RKB毎日放送、九州朝日放送、テレビ西日本、福岡放送(FBS)とNHKは6月30日に「南海トラフ地震発生時等の航空取材の協業に関する覚書」を締結した。南海トラフ地震等の大地震が発生し、九州・四国の沿岸部の広い範囲に津波警報が発表された際にヘリコプターの運航を分担し、撮影した映像・音声を5局の共有素材とする。民放局だけでなくNHKを含めてのヘリの取材協力の枠組みは全国初となる。
覚書では、民放4局は九州沿岸、NHKは四国沿岸を担当し、津波映像などを撮影。共有素材は各局とその系列局で報道目的に限り使用できる。また、年1回、5局で合同の運用訓練を実施するなどとしている。
FBSの神崎慎治・報道局次長によると、2023年春から民放4局でヘリ取材協力に向けた協定作成の会議を重ね、23年末にNHKの担当者にも声をかけたところ快諾を得られ、実現に至った。
神崎報道局次長は、報道ヘリ空撮に30年携わり、あまたの災害報道を経験。その中で国民共有の貴重な財産である電波を使い、系列を超えた連携で広く避難を呼びかけることができればと考えていた。こうした思いに在福民放局の担当者が賛同し、最終的にNHKも含めた枠組みとなった。
「皆さんの思いが九州のみならず四国までカバーするという協定となって結実した」と神崎報道局次長。「ヘリからの空撮映像は被災状況を全体的に把握するうえで最も重要。放送局が連携することで、より迅速な災害報道が可能となる。ニュース制作に携わる一員として、少しでも多くの生命と財産を守る報道をしたい」と期待を寄せる。