在京テレビ5社「第3回テレビカンファレンス」開催 AI、データ、自社IP――広がるテレビの可能性

編集広報部
在京テレビ5社「第3回テレビカンファレンス」開催 AI、データ、自社IP――広がるテレビの可能性

在京民放テレビキー5社(日本テレビ放送網、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビジョン)は1月27日、テレビマーケティングに関心のあるビジネスパーソンを対象に「第3回テレビカンファレンス」を渋谷ヒカリエホールで開催した。今回のテーマは「3つの"シンカ"(真価・深化・進化)」。メインステージでは4つの講演が行われ、テレビ東京の中根舞美アナウンサーが司会を務めた。会場にはTVer、ビデオリサーチ、REVISIOなど各社がブースを出展した。

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<司会を務めたテレビ東京の中根舞美アナウンサー>

基調講演

はじめに日本コカ・コーラの今西周・マーケティング本部IMX事業本部長と、同じく池田哲也・マーケティング本部IMXメディアストラテジー&オペレーションズ部長が「広告主の視点で見る テレビメディアの革新」をテーマに基調講演を行った。

今西氏は、視聴行動が多様化する今こそマーケティング戦略の見直しが求められると指摘。テレビは厳格な管理体制による「ブランドセーフティ」と「信頼性」を備えた媒体といえるが、単に広告をみせるだけでなく、消費者の態度変容を追えるデータの整備と活用によって価値を高めていく必要があると述べた。池田氏は生活者理解を深めるデータ分析の重要性を強調。製品を届けるだけでなく、企業と生活者の関係性を育む「ブランド体験」の提供がビジネス成長に不可欠と説明した。そのうえで、テレビとデジタルを融合し効果検証を進め、異なるプラットフォームでもデータの共通指標を整備し、業界全体で連携を加速させる必要があると訴えた。

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<日本コカ・コーラの今西周氏㊧と池田哲也氏㊨>

真価セッション
認知だけではない!今こそ伝えたいテレビCMの本当の価値

続く「真価セッション」では、パーソルテンプスタッフの友澤大輔・執行役員 最高マーケティング責任者CMOと、ビデオリサーチの吉田正寛・シニアフェロー、進行としてTBSテレビの伊藤健二・営業局長が登壇。

ヤフーやリクルートでデジタル領域に携わってきた友澤氏は、デジタル広告の高度なターゲティングを評価しつつも、「細分化しても動かないターゲットがいる」ことを指摘。一方テレビCMは広範囲のリーチや約15秒で適切に届けられる強みがあり、受け手の態度もデジタルと異なると述べた。また、テレビCMには指名検索を伸ばす効果があるとしつつ、複数メディアを組み合わせる重要性を訴え、要望としてテレビにおけるデータ指標の共通化を求めた。吉田氏はビデオリサーチの研究結果から、テレビCMは想起や認知だけでなく購買行動を誘発する「フルファネル性」が高いことを示し「広告主がテレビの価値を十分に活かせるよう、データの活用における課題の克服が急務」と述べた。

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<パーソルテンプスタッフの友澤大輔・執行役員 最高マーケティング責任者CMO㊧と
ビデオリサーチの吉田正寛・シニアフェロー㊨>

深化セッション
『広告×IP』の最新トレンド!民放5局の事例を深掘る

次の「深化セッション」では、テレビ局だからできる"IP活用術"を在京民放テレビキー局5社が紹介。日本テレビ放送網の平岡辰太朗・コンテンツ戦略局総合編成センターメディア開発DIV.プロデューサーは縦型ショートドラマを用いたZ世代マーケティングを提案。テレビ朝日の高石智史・セールスプロモーション局第2ソリューション部は、実写でないからこその高い表現力と共感を獲得したアニメCMの活用事例を紹介。TBSテレビの青木伸介・ライブエンタテインメントビジネス局番組・ライブイベント事業部長は同社番組『ラヴィット!』発のイベント「ラヴィット!ロック」を紹介し、日々の放送が視聴者をつなぐブランディングとなり熱狂を生むと話した。テレビ東京の飯田佳奈子・制作局クリエイティブ開発チーム「シナぷしゅ」統括プロデューサーは幼児向け自社IP「シナぷしゅ」を活用した、広告主のニーズに合わせた多様なクリエイティブを提案。フジテレビジョンの臼田玄明・IP・アニメ事業局IP事業部統括プロデューサーは自社IP「ガチャピンムック」の多角化展開について、知名度を活かした万博やアーティストとのコラボ事例を紹介した。

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<左から日本テレビ放送網の平岡辰太朗氏、テレビ朝日の高石智史氏、
TBSテレビの青木伸介氏、テレビ東京の飯田佳奈子氏、フジテレビジョンの臼田玄明氏>

進化セッション
AI?XR?どうなるテレビの未来!

最後の「進化セッション」では、KDDIの古波蔵洋平・パーソナル事業本部DXデザイン本部R&Aセンターグループリーダーと日本テレビ放送網の鈴木努・コンテンツ戦略本部コンテンツビジネス局スタジオセンター、進行としてテレビ東京の大庭竹修・営業局長が登壇。

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<KDDIの古波蔵洋平氏㊧と日本テレビ放送網の鈴木努氏㊨>

古波蔵氏は、KDDIは「いつでもどこでもエンタメを楽しめる世界を作る」ことを目指していると説明。AIを使ったコンテンツ開発の事例として、過去の映像や音源をもとに"もし今活動していたら"という姿を再構築するアーティスト企画を紹介した。事務所の全面協力による監修、本人の理念との整合性によりファンから支持を得たという。鈴木氏は、AIが優秀なクリエイターとなる時代においても、テレビ局が担うべき役割は「心を揺さぶるコンテンツを作る覚悟と思想をもってAIを先導すること」と語った。また、今まで手が出なかった規模のコンテンツ制作も、AIの活用によってテレビ局の資金内で実現可能になるのでは、と期待を寄せた。

各社のブースで20以上のセッション

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<セッションやブースのようす>

このほか、各社のブースでは「効果の可視化でTVをもっと納得できるメディアへ。利用社100社超の『スグリー』とは?」「東京ドリームパークが描く、新しいエンタメ拠点のかたち」「東京2025世界陸上実施報告とアジア大会のご案内」「テレ東が描く卓球コンテンツ戦略 〜2028福岡への道〜」「F1×フジテレビ ファンマーケティング戦略」など合計23本のセッションが開かれた。

なお、事前の参加登録者限定でアーカイブ配信を実施している。マイページから視聴が可能。

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