第61回ギャラクシー賞 WOWOW、静岡放送が大賞 ラジオ部門を民放が独占

編集広報部
第61回ギャラクシー賞 WOWOW、静岡放送が大賞 ラジオ部門を民放が独占

放送批評懇談会が主催する第61回ギャラクシー賞の贈賞式が5月31日、都内で開催された。テレビ部門でWOWOWが、ラジオ部門で静岡放送が大賞を受賞。ラジオ部門は民放が独占した。

今回の司会は、フリーアナウンサーの鬼頭里枝さんと山陰放送の森谷佳奈アナウンサーが担当。歴代のDJパーソナリティ賞受賞コンビが、受賞者の喜びの声を届けた。

★DSC_1063.jpg

<鬼頭里枝さん㊧と山陰放送の森谷佳奈アナウンサー㊨

テレビ部門はWOWOWの『連続ドラマW「フェンス」』が大賞に輝いた。2022年に本土復帰50年を迎えた沖縄を舞台に連続性的暴行事件の真相を追うエンターテインメント・クライムサスペンス。現在進行中の沖縄の諸問題に正面から切り込み、エンターテインメントと深い問題意識を両立した点が高く評価された。

プロデューサーを務めたWOWOWの高江洲義貴氏とNHKエンタープライズの北野拓氏、脚本を担当した野木亜紀子さんが登壇(=冒頭写真、左上から順)。高江洲氏は沖縄県出身で、企画書を読んだときに「エンターテインメントをとおして、沖縄に生きる人のリアルな部分を知ってもらう覚悟と優しさに、ウチナーンチュとして『ありがとう』と思った」と振り返り、「チーム一丸となって沖縄がはらむ複雑な問題に正面から取り組めた」と語った。野木さんは、「取材に協力してくださった沖縄の方々がたくさんいる。大賞をいただいたことで、もっと多くの人に見てもらい、いまの沖縄を知ってもらえたらうれしい」と話した。

ラジオ部門の大賞は、静岡放送の『SBSラジオギャラリー「方言アクセントエンターテインメント~なまってんのは、東京の方かもしんねーんだかんな~」』が選ばれた。北関東や南東北、九州中央部、静岡県の大井川上流などで使われている単語に決まったアクセントがない方言が、日本のアクセント体系のプロトタイプではないかという説を紹介。アクセントに注目し、専門的な話も笑いに包んで届け、方言の豊かな世界に誘うラジオならではの企画で知的好奇心を大いにくすぐったと評価された。

企画・取材に加えて番組に出演した野路毅彦アナウンサーは、「その土地土地でどのような言葉が話されていたのか。地方の放送局に方言を残す活動をやってもらいたい。相談にのる」と語った。そして、「好きな四字熟語は『県外出張』」と付け加え、会場の笑いを誘った。

スライド7.JPG

<静岡放送の野路毅彦アナウンサー

報道活動部門の大賞は、NHKの「NHKアナウンサーの命を守る呼びかけ」に関する一連の取り組み。2011年の東日本大震災をきっかけにどのような言葉であれば命を守ることに貢献できるか考え、強く・命令口調で呼びかけるようにした。井上二郎アナウンサーは「これからも言葉の力を信じて活動を続けていきたい」と述べた。

コンテンツの新境地を開拓し、未来や可能性を広げる意欲的な取り組みに贈られるフロンティア賞。今年はドキュメンタリー番組『NNNドキュメント』を5分程度の縮尺版にまとめ、YouTubeに配信している日本テレビ放送網「Nドキュポケット」が選ばれた。

プロデューサーの今村忠氏は、「日本テレビ系列の放送局の人が熱い想い、愛情で作っているにもかかわらず、知らない人が多いのはすごく悔しい。スマホで見られる『NNNドキュメント』に協力してほしいと話し、いまに至った」と経緯を語った。ほぼ1人で編集を担当しているディレクター斉藤真也氏は、「テレビの作品という考えではなく、はじめから強い言葉や映像を使い、電車の1駅分で涙が出てしまうような作りにしている」と意識している点を明かした。

★スライド13.JPG

<日本テレビ放送網の今村忠氏㊨と斉藤真也氏㊧

『金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」』は、テレビ部門の特別賞とテレビ番組を対象に視聴者が投票を行うマイベストTV賞のグランプリを獲得。TBSスパークル・プロデューサーの磯山晶氏、TBSテレビ・ディレクターの金子文紀氏に加えて、主演の阿部サダヲさんが登壇した。ミュージカルのシーンについて金子氏は、「訴えたいテーマやメッセージをセリフで言うのは、野暮ったいと思っていた。視聴者がどう感じて受け止めてもらえるかが重要で、ミュージカルにすると面白く見える。歌詞の字幕も出て、有意義で楽しかった」と振り返った。

★スライド11.JPG

<左から磯山晶氏、阿部サダヲさん、金子文紀氏

ラジオ部門のDJパーソナリティ賞は、ニッポン放送『オードリーのオールナイトニッポン』でパーソナリティを務めるお笑いコンビ・オードリーが選ばれた。若林正恭さんは2月に行った東京ドームでのイベントが評価されたことを受け、「今日の会場は狭く感じる。うれしい賞をいただいた」、春日俊彰さんは「DJパーソナリティ賞いただきトゥース」とそれぞれコメント。次世代のパーソナリティに向けては、春日さんが「春日は超えられない。憧れるのをやめましょう」とメッセージを送った。

★スライド6.JPG

<オードリーの若林正恭さん㊧と春日俊彰さん㊨

テレビ部門の個人賞は、NHK『連続テレビ小説「らんまん」』の演技で俳優の神木隆之介さん、放送文化や放送事業に貢献した個人を称える志賀信夫賞は、司会者・俳優の関口宏さんに贈られた。

画像2.jpg

<神木隆之介さん㊧、関口宏さん㊨

第61回ギャラクシー賞 優秀賞
(選奨・奨励賞とCM 部門はギャラクシー賞のウェブサイトを参照)
【テレビ部門】
▷NHKスペシャル「"冤罪"の深層~警視庁公安部で何が~」
(NHK)
▷ナンデモ特命係発見らくちゃく!~28歳の小卒女性SP!完全版~
(福岡放送)
▷ながさき原爆記録全集 山端庸介原爆全写真 被爆翌日117枚全解析
(長崎ケーブルメディア)
【ラジオ部門】
▷空想労働シリーズ サラリーマン
(RKB毎日放送)
▷FBCラジオスペシャル「輝く!ゴールデンエイジふくい~生きる喜び 歌にのせて~」
(福井放送)
▷TOKYO FM 小澤征爾追悼番組「セイジ、フォーエバー」
(エフエム東京)
【報道活動部門】
▷トゥレット症に関する一連の報道活動
(CBCテレビ)
▷キャンペーン「かわるPTA」
(東海テレビ放送)

最新記事