第39回民教協スペシャル 山形放送『時給10円という現実~消えゆく農民~』を2月に放送

編集広報部
第39回民教協スペシャル 山形放送『時給10円という現実~消えゆく農民~』を2月に放送

山形放送が制作した『時給10円という現実~消えゆく農民~』が2月8日から15日にかけて、民間放送教育協会(民教協)に加盟するテレビ33局で放送される。加盟局の制作者から寄せられた企画の中から1作品を番組化する「民教協スペシャル」の39回目で、今回は15局22企画の中から審査の結果、最優秀企画賞に同作が選ばれた。各局の放送日時の詳細は、民教協ウェブサイト(外部サイトに遷移します)から確認できる。

山形県長井市に住む菅野芳秀さん(75、=冒頭写真)の歩みとともに、農民という生き方、そして近い未来直面するであろう農民が足りない日本社会のいびつさを訴える同作。菅野さんは、山形県の農家の跡取りとして生まれ、学生時代は成田空港建設に対する反対運動に参加、帰郷し就農してからは国の減反政策への反対、農薬の空中散布廃止、都市の家庭の生ごみをたい肥にする「レインボープラン」の実行など、農民としてさまざまな課題に向き合ってきた。そして、現在、農家の平均時給がわずか10円であり、またコメ農家の高齢化が著しく20年後には現在の1割程度まで激減すると見込まれることから、菅野さんは「農なき国でよいのか」という課題を投げかける。ディレクターを務めた山形放送の三浦重行氏は「単に農家の人は大変だなということではなく、都会の消費者である我々は何を食べるのか考える機会にしたい」と番組制作意図を語る。

1月に完成披露試写会が開かれ、審査委員を務めた星野博美(ノンフィクション作家)、大島新(ドキュメンタリー監督・プロデューサー)の2氏が講評した。完成した番組について「企画審査では、地方の特色、国家の存在、個人の存在の3つをどう表現するかを心に置きながら審査しているが、今回は菅野さんの後ろに国家の政策や山形の農業の歴史が見えた」(星野氏)、「テレビ番組の重要な役割である知られていない現実を視聴者に知らしめることができている番組だ」(大島氏)と評価した。

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<食卓を囲む菅野夫妻 そのほとんどが自分たちで育てた食材や卵>

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