【やきそばかおるのおススメらじお】オリジナリティあふれる、おしゃべりの楽しさ~2025年秋のローカル新番組から

やきそばかおる
【やきそばかおるのおススメらじお】オリジナリティあふれる、おしゃべりの楽しさ~2025年秋のローカル新番組から

秋の新番組が始まって2カ月。おなじみのパーソナリティから、初めて番組を持つ人まで多彩な番組がスタートした。おしゃべりの面白い番組が多く、そのなかから7本の番組を紹介する(以下、敬称は略させていただいた)。また、番組タイトルからのリンクは各局のサイトに遷移します。

時計代わりにならない実験性

📻AIR-G'(エフエム北海道)
『とけならきーぽん』(水、11:30〜11:55)

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リスナーを巻き込んで送る実験的な生放送。番組タイトルの『とけならきーぽん』は「時計の代わりにならないラジオ番組」の略だ。いつも楽しくあっけらかんと話す芸人、きーぽん。北川久仁子とのおしゃべりが止まらない番組『くにぽん』(金、17:30〜17:45)、農業を支える人々を紹介する『AIR-G'農Lands』(日、6:00〜7:00)と同局で活躍中の彼女が新たに立ち上げた番組だ。
『とけならきーぽん』は生放送にもかかわらず、時刻がわからない状態で放送する。頼りになるのはリスナーからXに寄せられる投稿のみ。具体的な時間を書き込むのは禁止で、ヒントとして「トイレに行って帰ってこられるくらいの残り時間」と漠然とした内容を書くのがルール。スマートフォンも時計の部分をテープで隠した状態でしゃべる。リスナーのメッセージや、きーぽんに対するツッコミやボケ投稿が続々と寄せられ、Xを介したやりとりが楽しい。
ある回では謎解きクイズ企画を行った。スタッフが番組のサイトで公開した暗号をリスナーが解読。リスナーは暗号の意味がわかったら、答えのヒントをポスト。リスナーが放送中に暗号を解読できるか、リスナーがポストしたヒントからきーぽんが答えを導き出せるかがクリアの鍵となった。
他の回では「英語をしゃべってはいけない」という企画も実施。リスナーはきーぽんがうっかりカタカナをしゃべってしまいそうな質問をXにポストした。エンディングで時間が余ってオロオロして終わることも多いが、そこも含めて面白い。

📻FM NORTH WAVE
『日野ヤヨイのサマザマ噺』(月、25:00〜26:00)
2014年に結成した札幌のバンド「さよならミオちゃん」のヴォーカル・ギター担当、日野ヤヨイの勢いのあるトークが楽しめる番組。ラジオが大好きな日野。いつかレギュラー番組を持ちたかったというだけあって、オープニングからテンポのいいトークを展開する。話が面白いのはもちろん、言葉選びも秀逸だ。子どもの頃から芸人への憧れが強く、12歳の時に同局の番組に出演してネタを披露したことがあるという。初回の放送で「あの時と同じスタジオでしゃべることになって、めちゃくちゃうれしいです!」と話した。
大喜利コーナー「ミ大喜利」はリスナーのネタのレベルが高いだけでなく、日野の紹介の仕方もうまい。北海道から沖縄まで、芸人の番組でよく読まれているリスナーも参加しており、番組が始まって間もないなかで盛り上がっている。地元のバンドの楽曲を紹介するコーナーもあり、「このバンドは天才!」「ギターのリフが格好いい!」と熱く解説する。

📻MROラジオ(北陸放送)
『夜の白百合アワー』(木、20:30〜21:00)
大人の落ち着いた雰囲気のなかに、おかしさが漂うトーク番組。パーソナリティは謎のコンビ「西園寺蘭子」と"執事"の「勅使河原権蔵」。リスナーから悩み、愚痴、モヤモヤ、怒り、本音などを募り、投稿者にフィットする音楽とおしゃべりを「愛の処方箋❤」として提供する。ある回では「電車で席に座っていたら、自分よりも同じくらいか年下の高齢者が、目の前で仁王立ちをしていたので仕方なく席を譲ったが、釈然としない」という相談が紹介された。そんなリスナーを西園❤蘭子と勅使河原権蔵がなだめる。真剣な悩みというよりは、どこに送ればいいのかわからないような「小さなモヤモヤ」を送るのに、ちょうどいい。
この番組について「知ってほしいけど、知らなくてもいい。ほどほどのところの隙間で、クセになる番組を目指したい」という話をしていたふたり。既にふたりの"正体"に気づいたというリスナーのメールを紹介したこともあるが、いまだ具体的な名前は明かしていない。

武将が現代にタイムスリップ?!

📻CBCラジオ
『伝令! 武将が現世でラジオを始めたようです!』(土、11:40〜11:55)

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「名古屋おもてなし武将隊」が日本の歴史を楽しく紹介する。同武将隊は2009年11月に「名古屋開府400年」のPR大使として結成された。メンバーは織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、前田利家、加藤清正、前田慶次の有名武将6人。さらに陣笠(足軽)4人が脇を固める。番組ではメンバーのなかから数人がパーソナリティを担当する。メンバーは終始、武士の口調で話す。メールを「矢文」と呼び、収録時も武士の姿で話す徹底ぶり。
「この日、なんの日」は、放送がある日付の過去の出来事を振り返る。ある回では第二次木津川口の戦いの話になり、織田信長が「木津川口は先日まで行われた大阪・関西万博の会場に近いんじゃ。第二次木津川口の戦いで、燃えないように鉄で覆った船を浮かべたのはこの私! あとで知ったのだが、世界で初めてのことらしい」と誇らしく話した。メンバーそれぞれの話が興味深く、歴史に詳しくなくても引き込まれていく。

📻MBSラジオ
『メッセンジャーあいはらのYouはこれから!Everyday』(月〜金、 10:00〜12:00)

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今秋まで週に一度放送していた人気番組『メッセンジャーあいはらのyouはこれから!』が帯番組に。お笑いコンビ「メッセンジャー」のあいはらは2017年に始まった前々身番組『メッセンジャーあいはらの夜はこれから!』の時から帯番組の構想を練っていたそうで、それが形となった。あいはらを中心としたトークは、"ながら聴きをさせてくれない"面白さだ。曜日替わりの出演者のほかに"今日の話し相手"とするゲストが登場。あいはらはオープニングから共演者に対して愛のあるイジりを展開する。普段からラジオやテレビ、ネットニュースや動画などをくまなくチェックしており、共演者が「なんでそんなことまで知ってるんですか!」と驚くことも。あいはらは、共演者のどこをつつけば面白い話につながるかを考えたうえで話を振っている、と思われる。
なかでも、月に一度ほど出演しているトミーズ健とは関西のお笑い界の懐かしい話が飛び出して盛り上がる。毎週金曜日に出演しているガリガリガリクソンは奇天烈なキャラクターだが、投資家の一面もあるため社会・経済の話になると不意に真面目にしゃべることがあり、そのギャップも面白い。
番組に出演した人はブレイク、もしくは再ブレイクする傾向があり、今後もどんな人にスポットが当たるかも楽しみだ。なかでも吉本新喜劇の今別府直之、森田まりこ・清水啓之夫妻など、「youこれ」がきっかけでリスナーの間で注目されている人も多い。

優しさと、懐かしさと

📻Kiss FM KOBE(兵庫エフエムラジオ放送)
『Joy Tune Radio』(月〜木、12:00〜16:00)

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9月に終了した夕方のワイド番組『Kiss Music Presenter』のサウンドクルー(Kiss FM KOBEのDJの呼称)を週に2回、17年半務めた藤原岬が秋から午後の帯番組を担当している。藤原はロックバンド「アカシアオルケスタ」のボーカルで、高くてきれいな声の持ち主だ。
魅力のひとつが「岬のおめでとー」のコーナー。誕生日をはじめ、日常生活でいいことがあったキスナー(同局のリスナーの呼称)のメールやFAXを紹介。「◯◯さん、おーめでとーー!」と美しい声で祝福する。およそ10分にわたって送るコーナーで『Kiss Music Presenter』時代から25年続く看板企画だ。リスナーが参加しやすく、番組の"玄関口"の役割も果たす。藤原の明るくて楽しいおしゃべりは子どもたちにも人気があり、番組でイベントを開催すると親子で遊びに来る人も多い。
また「思春期の子どもとのコミュニケーションがうまくいかない」「仕事で苦戦している」といったキスナーの悩みを紹介すると、ほかのキスナーから続々とアドバイスが届く。優しさにあふれた番組だ。
藤原は前述のMBSラジオ『メッセンジャーあいはらのYouはこれから!Everyday』の隔週金曜日にも出演しており、暴走するあいはらとガリガリガリクソンを上手にたしなめている。

📻RKBラジオ(RKB毎日放送)
『#キューパレ スポットライトの極上浴びてこ!!』(水、17:45〜21:00)
昭和の歌謡曲が好きなお笑いコンビ「スポットライト」。1999年生まれで中森明菜が好きなまいやと2000年生まれで矢沢永吉に憧れるパーティー!今田。結成2年目で冠番組がスタート。パーティー!今田に対するまいやのツッコミが速く、ふたりのトークそのものが漫才のようだ。
番組では1970年代の歌謡曲もかける。曲を知ったきっかけや、ふたりが生まれる遥か前の曲に関する解説も興味深い。ある回では、まいやがあのねのねの「ネコ、ニャンニャンニャン」を紹介した。1979年に発売された大ヒット曲だが、まいやは仕事で子どもたちと触れ合っているときに知ったという。昭和の曲を小学生からまいやが教わり、放送を通じてパーティー!今田やリスナーに伝わるという、今どきながらの現象だった。

ほかに伊藤咲子「木枯しの二人」、やまがたすみこ「風に吹かれて行こう」など、紹介する曲の雰囲気も幅広い。ふたりが芝居をして、内容に合った曲をオンエアするコーナー「スポットライト劇場」や大喜利などもあり、夜にピッタリだ。

いずれもオリジナリティあふれる番組ばかりだ。たくさんの人々に楽しさが伝わりますように。

          

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