放送日誌 2025年3月

編集広報部

放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2025年3月分を掲載。

【民放連】
3.6 民放連とNHK、日本視覚障害者団体連合による意見交換会をオンラインで開催。解説放送の質の向上を目的に、NHK・テレビ朝日・毎日放送が解説放送付与番組を再生しながら具体的な取り組みや課題などを報告し各番組について意見を交わした。

3.17 民放連、番組制作等にかかわるコスト増に関するアンケート調査の結果を公表。会員テレビ139社のコスト増の実態を把握し、アドバタイザーに民放各社を取り巻く状況への理解を求める資料を作成した。

3.19 2024年度第9回理事会を開催。▶会長推薦委員会の設置▶臨時総会の開催▶代表理事の職務代行者の選定▶2025年度民放連事業計画・予算▶地球環境問題啓発スポットの放送▶2025年度「放送番組の違法配信撲滅キャンペーン」▶総務省「デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けた広告主等向けガイダンス」案への対応──を承認。▶フジテレビの一連の事案に対する民放連の対応▶非静止衛星通信システムに関する電波法関係審査基準の一部改正案に対する民放連意見の提出▶ITU-R放送関連会合への民放連代表派遣▶コスト増に関するアンケート調査結果▶第2期「民間放送の価値を最大限に高め、社会に伝える施策」中間報告――を了承。

3.19 遠藤龍之介会長が定例記者会見。第2期施策の中間報告を公表するとともに会長推薦委員会の設置について所感を述べる。次期会長が選定されるまで堀木卓也専務理事を会長職務代行者に選定したことを発表。

3.19 第2期「民間放送の価値を最大限に高め、社会に伝える施策」中間報告を公表。2024~2025年度の2年間に推進している、①人権を尊重し、社会的責任を自覚した事業展開のための取り組み、②デジタル社会の深化への対応、③放送広告の価値の再浸透、④ローカル局、ラジオ局の経営課題の研究と業務支援の取り組み――の4本柱・26項目の施策をまとめた。

3.24 民放連の堀木卓也専務理事と報道委員会の伊佐治健災害放送専門部会長が総務省「広域大規模災害を想定した放送サービスの維持・確保方策の充実・強化検討チーム」の第3回会合で行われたヒアリングに出席。堀木専務理事は、▶民放事業者は大規模災害時に被災情報や生活支援情報を継続して届ける責務を果たしてきた▶放送に加えて、ネットを組み合わせた情報提供・発信にも取り組んでいる▶他者と適切に連携、協力しながら、放送の責務を果たす――などの基本姿勢を述べたうえで、①民放事業者の大規模災害への取り組み、②民放ラジオの取り組み、③災害対策の持続可能性を高めるための放送ネットワーク整備支援事業のさらなる拡充――などを訴えた。伊佐治部会長は能登半島地震における在京キー局の取り組みや地元局への支援などを例に災害放送における民放事業者の姿勢を示した。

── 『放送倫理手帳2025』を刊行。2003年の刊行以来23冊目。「放送倫理基本綱領」や民放連「放送基準」「報道指針」など放送人が心得ておくべき基本的な規範類を収める。

【放送・マスメディア】
3.14 NHK、「第100回放送記念日記念式典」をNHKホールで開催。ラジオ放送開始(1925年3月22日)から100年を迎え、稲葉延雄会長の謝辞と来賓の祝辞が執り行われたほか、「第76回日本放送協会放送文化賞」の贈呈式などが催された。

3.18 BPO・放送人権委員会、テレビ東京の『激録・警察密着24時!!』(2023年3月28日放送)に対して、「放送倫理上問題あり」との見解を公表。同番組内で名誉を棄損する内容はあったが、すでにおわび放送などでその被害は一定程度回復しているとし、本決定であらためて人権侵害があったとの扱いにはしなかった。類似の番組が他局でも放送されていることを踏まえ、警察密着番組の意義や警察への密着のため被疑者側の視点に欠け構造的に人権侵害につながるリスクがあることなど内在する危険性について放送界全体として考えるよう求めた。※2025年1月17日、BPO・放送倫理検証委員会においても放送倫理違反を指摘する意見書を公表している。

3.19 テレビ朝日、コンテンツ編成局第2制作部エグゼクティブディレクターの社員(50)を同日付で懲戒処分したと公表。会社経費の不適切使用のほか、スタッフに対するパワーハラスメントが判明した。同局は同社員を降格にするとともに管理監督者らにも懲戒処分を行った。役員からは報酬の一部を自主返納する申し出があった。

3.21 ビデオリサーチ、3月15~19日にかけて行われた「MLB東京シリーズ2025」のテレビ放送の日本全国におけるリアルタイム視聴人数等を発表。全6試合の推計視聴人数は7,270万6,000人、このうちシカゴ・カブスとロサンゼルス・ドジャースの開幕戦2試合が同5,691万人となった。

3.27 フジテレビ、新役員体制への移行を発表。清水賢治社長を除く社内出身の全役員が同日付から2025年6月開催予定の株主総会までに退任するなど役員体制の大幅な見直しを進める。

3.31 日本テレビ、定例社長会見で福田博之社長が同24日に放送した『月曜から夜ふかし』で不適切な編集があったとして謝罪。街頭インタビューで女性の発言とはまったく異なる趣旨の内容を放送したことについて、外部の制作スタッフよる意図的な編集によるものと説明。同番組の街頭インタビューを当面中止するとともに番組制作のプロセスを見直し再発防止策に努める。

3.31 フジ・メディア・ホールディングス〔FMH〕とフジテレビ、日本弁護士連合会のガイドラインに沿って外部弁護士で設置した第三者委員会から調査報告書を受領し公表。同日夜に開かれた記者会見でフジテレビの清水賢治社長が同報告書で指摘されたハラスメント事案について陳謝。フジテレビとFMHの再生・改革に向けた取り組みを説明。そのうえでフジテレビの出演タレントと女性に関する一連の問題を述べた。

3.31 BS松竹東急、2025年6月30日24時をもって、「BS松竹東急」(BS260ch)の放送終了を発表。主要株主の松竹グループが2月27日に発表したBS放送事業撤退の方針によるもので7月以降については未定としている。

【行政・海外】
<行政等>
3.6 総務省「放送・配信コンテンツ産業戦略検討チーム」の初会合を開催。「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」(放送制度検)の下部組織として設置されたもので、放送コンテンツが外部環境や収益構造の変化にさらされているなか、放送コンテンツ産業の持続的な発展にあたっては産業競争力の確保が不可欠であるとして、①放送コンテンツ産業の振興に向けた課題と対応策、②官民連携のあり方等を検討する。

<海外>
3.12 米連邦通信委員会〔FCC〕、放送・通信・IT関係のあらゆる規制・規則・ガイドライン類を対象に「撤廃すべきか、緩和すべきか、またその理由」について意見募集を開始。

3.13 米メディア大手のコムキャストと傘下のNBCユニバーサル〔NBCU〕がオリンピックの米国向けメディア権を開催地未定の2036年まで延長することでIOC(国際オリンピック委員会)と合意したと発表。契約延長金は総額30億㌦(約4,400億円)。地上波のNBC、配信のピーコック、ウェブサイトほかグループの全プラットフォームにおける動画展開を含む。

-- 米大手テレビ局で人員削減が相次ぐ。有料テレビ契約者の解約が増えて広告主もテレビから広告付き無料配信サービスなどにシフトしつつあることが背景にあるとみられている。配信市場でスポーツやエンターテインメントに注力するためディズニーのほか全米で多くのテレビ局を所有するグループ企業のE.W.スクリプス社が人員削減を発表。

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