第39回ATP賞テレビグランプリ受賞式

編集広報部
第39回ATP賞テレビグランプリ受賞式

一般社団法人全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)が主催する「第39回ATP賞テレビグランプリ」受賞式が7月6日、都内で開催された。

当日発表したグランプリは、ドキュメンタリー部門で最優秀賞を獲得した『ETV特集 ブラッドが見つめた戦争 あるウクライナ市民兵の8年』(製作会社:オルタスジャパン、NHKエデュケーショナル/放送:NHK Eテレ)が獲得した(=写真㊤)。ウクライナ戦争の最前線で映像を記録・発信している市民兵のブラッドことヴォロディーミル・デムチェンコ氏が撮影した8年間の映像を通じて、彼の心の軌跡を描いた。ディレクターを務めた西野晶氏(=写真㊤、オルタスジャパン)は、「一人の男性の目線から見る戦争の最前線を描きたかった。人の死がない戦争はなく、そこを見つめるべき。ショッキングな映像を伝える番組が多いとつらいが、できる限り見てもらおうと決断した」と振り返った。

情報・バラエティ部門の最優秀賞は、『一軒家丸ごと壊す』(製作会社:テレビ朝日映像/放送:テレビ東京)が選ばれた。地元で愛される行列店にもかかわらず閉店を選んだ老舗の"最後の1日"に密着。なぜ閉店し、愛着ある建物を解体するのかを番組にした。総合演出を務めた阿部裕太氏(テレビ朝日映像)は、「年末に華々しい番組が乱立する中で、閉店・解体というテーマで勝負した。MCの山里亮太さんから『地味すぎないか、年末に悲しすぎないか』と言われたが、3年続けることができた。年末だからこそこうした番組を見たいという人もたくさんいたのだろうと思っており、第4弾の取材も進めている」と述べた。

DSC_0637★.JPG

<阿部裕太氏

ドラマ部門の最優秀賞は、完全オリジナルのラブストーリー『フジテレビ系木曜劇場 silent』(製作会社:AOI Pro./放送:フジテレビ)が輝いた。プロデューサーを務めた唯野友歩氏(AOI Pro.)は、「自分たちが見たいと思う面白いドラマを作ろうと、スタッフ、キャストが一丸となって挑戦し続けた結果、素晴らしい賞をいただくことができた」と喜びを語った。

DSC_0664★.JPG

<唯野友歩氏

また、同ドラマで戸川湊斗を演じた鈴鹿央士さんも登壇し、「毎週楽しみに見てくださった視聴者からの声で現場の士気も上がり、活気にあふれたいい雰囲気で撮影ができた」と当時を振り返った。

DSC_0682★.JPG

<鈴鹿央士さん

最優秀新人賞にはNHK Eテレ『ようこそ認知症世界へ』の丸山梓氏(NHKエンタープライズ)が選ばれた。

また、総務大臣賞は、『日曜ドラマ ブラッシュアップライフ』(製作会社:AX-ON/放送:日本テレビ)、特別賞は、『タモリ倶楽部』制作チーム、風間太樹氏、故・倉内均氏に贈られた。

DSC_0433★.JPG

<『タモリ倶楽部』制作チームとタモリさん

「ATP賞」は製作会社の社会的機能を高め、制作スタッフ一人ひとりの情熱や気概に応えるために、創り手である製作会社のプロデューサーやディレクターが自ら審査委員となって優れた作品を選ぶ日本で唯一の賞として1984年に創設。ドラマ部門、ドキュメンタリー部門、情報・バラエティ部門の3つのジャンルで作品を募集し、毎年100本を超える応募作品の中から、グランプリ、最優秀賞、優秀賞などが選ばれる。

今回からトロフィーが、日比野克彦・東京藝術大学長がデザインしたものに一新された。

優秀賞や奨励賞など受賞一覧の詳細はATP賞ウェブサイトにて。

最新記事