民放連「第61回民放技術報告会」開く 特別企画は生成AIの未来を展望

編集広報部
民放連「第61回民放技術報告会」開く 特別企画は生成AIの未来を展望

民放連技術委員会(委員長=小島浩資・東海テレビ放送社長)は11月13~15日、「第61回民放技術報告会」を千葉市の幕張メッセ・国際会議場で開催した。「制作技術」「送信」「回線・伝送」「送出」「配信」「ラジオ・音声」「CG・コンピュータビジョン」の7部門で研究・開発の事績を各局の担当者が報告した。

14日は特別企画「AIで進化する放送業界の最前線〜生成AIを含む機械学習の活用と未来~」を実施(冒頭写真)。放送業界に近年大きな変革をもたらしているAI(人工知能)技術の各局における活用状況や効果を共有するとともに、これからの課題や未来像を在京テレビキー5局(TBSテレビ、日本テレビ放送網、テレビ朝日、フジテレビジョン、テレビ東京)と毎日放送の担当者6人が話し合った。

2010年代後半から各局で本格化したAIへの取り組み状況を報告。社内横断でチームを組織し、制作現場からの声をすくい上げながら研究・開発にあたるとともに、ガイドラインを作成して運用していることが紹介された。用途は、画像・音声認識などをベースにした番組アーカイブのメタデータ作成、スポーツ中継のスコア、多言語読み上げAIアナウンサー、文字起こしの精度向上による解説放送の制作推進や自動テロップ、オンエアされた番組のAIによるブログ編集支援、縦型動画の自動生成など広範囲にわたる。業務効率化に不可欠となっているシステムや、すでにマネタイズに貢献している例などもあるという。

DSC_4494.JPG

今後の課題として各局が挙げたのが、社内ガイドラインの整備とアップデート、AIリテラシーの向上、人材の育成など。「クリエイティブにとってAIは有力なパートナー。ただし企画と発想は人が行うべきもの。AIに"使われない"ことが肝要」「AIは業務効率化に不可欠。それだけに扱う人間の責任が重くなる」「生成された映像や音声を放送にのせていくには、他者の権利を侵害していないかなどのハードルがまだある」「人の仕事が奪われる/奪われない――ではなく、他業種のコンテンツメーカーとの競争がより激化すると考え、人を奪われないことが大切」「良質なコンテンツづくりのノウハウが豊富な放送局の力がこれまで以上に試される」といった意見が出された。

最新記事