テレビ新広島(以下、TSS)は、BSフジと共同制作したTSS開局50周年特別ドラマ『未来電車 "あの日"を知らないあなたへ』を3月3日(火)19時から放送する(BSフジで3月8日19時~全国放送)。本作は、被爆80年の節目で"記憶の継承"をテーマに、広島の街で生きる家族のつながりを描いたヒューマンドラマ。
このたび、プロデューサーの若木憲子さんと丸本周作さんに、TSSが初となるドラマ制作に挑んだ経緯や広島のメディアとしての考え、ドラマで届けたい思いなどを伺った。(編集広報部)
ローカル発の物語を、ローカルにとどめない
――開局50周年で初のドラマ制作に挑んだ経緯は?
"広島の今"を伝える新しい手段として「ドラマ制作」に挑戦することが、次の50年に向けて自分たちの可能性を広げることにつながると考えました。ローカル局が自ら物語を創り、なおかつ「社会的テーマ」をエンターテインメントとして届ける。その挑戦自体に大きな意味があると感じています。
広島は2025年に、被爆80年という大きな節目を迎えました。"被爆"そのものを直接的に描くだけでは、今の若い世代に響きにくいのではないか。"あの日"を背負いながら懸命に生きてきた家族の存在と、その絆が受け継がれ、今の私たちにつながっていることを物語として表現することで、自分事に感じてほしい。そして、このようなドラマを制作できる平和な日常と街の尊さを、あらためて誇りに思ってもらいたいと考え、次世代へ届く形を探り、これまでの報道やドキュメンタリーとは違うアプローチに挑みました。
――BSフジとの共同制作や海外展開について
被爆80年というテーマで作るドラマを「広島から全国に発信する」という考えに、BSフジにも共感いただき、同社の開局25周年記念ドラマとして共同制作することになりました。さらに、総務省実証事業によるタイでの配信や、「先進的設備等を使用した放送コンテンツ製作促進事業」(4Kを活用した実写コンテンツ制作)を受託し、世界へ発信していく取り組みも進めています。
ローカル発の物語を、ローカルにとどめない。開局50周年を「到達点」ではなく「出発点」にするための一歩が、本作です。そして、ローカル局のドラマ制作モデルの一つとして、今後の展開を模索していきたいと考えています。
地域に文化の土壌をつくる
――広島発ドラマとしてのオリジナリティや、制作面で工夫した点について
今回の挑戦の背景には、広島という地域への危機感があります。転出超過が5年連続で全国最多となっている中で、われわれは若い世代に対して、「広島に残る」「広島で挑戦する」という選択肢を、十分に提示できていないのではないか、という問題意識です。東京に行かなければ夢を追えない、ではなく、広島にいながら活動できる環境を少しでも整えたい。広島でドラマを制作することで、人材が育ち、またドラマを作っていく、という循環が生まれたら、それは地域にとって大きな財産になるはずです。

<ドラマ制作スタッフの集合写真>
今回制作にあたって実施した出演者の「SHOWROOMオーディション」は、この流れの一環です。配信プラットフォームも活用しながら、これまでテレビと接点のなかった層ともつながり、制作段階から応援の輪を広げることで、地方発コンテンツの持続可能性も高めたいと考えました。番組制作にとどまらず、地域に文化の土壌をつくること。その小さな一歩として位置づけています。
――本作品で注目してみてもらいたいポイント・見どころは?
本作は三つの時間軸で構成されています。まず、1975年の広島駅前。戦後30年の復興期に喫茶店を営む母・サチエ(国仲涼子さん)の物語。次の2024年は、被爆80年特番を任されたテレビ局員・ユキ(長濱ねるさん)の葛藤。そして、物語の鍵を握る東京から転校してきたコウ(井上祐貴さん)が、未来へつなぐエピローグ。
描くのは大きな出来事ではなく、日常の中にある広島の"記憶の継承"であり、路面電車を象徴に、"変わる街"と"変わらない想い"を重ね合わせながら物語は展開します。決して派手なドラマではありませんが、見終わったあとに、自分の街を好きになったり、あらためて見つめ直したくなる作品を目指しました。そして、映画でも配信でもなく、「何げなくつけたテレビ」を通して世代を超えて感情を共有できる。そのテレビの力を信じて制作しました。

<本作に出演する広島県出身の井上祐貴さん㊧と
長崎県出身の長濱ねるさん㊨>
協力:TSS開局50周年記念ドラマ『未来電車 "あの日"を知らないあなたへ』プロデューサー
若木憲子・テレビ新広島報道制作局報道部副部長
丸本周作・テレビ新広島編成局編成部マネージャー
TSS開局50周年記念ドラマ『未来電車 "あの日"を知らないあなたへ』
【放送】
テレビ新広島:2026年3月3日(火)19時~21時
BSフジ:2026年3月8日(日)19時~21時
【海外展開】
総務省実証事業(タイでの配信):2026年3月から2年間を予定
総務省事業(先進的設備等を活用した放送コンテンツ製作促進事業):2026年4月から5年間、海外番販を実施予定
