世界最大級のコンテンツ見本市「MIPCOM2023」が10月16―19日、フランスのカンヌで開催中だ。その初日、「国際ドラマフェスティバル in TOKYO」(実行委員長=遠藤龍之介・民放連会長)が"MIPCOM BUYERS' AWARD for Japanese Drama"の受賞作品を発表し、グランプリを『VIVANT』(TBSテレビ)、奨励賞を『連続ドラマW フェンス』(WOWOW)が受賞した(冒頭の写真はグランプリの盾を手にするTBSテレビの太田裕之・グローバルビジネス局長と審査員ら/© P. HAIDAR / 360 MEDIA)。
"MIPCOM BUYERS' AWARD for Japanese Drama"はMIPCOMを主催するRX Franceと連携した公式行事として2009年に始まり、今回で14回目。ヨーロッパを中心とする海外の著名バイヤーが「自分で買いたい」「自分のマーケットで紹介したい」作品を選出するもので、今年はNHKと在京・在阪・衛星系の民放から10作品がノミネートした(下表)。
受賞作は10月16日の8時(現地時間)からMIPCOM会場近くのホテルで開かれたドラフェス実行委主催の朝食会の席上で発表された。会場には昨年の80人を上回る100人を超えるバイヤーらが集い、全てのテーブルが埋まる盛況に。その顔ぶれもカナダ、ドイツ、フランス、イギリスをはじめ中東諸国やインドなどさまざまだ。日本からも各局の番販担当者らが現地入りし、バイヤーと同じテーブルで交流する姿も見られた(写真㊦)。
審査員からは「優れた作品ばかりで選考は大変だった」と総評が述べられた。バイヤーからも、▷『VIVANT』を「ぜひ買いたい。アラブ的な要素もあり、強いアピール力がある」(カタール)▷『ブラッシュアップライフ』には「自分をもう一度見つめ直すというスピリチュアルな要素が海外にもアピールする」(デジタルメディアの大手配給会社)、「誰もが人生をやり直したいと思う部分があり、それがドラマになっていて面白い」(インド)▷『silent』には「心を打たれた。聴覚障害がある人をテーマにした作品はまだ少なく、もっとこうした作品があると良いと思う」(米・ヒスパニック系ディストリビューター)――などの声があり、日本のさまざまなコンテンツをそれぞれに評価していた。
また、会場では日本から現地入りしたドラフェス実行委の遠藤委員長が英語でスピーチし、バイヤーたちを歓迎した。ちなみに、歴代の実行委員長が英語であいさつするのは初めてという。遠藤委員長は、映画監督のマーティン・スコセッシが委員長の父である遠藤周作の小説『沈黙』を映画化した際(映画タイトル『沈黙-サイレンス-』2016年)、スコセッシ監督から言われた「古今東西を問わず、共通の価値があることがとても美しい。人間がどうコミュニケーションをとり、何に価値を見いだし、それをどのように分かち合うか......」という言葉を紹介し、「会場に集った人々の間で共通の価値を見つけ出されることを願っている」とあいさつ。「日本のドラマを世界に紹介することは、秘密の宝物を共有するようなもの。また、私たちのドラマは驚くほど健康に良い。感動的なドラマを毎日"服用"することで、ジムに通うのと同じくらいの効能・効果がある」とウイットを交えながら日本のドラマの"強さ"をアピールした。
<満席の会場で遠藤委員長のユーモアあふれるスピーチにゲストも和む>
・本年のMIPCOM全体のリポートは後日掲載の予定です。