全米テレビ視聴、1月は4年ぶりの高水準に ニールセン調べ  TVB調査も「地上波なお強し」

編集広報部

米国でテレビを視聴した人の数が今年1月は前月比で3.7%増え、4年ぶりの高水準となった。ニールセンが地上波・ケーブル・配信・その他(ゲームなど)の4カテゴリーでテレビ利用動向やシェアを調べている月次データ「The Gauge」で明らかになった。1月はNBCUのピーコックが独占配信したNFLのプレーオフが記録的な視聴者数を上げたのをはじめ、脚本家組合のスト終結に伴い地上波・ケーブルで台本を使った番組が復活、さらに寒波襲来による在宅視聴の増加など好条件がそろった。地上波の視聴は前月比7.1%増で、シェアを24.2%に引き上げた。ケーブルが27.9%、配信が36.0%で、地上波とケーブルを合わせたシェアは配信を大きく上回る。

全テレビ視聴時間については、1月は前年同月比で1.4%増えた。例年、前月より増える1月だが、今年の対象期間は4週間で前年の5週間より短かったにもかかわらず視聴時間が増加したことは「特筆に値する」とニールセンは評価している。

地上波の大幅な視聴増に寄与したのはスポーツ中継で、前月比36%増。地上波視聴全体の28%を占めた。ドラマ視聴もNBCの『シカゴ』など新たなエピソードが続々と放送され、20%増と躍進。ケーブル視聴は2.7%増えたが、テレビ視聴時間全体が増えたことでシェアは前月を少し下回る27.9%に。ケーブル視聴を牽引したのもESPNの大学アメフト・プレーオフやNFLの試合などスポーツ中継だった。

▶「地上波のリーチと広告効果も圧倒的」とTVB調査
1月はもう一つ、地上波とケーブルテレビにうれしい調査結果が発表された。米国のローカルテレビ業界を支援するテレビ広告協会(TVB/Television Bureau of Advertising)の最新調査「2024 Media Comparisons Study 」(2024年メディア比較調査)によると、米国内の全世代・民族間で、地上波とケーブルが配信・デジタルを押さえトップとなった。地上波・ケーブルのリーチは全消費者の81%で、1日の視聴時間は全メディア中最高の1日5時間27分だった。この調査は既存メディア、デジタルメディア、AVOD、SVOD、FASTなどの利用動向や信頼される情報源など世代や民族ごとに掘り下げている。

主な結果は、▷テレビ番組や映画は88%がテレビ画面を通じて視聴された▷配信を見る成人は、地上波も見ている▷最も信頼されている情報源は地元ローカルテレビ局のニュース。デジタルの情報源としてもローカルテレビのウェブサイトまたはアプリが最も信頼されている――など。

このほか、18歳以上の大人の71%はテレビをCMのあるプラットフォームで見ているという。番組ランキングもトップ10番組は全て地上波、53のエピソードのうち43が地上波だった。一方、ランキングに入った配信番組のほとんどは広告のないSVOD経由。地上波は広告付きのAVOD視聴者の94%、広告付きのFAST視聴者の95%にリーチしていることもわかった。

テレビの広告効果にも言及しており、アンケート回答者の60%が、テレビCMをきっかけにオンラインでその商品やサービスを調べると答えている。特に車を購入した人の72%、家の改築をした人の71%、法律サービス利用者の68%がいずれもテレビCMを見たからと回答した。

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