全米で今、広告入り無料テレビ配信サービス(FAST=Free Ad-Supported Streaming TV)が急成長している。コムキャストが7月21日、最新リポートをリリースし、リニアテレビの配信版とも言えるFAST利用世帯率が昨年から今年にかけて倍増したと報告している。コネクテッドTV所有世帯の60%がFAST利用世帯で、FASTに注目する広告主も急増しているという。
リポートによると、ユーザーサイドから見たFAST急成長の背景に米配信市場の飽和がある。全米では1世帯あたり平均5つの有料配信サービスと契約していると言われ(Kanter調べ)、月々の利用料もかさむ。そうした世帯が、テレビ番組を無料視聴できるFAST(Tubi、Pluto TV、AmazonのFreevee、Roku Channelほか)に乗り換えつつあるということだ。これらの視聴者が、昔のようなシンプルなテレビ視聴に戻り始めているという見方もある。コムキャストの自社FASTプラットフォームXumo利用者の70%が"コードカッター"で、従来のテレビ視聴体験をFASTに求めていることを示している。加えてこのインフレの中で、無料サービスの価値は大きいことも指摘されている。
このリポートを受けアドエージ誌は、広告主視点からもFASTには利があると指摘する。FASTには今のところ、ディスニーやNBCUなど大手メディアのコンテンツが含まれない分、より安価に、より自由に広告展開ができるという。広告予算をコネクテッドTVに効率よく配分し、空いた広告枠を随時短期で買い付けることができる。また、視聴者の75%が「無料コンテンツであれば、時々広告が入るのは気にならない」と答えているという。