米フォード、EVにAMチューナー搭載へ  議会には搭載義務づけ法案も

編集広報部

米フォード・モーター社は5月23日、2024年型のフォードとリンカーンの電気自動車(EV)全てにAMラジオチューナーを搭載すると発表した。チューナー非搭載の現行EVモデルにはソフトウエアをアップデートする方法で対処していくという。同社のジム・ファーリーCEOはツイッターで「緊急時におけるAMラジオの重要性を認識し、ドライバーの安全性確保を考慮しての決定」と理由を述べている。

EVのモーターが発する電磁波がAM波を妨害し、雑音で聴きにくくなることが話題になったのは2022年の末。すでに米国ではテスラ、BMW、アウディなどメーカー8社が現行のEVからAMラジオチューナーを搭載していない。フォードもこのうちの一つだ。これに対して、AMラジオ業界だけでなく、NAB(全米放送事業者連盟)や行政、米連邦緊急事態管理庁(FEMA)などが「緊急対応時に深刻な問題が起こる」として一斉に警鐘を鳴らしていた(既報)。

NABは4月にキャンペーン「Depend on AM Radio」を開始し、議員への働きかけなどを呼びかけている。専用サイトではAM波の優れた特性を解説するとともに、特に災害時などに政府が発出する緊急警報システム(EAS)の伝達にAMが大きな役割を負っていることを強く訴えてきた。

こうした動きも功を奏してか、フォードの発表に先立つ5月17日、米連邦議会下院で超党派の議員から「The AM for Every Vehicle Act(全車AM搭載法案) 」が発表された。安全上の義務として、メーカーが新車からAMラジオ機能を排除することを禁止するもので、消費者への追加料金なしで新車にAMラジオ機能を搭載するよう米運輸省道路交通安全局(NHTSA)がメーカーに指示を出すよう命じるほか、AMラジオが搭載されていない旧車両を販売する際には、そのことを購入者に明確に伝えることを義務づける――といった内容が盛り込まれている。

最新記事