【2026衆院選報道】テレビ朝日 ファクトチェック解説やX投稿全量分析 外部ノウハウも活用し一歩前進

能見 謙司
【2026衆院選報道】テレビ朝日 ファクトチェック解説やX投稿全量分析 外部ノウハウも活用し一歩前進

2025年参院選で定めた選挙報道の目指す先

民放テレビ各局は2025年の参院選から選挙報道の改革に取り組んできた。量的公平性を重んじるばかりに公示・告示後に選挙報道が減るという状況、そのタイミングでのフェイクニュースの拡散、妨害行為が横行する選挙活動などに、衆院東京15区補欠選や東京都知事選、衆院選、兵庫県知事選を通じて直面したためである。

当社およびANN系列各局は2025年の参院選を前に、以下の3点を課題・方針としてまとめ対応した。
(1)公示後(告示後)における選挙報道が「量と質」の両面 で十分だったか
(2)有権者の興味関心を的確に把握し投票行動に資する情報を十分提供できたか
(3)SNS 上のフェイク情報や真偽不明な情報のファクトチェック
今回の衆院選においても多少の修正はあったものの、おおむねこの方針にそって対応した。戦後最短といわれる選挙戦を乗り切ることができたのは、2025年の参院選で今後の選挙報道の目指す先をきちんと規定できていたからにほかならない。そのうえで、今回は二つの点において一歩進むことができた。

ファクトチェック本記の出稿量の増加

2025年の参院選では、選挙以外の幅広いテーマに関して、SNS上で意図的に作られた偽・誤情報を検証する取り組みを、選挙期間前の2週にわたり、昼ニュースを中心に展開した。偽・誤情報が拡散する前にあらかじめ検証・解説するニュースを出すことで偽・誤情報に疑いの目を向けることができる、いわゆる「プレバンキング」の効果を期待しての取り組みであった。最初の試みだったため、やや慎重になり、選挙期間中のファクトチェックまでは踏み込むことはせず、安全運転に終始したことは否めない。

ただ、今回の衆院選では、さらに一歩踏み込み、専門家のインタビューなどを交えながら、選挙に関するSNS上の偽・誤情報を検証する企画を公示後の1週間で合計10本、集中的に出稿した。例えば、国民民主党の玉木雄一郎代表の画像を「日本を追放された」などの事実とは異なる文言とともに編集した動画について、偽・誤情報と指摘したほか、特定の候補者を陥れるようなフェイクニュースを見抜くため、ロンドンを拠点に活動する民間のファクトチェック団体による解説などを放送した。多くの人の目にふれることを期待して、放送後は選挙報道の特設サイトにアーカイブ化して掲載を続けた。

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<フェイクニュースの検証記事を掲載したニュースサイト©テレ朝NEWS>

SNS情報分析 より深く広く

SNS上の興味や関心の動向を伝えるため、前回に引き続き外部の分析ツールを用いて、公示日以降、Xで公開されている全アカウントの投稿(リポスト、引用ポスト、返信も含む)の調査を実施した。序盤戦では、「旧統一教会」への関心の高さが明らかになり、また、選挙期間を通じて「高市総理」の名前が入った投稿が他党を圧倒していることを示し、SNS上の"高市旋風"を可視化することができた。

今回はこのXの全量分析に加えて、YouTubeとTikTokの政党公式動画も分析の対象とした。政党公式チャンネルのすべての投稿動画の内容や投稿数、視聴数をグラフ化して、昼ニュースを中心に出稿したほか、ネットでも展開した。各党がどのような動画を発信しているのか、政党の全ての投稿動画を対象に分析することで、有権者に向けてアピールしたい事項を明らかにすることができ、投票行動に参考となる情報を提示することができた。

「ムーブメント」をいかに正確に伝えることができるか

前回の参院選は「参政党」がキーとなり、今回は「高市総理」。Xの全量分析をはじめとするツールの活用により、SNS上の関心・興味がどのように広がっていくか、さまざまな角度で分析できるようになった。今後の課題として、拡散するキーワードを人々がポジティブに受け止めたか、ネガティブに受け止めたか、「受け止められ方」の分析が考えられる。それにより、関心の動向をより正確に示すことができるのではないだろうか。検討を続けたい。


テレビ朝日 報道局ニュースセンター ニュース統括担当部長兼コメンテーター室
能見 謙司(のうみ・けんじ)

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