テレビ朝日系列の2つの番組顕彰が発表された。
<第31回PROGRESS賞>
PROGRESS賞は10月30日に表彰式が行われた。最優秀賞は名古屋テレビ放送の『メ~テレドキュメント「救いの時差 ~ある小児がん医師の呻吟(しんぎん)~」』が受賞(=冒頭画像)。名古屋大学病院の小児科医・高橋義行さんが治療法のない小児がんに向き合うなかで、新薬が国内で認可されない現状と、国ごとの医療制度の違いがもたらす最新医療の"時差"を取り上げ取材したドキュメンタリー。

患者と家族だけでなく、医師の人生をも描き出し、その葛藤に引き込まれていく点が評価され、「新薬の開発と病気の進行の間にある時差を追うカメラは、祈りにも似た人間の静かな闘いの秀逸なドキュメントを映し出している」と講評された。プロデューサーの村瀬史憲さんは、「一人でも多くの命を救おうと研究を続ける高橋義行医師の真摯な姿勢と人柄、そして子どもたちの命の尊さが皆さまの心に届いた結果」とコメントした。
このほかの受賞作品は次のとおり。
【優秀賞】
▷長崎文化放送=『ノー・モア・ヒバクシャ~NEVER AGAIN NAGASAKI~』
【奨励賞】
▷北海道テレビ放送=『HTB ノンフィクション「生ききる~俳優と妻の夜想曲~」 』
▷北陸朝日放送=『能登2024~震災と人間~』
同賞は1995年、テレビ朝日系列24社の番組審議会委員が推奨する最高の賞と位置づけ、番組審議会委員の発意により、放送番組のより一層の質的向上・系列各局の制作力の向上に資するものとして制定され、系列全社が参加する。
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<第28回ものづくりネットワーク大賞>
このほど、ものづくりネットワーク大賞の受賞作品も決定した。最優秀賞は熊本朝日放送の『いのち つないで』。熊本市の慈恵病院で、身元を明かさず出産できる「内密出産」の取り組みに長期密着したドキュメンタリー。病院関係者の強い使命感と、当事者女性らの切実な声を丁寧に描き、社会がどう支えるべきかを問いかける極めて秀逸な作品と評価された。
優秀賞は東日本放送の『傷痕 ―優生保護法が奪ったもの―』。旧優生保護法のもと、不妊手術を強いられた飯塚淳子さん(仮名)の長年にわたる闘いを描いた作品。センシティブなテーマに真正面から取り組み、法律がもたらした残酷な現実を浮き彫りにした意欲作と評価された。
同賞は2003年に制定され、テレビ朝日系列の東京、大阪、名古屋、福岡、北海道を除いた19局が対象。若手制作者の育成を主眼に制作力向上を目的として、優れた自社制作番組を表彰する。
