東京ドラマアウォード授賞式 民放2番組がグランプリ 連ドラは日本テレビ『ブラッシュアップライフ』 単発部門はTBSテレビ『TOKYO MER~走る緊急救命室』

編集広報部
東京ドラマアウォード授賞式 民放2番組がグランプリ 連ドラは日本テレビ『ブラッシュアップライフ』 単発部門はTBSテレビ『TOKYO MER~走る緊急救命室』

今年で16回目となる「東京ドラマアウォード2023」(主催=国際ドラマフェスティバル in TOKYO実行委員会)の受賞作が決定し、10月24日に東京プリンスホテルで授賞式が行われた。2020年から昨年までの3回は新型コロナウイルス感染対策のため参加者を制限していたが、今回は制限を緩和して開催した。

連続ドラマ部門は日本テレビの『ブラッシュアップライフ』が、単発ドラマ部門はTBSテレビの『TOKYO MER~走る緊急救命室「隅田川ミッション」』がグランプリに選ばれた。主演男優賞を小栗旬さん(NHK『鎌倉殿の13人』)、主演女優賞を川口春奈さん(フジテレビ『silent』)が受賞した。『silent』は個人賞を含め6つの賞を獲得した。


司会は石坂浩二さんと日本テレビの市來玲奈アナウンサーの2人が務めた。遠藤龍之介実行委員長(民放連会長)は開会宣言で「日本のテレビ放送は今年で70周年を迎えた。長い歴史に裏打ちされた高いクオリティと豊富なコンテンツがある」として、「制作者がさらに技能を磨き上げ、日本がドラマ大国と言われることを祈念している」と述べた。

また、鈴木淳司総務大臣はあいさつで、本アウォードについて「日本のドラマが持つ高い可能性を引き出し、海外への発信を促す意義深いもの」と語り、動画配信サービスによって国境を越えてコンテンツが視聴されていることから「日本の放送番組を世界に広めるチャンス。魅力あふれる良質なコンテンツを制作し、海外への発信により取り組んでほしい」と述べた。

個人賞は、主演男優賞を小栗旬さん(『鎌倉殿の13人』)、主演女優賞を川口春奈さん(『silent』)が受賞。小栗さんは演じた北条義時について「最初は翻弄される若者で、源頼朝亡き後はひたすら鎌倉幕府を背負っていく」として、「最初から演じる声を工夫しようと考えていた」と明かした。川口さんは「皆さんのお芝居を"感じるがまま"に、そして"思うがまま"に演じた」と振り返った。

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<小栗旬さん㊧、川口春奈さん

さらに『silent』からは、助演男優賞に目黒蓮さん、助演女優賞に夏帆さんが選ばれた。目黒さんは「佐倉想という役を演じていて、気持ちが重なる部分がすごくあった」と明かし、夏帆さんは、石坂さんからの別人に見えるとのコメントに対して、「すごくうれしい。自分の目指すところでもある」と答え、「役として生きることを常に意識し、心がけている」と語った。

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<目黒蓮さん㊧、夏帆さん

また同ドラマで演出賞を受賞した風間太樹さんは「魅力的な俳優と素敵な脚本から生まれ出てきたものを空気ごと撮りたいと思い撮影した」と振り返った。

脚本賞は『ブラッシュアップライフ』でバカリズムさんが獲得。コント制作歴は20年以上で、「脚本はコントの延長線上で書いている感覚」と語った。そのうえで、人生を何回も繰り返す設定について「タイムリープものは途中からやり直すパターンが多かったが、生まれたところからやり直すのは結構面倒くさい。見る方も大変だが、これを成立させるためにやってみようと考えた」と背景を述べた。

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<バカリズムさん

ローカル・ドラマ賞には、北海道テレビの『弁当屋さんのおもてなし』が選ばれた。演出を担当した平尾由佳子さんは、普段は情報生番組を担当していることから「ドラマの入りは視聴者にポップに見てもらえるようにした」と述べた。制作中のシーズン2については「さらに重たい内容になっている」と語った。

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<左から平尾由佳子さん、橋本秀利エグゼクティブプロデューサー、星悠平プロデューサー

作品賞には連続ドラマ部門で『ブラッシュアップライフ』、単発ドラマ部門で『TOKYO MER~走る緊急救命室「隅田川ミッション」』と民放のドラマがそれぞれグランプリに輝いた。

『TOKYO MER――』の八木亜未プロデューサーは「連続ドラマと劇場版をつなぐ話」と説明し、次作については「皆さんの希望があればやりたい」と意欲を語った。演出の松木彩さんは、東京消防庁や監修の医師、キャストやスタッフなど「たくさんの支えがあったので映像が撮れた」と感謝を述べた。

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<八木亜未プロデューサー㊧、松木彩さん

『ブラッシュアップライフ』で主人公・近藤麻美を演じた安藤サクラさんは、ビデオメッセージで「自分の人生がブラッシュアップされた。ドラマが大好きになった」とコメント。会場では木南晴夏さんが、「ただ会話している感覚で、リラックスして撮影に臨めた。セリフを書いたバカリズムさんがすごい」と振り返った。麻美の子ども時代を演じた永尾柚乃さんは言い足りないことがあると切り出し、「主役の安藤サクラです」と発言。バカリズムさんから「これを言ったらウケる」と言われたあいさつを披露し、会場の笑いを誘った。

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<左から石坂浩二さん、『ブラッシュアップライフ』出演陣、演出の水野格さん

また今回は、世界最大級のコンテンツ見本市「MIPCOM2023」との連携企画も実施。"MIPCOM BUYERS' AWARD for Japanese Drama"でグランプリの『VIVANT』(TBSテレビ)と奨励賞の『連続ドラマW フェンス』(WOWOW)の制作者に加えて、来日した3人の審査員が登壇した。審査員は欧米のバイヤーの立場から、今後のドラマ制作に対してそれぞれ「筋書きの良さ、日本らしさを表しているか、世界の人々が理解できるかが重要」「他国との共同制作に取り組んでもいい」「日本らしいストーリーを大切にし、欧米的なアグレッシブなプロモーションに取り組んでほしい」と、メッセージを送った。

最後に中町綾子選考委員長が今年の作品を講評した。グランプリの『TOKYO MER――』について「俳優陣が演じる医療従事者、その果敢な姿をスピーディーな展開と演出で見せ、現代の東京をふんだんに感じさせる内容」と評価。『ブラッシュアップライフ』は「展開の魅力に加え、日常の細やかな描写や時代感覚、友情と日々のかけがえのなさを伝える点は海外に届く魅力がある」とコメントした。各部門の受賞番組は「日本ならではのオリジナリティとドラマが伝える普遍的なメッセージを取り結ぶ作品」と締めくくった。

授賞式の模様は12月23日(土)深夜に日本テレビ(関東ローカル)で放送し、TVerで見逃し配信も行う予定。

詳しくは「国際ドラマフェスティバル in TOKYO」のウェブサイトを参照。

受賞一覧(敬称略)
【作品賞 連続ドラマ部門】
グランプリ『ブラッシュアップライフ』日本テレビ
優秀賞『鎌倉殿の13人』NHK
優秀賞『星降る夜に』テレビ朝日
優秀賞『silent』フジテレビ
優秀賞『エルピス―希望、あるいは災い―』関西テレビ
優秀賞『フェンス』WOWOW
【作品賞 単発ドラマ部門】
グランプリ『TOKYO MER~走る緊急救命室「隅田川ミッション」』TBSテレビ
優秀賞『未解決事件 File.09 松本清張と「小説 帝銀事件」』NHK
優秀賞『生理のおじさんとその娘』NHK
優秀賞『神の手』テレビ東京
優秀賞『監察医 朝顔 2022スペシャル』フジテレビ
【ローカル・ドラマ賞】
『弁当屋さんのおもてなし』北海道テレビ
【個人賞】
主演男優賞 小栗旬=『鎌倉殿の13人』
主演女優賞 川口春奈=『silent』
助演男優賞 目黒蓮=『silent』
助演女優賞 夏帆=『silent』
脚本賞 バカリズム=『ブラッシュアップライフ』
演出賞 風間太樹=『silent』
【主題歌賞】
Official髭男dism『Subtitle』=『silent』主題歌

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