放送日誌 2024年9月

編集広報部

放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2024年9月分を掲載。


【民放連】
9.4 緊急対策委員会、TBSラジオから同社の営業担当者がCM素材を無断で差し替えるなどした問題の調査結果などの報告を受け、民放連としての対応を決定するとともに同社に「厳重注意」文書を手交し、再発防止策の真摯な実行などを求めた。

9.6 同4日に開催した緊急対策委員会の審議結果を踏まえ、会員全社に「CM取引・運行の再点検」と「コンプライアンスの徹底」を文書で要請。遠藤龍之介会長名で▶放送確認書の重要性を社員や関係者に再認識させる取り組みを進める▶CM取引およびCM運行に関する社内の全プロセスを再点検し、不正行為が行われる余地をなくす▶民間放送に対する社会的な信頼を確かなものとするためのコンプライアンスの徹底――を求める内容。

9.17 総務省の「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン」改訂案(第8版(案))に対する意見を提出。民放連として放送コンテンツの適正な製作取引に関して、自発的な取り組みを継続していくことなどを述べたうえで、著作権の帰属等整理表について、新たに追加された「放送局と製作会社が著作権を共有するケース」はほとんどない実態を指摘し、例外的なケースであることを記載するよう要望した。

9.19 2024年度第5回理事会を開催。▶第2期「民間放送の価値を最大限に高め、社会に伝える施策」▶2024年日本民間放送連盟賞各部門の審査結果と民放連賞受賞作品配信キャンペーン▶CM部門の種目見直し▶NHKインターネット活用業務実施基準の変更素案に対する民放連意見――などを承認。このほか、同4日に開かれた緊急対策委員会TBSラジオ「CM素材無断差し替え問題」に関して、▶①全社会議の開催、②会員社への要請文書の発出、③TBSラジオへの「厳重注意」の対応、あわせて同18日に三村孝成・TBSラジオ会長から理事および副会長とラジオ委員長を辞任するとの申し出があり、後任が決まるまでの間は遠藤龍之介会長がラジオ委員長を兼務する――との報告を了承。

9.19 2024年日本民間放送連盟賞〔民放連賞〕各部門の審査結果を公表。最優秀・優秀に輝いた作品・事績は番組・CM・技術・特別表彰の4部門14種目で計91件。技術部門で技術奨励賞1事績が選ばれた。あわせて番組部門のラジオとテレビからそれぞれ選ばれるグランプリ・準グランプリの候補16番組も発表した。

9.19 遠藤龍之介会長が定例記者会見。第2期の「民間放送の価値を最大限に高め、社会に伝える施策」について「放送を取り巻く事業環境は大きく変化し続けており、デジタル社会が偽・誤情報をはじめとする多くの課題を抱えるなか、信頼できる情報を発信する民間放送の社会的責任はかつてなく重くなっている。民間放送は多様な人々の人権が尊重され、安心して暮らせる社会を作り出すことに貢献していかなければならない」と決意を示し、「これから2年間、民放連の各専門委員会で力を合わせて具体化を進めていく」と述べた。

9.19 「NHKインターネット活用業務実施基準の変更素案」に対する意見をNHKに提出。①25年度上半期の実施費用の上限を24年度の半年分としたことについて、明細を明らかにし、抑制的な運用に努めるべき、②民放協力は任意的配信においても対応していくとのNHKの姿勢は重要であり、NHKは民放の求めに応じ、「TVer」等および「radiko」に対し、より積極的な姿勢で協力することを業務計画などに明記し遂行するよう要望する。放送ネットワークインフラの共同利用の検討にあたっても、民放への協力を一層強めるよう要望する、③誤受信防止措置の検討にあたって、受信契約を締結してネット配信を視聴するとの原則に沿って、フリーライド防止に対して実効性のある措置を講じるよう要望する――などの内容。

9.27 営業委員会とラジオ委員会、「放送確認書の運用に関する全社会議」をオンラインで開催。会員全社が放送確認書の重要性をあらためて認識するとともにCM取引とCM運行に関するプロセスを再点検する契機とした。


【放送・マスメディア】
9.4 TBSラジオとTBSホールディングス、6月19日に明らかになったTBSラジオ営業担当社員によるCM素材の無断差し替えと放送確認書の偽造について社内の調査結果と再発防止策などを公表。TBSラジオは8月30日付で三村孝成会長が引責辞任、林慎太郎社長が10月1日付で代表権を返上しBS-TBSの向山明生専務が代表権のある会長に就任する。

9.10 稲葉延雄NHK会長、記者会見で中国籍の外部スタッフが日本政府の公式見解とは異なる不適切な発言を行ったことを謝罪するとともに調査報告書を公表。稲葉会長ら4人が役員報酬の50%を1カ月自主返納するほか、担当役員が同日付で辞任したことなどを明らかにした。<関連記事「放送日誌2024年8月」 【放送・マスメディア】8.19掲載

9.21 石川県の能登北部を中心に線状降水帯が発生。大雨災害の危険度が急激に高まったことから気象庁は輪島市・珠洲市・能登町に大雨特別警報を県内に初めて発令した。石川各局は急遽番組を編成するとともにウェブでも情報発信に努めた。*のちに政府は10月25日の閣議で「激甚災害」に指定した。<関連記事「令和6年奥能登豪雨」 石川各局の対応 急遽番組を編成/ウェブでも情報を発信 11.18掲載>

9.25 U-NEXTのプラットフォーム内で米ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー〔WBD〕の配信サービス「MAX」が開始。Disney+、Paramount+に続く米メジャー系の日本市場進出となった。

9.26 日本新聞協会メディア開発委員会、「NHKインターネット活用業務実施基準の変更素案」に対する意見をNHKに提出。ネット業務に関するルールが複雑化しているとしたうえで外部から全体像を検証できるよう、必要的配信などを含めた実施計画を策定すべきとしたほか、災害時の同時配信・周知広報・費用などについて考えを示した。

9.26 エフエム東京、黒坂修社長が10月1日付けで社長を辞任し、代表権のない会長に就くと発表。会社は辞任の理由として「不適切な言動による社内の混乱などをもたらした責任を明確にするため」としている。


【行政・海外】
<行政等>
9.10 総務省「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」、報告書および意見募集の結果を公表。民放連の「オンライン上の"質の高いメディア"への広告配信が確保されるよう、広告仲介プラットフォームには偽・誤情報掲載メディアだけでなく、違法アップロードコンテンツを掲載するメディアへの広告費流入も防ぐことが必要」と主張した内容を反映。

9.11 総務省、NHKに「注意」の行政指導。ラジオ国際放送での中国籍スタッフによる不適切な発言をした問題は公共放送の使命に反するとして、再発防止策の徹底の公表を求めた。

<海外>
9.15 第76回エミー賞で真田広之さんがプロデューサーと主演を務めたドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』が同賞史上最多18部門を受賞。

9.10 米大統領選挙の民主党候補カマラ・ハリス米副大統領と共和党候補ドナルド・トランプ前大統領による初の討論会が開催。この模様は21時から23時(米東部時間)に主催したABCを含む全17局で生中継され、ニールセンによると17局の総視聴者数は平均6,714万人。6月末にCNNが主催したバイデン×トランプ討論会の5,130万人を大きく上回った。

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