カタール大会でABEMAが規模を拡大した。ラジオデジタルは57.1%増の22億円だった。
【行政・海外】
<行政等>
2.7 文化庁の文化審議会著作権分科会、権利者不明のドラマや個人創作などの二次利用の迅速化に向けた「新制度の導入を盛り込んだ」第一次答申を永岡桂子文部科学大臣に提出(2.15 政府、著作権法改正案の概要を公表。3月上旬の閣議決定を目指す)。
2.10 総務省、NHKの2023年度収支予算・事業計画を総務大臣意見を付して国会に提出。同意見は、NHKに一層の合理化・効率化に取り組むとともに業務・受信料・ガバナンスを一体的に改革することに不断に取り組むよう求めたうえで、▽インターネット活用業務の適切な実施▽経営改革の推進▽受信料の適切・公平な負担▽放送ネットワークの維持・管理に関する民放事業者との連携・協力――などを要望した。
2.24 総務省は、郵便法違反の報告漏れでNHKに対し、行政指導を行った。NHKが外部の事業者に委託して送達した受信契約の案内文書が新たにおよそ309万通確認され郵便法に違反したもの。
2.24 総務省「公共放送ワーキンググループ(WG)」の第5回会合が開かれた。WGとして、インターネット時代の公共放送の「役割」と「業務」の考え方の案が論点ごとに示された。
2.28 公正取引委員会、東京2020オリンピック・パラリンピックの入札をめぐる談合事件で契約総額430億円あまりの業務で不正な受注調整を行っていたとし、電通グループや博報堂など6社と大会組織委員会大会運営局元次長ら7人を独占禁止法違反の疑いで刑事告発。東京地検特捜部起訴。
<海外>
2.8 米ディズニー、ボブ・アイガー氏がCEOに復帰してから初めてとなる四半期決算報告。看板サービスであるDisney+の契約者数減少など配信・DTC〔Direct to Consumer〕部門の不振が浮き彫りに。
2.15 仏公共放送フランス・テレビジョン(FTV)と民放のTF1とグループM6、3社によるジョイントベンチャー「Salto」(有料動画配信サービス)の事業停止を決め、近日中に清算手続きに入ると発表。