米「全車AM搭載法案」、連邦下院の小委を通過

編集広報部
米「全車AM搭載法案」、連邦下院の小委を通過

米連邦下院議会のエネルギー・商業委員会の小委員会は5月23日、「The AM Radio for Every Vehicle Act(全車AM搭載法案)」 を可決した。昨年5月に超党派の議員から提出されていた同法案は、米運輸省(DOT)に対して、新たに製造されるすべての乗用車にAM放送局にアクセスできる機器を標準装備することを義務付ける規則を制定するよう求めるもの。一部の新型車はすでに未搭載で、それらには安全上の義務として消費者への追加料金なしでAMラジオ機能を搭載するよう指示を出せるようにする。

これに先立つ4月30日、同小委員会は公聴会「Preserving Americans' Access to AM Radio(AMラジオへの米国民のアクセス保護)」を開き、昨年、上院の商業委員会を通過していた同法案を審議し、一部に修正などを加えていた。最終的な立法化までには下院での投票の後、上院の認可、大統領の署名が必要になる。NAB(全米放送事業者連盟)によると、今年5月末現在で同法案を支持する上院議員は100人中61人、下院議員は431人中254人という。

NABのカーティス・ルジェット会長は同法案が下院小委を通過したことを、「全米でAMラジオからの情報に頼るドライバーは8,200万人。法案は彼らが今後も車載AMラジオのローカルニュースやエンターテインメント、そして災害・事故時の緊急情報にアクセスできることを保証するもの。携帯電話やインターネットが通じなくなった時に、国民が頼るのはAMラジオだ」と歓迎するコメントを発表した。

発端は2022年末。EV(電気自動車)のモーターが発する電磁波がAM波を妨害し、雑音で聴きにくくなるとして、テスラ、BMW、アウディ、フォードなどメーカー8社が現行のEVからAMラジオチューナーの搭載をとりやめた。しかし、「それでは緊急対応時に深刻な問題が起こる」としてAMラジオ業界、NAB、行政、米連邦緊急事態管理庁(FEMA)などが23年初頭に一斉に反発。同法案の議会提出へとつながった。

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