2024年春のローカル新番組 地元にゆかりのパーソナリティ集う

やきそばかおる
2024年春のローカル新番組 地元にゆかりのパーソナリティ集う

今春の改編では、各地のラジオ局にゆかりのある著名人の生ワイド番組が多数始まった。なかには公開スタジオから放送している番組もあり、たくさんのリスナーが集まっている。リニューアルした番組も含めて紹介する。

FM GUNMAでは群馬出身の中山秀征のレギュラー番組『中山秀征の夕焼けウォンチュ!』(金、16:00〜18:55)が始まった。同局の公開スタジオもしくは東京・原宿にあるワタナベエンターテインメントの1階から放送しており、特にFM GUNMAから放送する際は大勢のリスナーで賑わう。全国ネットのテレビ番組では群馬の魅力を伝えることが多い中山。パートナーを務める加藤里奈は群馬に引っ越してきたばかりで、群馬の魅力を優しく伝えるところも微笑ましい。目玉コーナーのひとつが17時台の「生で歌う天気予報」。中山がスタジオで実際に歌っている途中で加藤が天気予報を伝える。深夜のテレビ番組でミュージックビデオを流しながら翌日の天気を字幕で表示する「歌う天気予報」を彷彿(ほうふつ)とさせて面白い。

CRT栃木放送では『つぶやき松井のよ~く聴かないで』(木、13:00〜19:00)がスタート。栃木出身のつぶやきシローと松井里恵アナウンサーの生ワイド。昨年の春に同じコンビでスタートした『ミキシング!』をリニューアル。ふたりの特徴をさらに活かした構成となった。つぶやきはネタの時にボソボソと話すイメージが強いが、『よ〜く聴かないで』は冒頭からつぶやきのトークが全開。独特の目線から繰り広げる日常の話が面白い。パートナーの松井アナは牛乳が大好きで白米を食べながら牛乳を飲むほか、変わった一面を持っており、つぶやきにツッコミを入れられることもしばしば。ちなみにディレクターは21歳。若いセンスを活かして、ふたりが盛り上がりそうなクイズやゲームを提案するコーナーもある。U

同じく栃木のRADIO BERRYではタイトルからしてユニークな『U字工事のSORRY SORRY』(金、15:00〜18:25)がスタート。宇都宮にある同局からの公開生放送だ。地元にまつわる話はもちろんのこと、仕事で全国を駆け回っているふたりのエピソードトークが面白い。パートナーを務める井出文恵とのやりとりは終始ほのぼの。リスナーが抱える小さな悩みに対して福田薫が前向きな駄洒落でアドバイスする企画もユニークだ。

思わぬ展開の仕方をしているのが、LuckyFM 茨城放送で始まった『今夜はLuckyNight~赤プルマンデー~』(月、22:00〜24:00)だ。パーソナリティの赤プルは茨城県常総市出身のお笑い芸人。『エンタの神様』(日本テレビ)で茨城の自虐ネタを披露して有名となった。月替わりで登場する芸人とともに、学生時代の地元の思い出や街の旬の話題を肴(さかな)に盛り上がる。番組を盛り上げるもう一人のキーパーソンは夫の松丘慎吾。赤プルと松丘は夫婦で「チャイム」というコンビを組んでいる。松丘は番組のヘビーリスナーで、放送中にSNSのXで妻にツッコミを入れる。デートで行ったテーマパークでの思い出をメールで送ったこともあり、赤プルは恥ずかしそうに紹介していた。とても仲がよく「こんなに優しい男の人はいない」とノロケたことも。また、赤プルは防災士の資格を持っており、もしもの時のために備えることの大切さを伝えるコーナーもある。

新潟のBSNラジオでは『スーパー・ササダンゴ・マシンのセッパン!』(金、16:00〜19:00)がスタート。ラジオが好きで3年前に自ら放送枠を買って『スーパー・ササダンゴ・マシンのチェ・ジバラ』(日、23: 00〜24:00)を立ち上げたスーパー・ササダンゴ・マシン。新潟にある実家の金型工場・坂井精機の社長でもある彼はトークが面白く、県外リスナーを巻き込んだ大喜利企画やイベントも大盛況。30分枠の番組『チェ・ジバラのつづき』(日、25:00〜25:30)も始まった。
面白いことや、くだらないことを徹底的に追求している彼がついに夕方のワイド番組に進出。番組の冒頭から書き下ろしのコント(『VIVANT』ならぬ『CHABAN』)を披露したり、初回から彼が尊敬しているFM NIIGATAのラジオDJの島村仁氏をサプライズで出演させてリスナーをあっと言わせたりと、楽しい仕掛けが多い。以前、民放onlineのコラムでは自慢話はしないようにしていると綴ったササダンゴ。「エピソードトークの本質は失敗談であり、恥ずかしかった話であり、なによりリスナーが共感できる話でなくてはならない」という信念を持っている。彼自身は自慢しないかもしれないが、『セッパン!』も『チェ・ジバラ』も他の人に教えたくなる誇るべき番組のひとつだ。

KBS京都ラジオ『原田伸郎のなにすんのぉ〜ラジオ』(金、15:30〜17:00)は生粋の京都人の原田にとって同局における初めてのレギュラー番組だ。京都在住の久米村直子とともにとっておきのトークを展開する。幅広い人脈から生まれたエピソードや多趣味な彼から繰り出される話はとても興味深い。番組の公式「X」では、生放送の前の和やかなスタジオの様子をショート動画で公開している。

また、生放送の番組ではないが宮城のTBCラジオでは仙台在住のシンガー・ソングライター、ティーナ・カリーナの番組『ホットハウスpresents しゅーかん!ティーナ・カリーナ』(土、12:00〜12:25)がスタート。ラジオが大好きな彼女。生歌を披露したり、時にはスタジオを飛び出して地元の気になる人の話を聞きに行く。人あたりがよく、リアクションが自然なところもポイント。

このほかユニークな新番組のなかからピックアップする。

北海道のAIR-G'では札幌の怪談ライブBAR「スリラーナイト」で活躍する怪談師のゆーすけの番組『スリラーラジオ』(土、25:00〜25:30)が始まった。ゆーすけはとても良い声で怖い話を語る。効果音を混ぜているので臨場感もたっぷりだ。一方、フリートークでは怖い話が苦手な人でも楽しめる雰囲気でメリハリのついた番組となっている。パートナーはサザンオールスターズのファンとしても同局でおなじみのDJ・戸田耕陽。

エフエム青森『スマイル』(月、12:00〜12:55)は気象予報士・防災士の吉田篤さんが生放送で届けるお天気トーク。パートナーは中里玲奈アナウンサー。気象予報士が出演する番組はほかの地域にもあれど、55分にわたって放送する番組は稀有。タイムリーな話ができるのが生放送の強みであり、5月に低緯度でもオーロラが観測され話題になった時はオーロラのメカニズムを詳しく紹介していた。
 
山梨のYBSラジオ『はみだし しゃべくり ラジオ キックス』(月〜金、13:00〜16:30)の火曜日に注目。お寺・仏像研究家「みほとけ」と昭和の歌謡曲に詳しい塩澤未佳子のコンビでリニューアル。発見が多い内容で、みほとけが訪れたお寺や仏像の解説をはじめ、大ヒット歌謡曲に関する曲の話のほか、「はみだしヒストリー」のコーナーでは歴史学者の平山優さんを招き「武田信玄公の人柄がうかがえるお話」「武田二十四将には次男・三男が多い」などの話で盛り上がる。

山陰のBSSラジオで始まった『石川家のフフラジ』(金、21:30〜22:00)は、山陰地区のテレビやラジオで有名な仲良し夫婦、気象予報士・石川博康(山陰放送社員)とフリーアナウンサーの田中(石川)友香理によるトーク番組。結婚16年目で、中3女子、中1男子、小5女子と3人の子どもとともに大忙しな日々のトークが面白い。陽気な夫に対して妻からの鋭いツッコミが随所で入る。ふたりに対する相談コーナーも人気で、ユルい話のなかに真剣な助言が含まれるため、耳が離せない。同局はポッドキャストに力を入れ始めたばかりで、『フフラジ』はポッドキャストで過去の放送を配信している。

宮崎のMRTラジオ『福元麻子のモッキンラジオ!』(木・金、12:00〜12:50)は歴史が大好きな福元が宮崎のお昼にワクワクする話題と音楽を届ける。地元の神社仏閣を紹介するコーナーの解説がとても丁寧で表現豊かに話す。実際に行ってみたくなるほどだ。アグレッシブに各地を訪れている彼女だけに、今後もどんな話が飛び出すのか楽しみだ。

ラジオ沖縄『作家上等!』(日、16:00〜16:30)は沖縄の構成作家、劇作家チーム「作家上等」の番組。メンバー同士の楽しいトークのほか、放送を通じてエンタメを盛り上げる。さまざまなジャンルの作品の注目ポイントが作家目線で語られる。出演はキャンヒロユキ、大田享、山田享楽、我那覇孝淳、山城セイジン、神里りょーた。リスナーの思い出を脚本家の山田享楽がラジオドラマにする企画も行われ、エピソードを募っている。それぞれの作家の腕を活かした企画が行われることに期待。

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